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医療になぜEBMが求められるのか①

 世界的なグローバル化によって、医療界も大競争・規制緩和・選択と集中・個別化時代を迎え、私達の医院経営環境にも変化が起きている。新しい技術の開発によって、今までの技術や医療システムが陳腐化し、患者のニーズも高度化、多様化することによって医療の質と効率化が医院経営の重要なポイントになってきている。これらの社会変化に見合った新たな歯科医療の在り方を築き上げなければならない。

 昨今、国民の権利意識の高揚に伴って、医療への関心が高まり、これまでは見逃された(許された)治療行為でも医療過誤として訴えられるケースが多くなってきた。日本医療事故調査会によると、日本で発生している医療事故の8割以上は医師の専門的な知識不足による診断ミスと治療技術(clinical expertise)の未熟が原因になっていると報告されている。

 平成13年10月12日に開催された厚生労働省の第3回社会保障審議会保険部会において審議された医療制度改革試案では、情報開示と患者の選択の拡大を図り、医療サービスの質の向上と効率化に向けた総合的な施策が提示され、その中で、第一に医療の質の向上と標準化の推進を挙げている。さらに、その実現のためには根拠に基づく医療(Evidence-Based Medicine)の実施が必要で、質の高い最新医学情報を医療従事者や患者に提供できるデータベースの整備とEBMの考え方に基づいた診療ガイドライン作成が急務であることが指摘された。


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