レーザー治療の変遷とレーザー光の光感受性物質を応用した最新歯周治療法(Periowave)ーM.I.D.の立場からー③東邦歯科診療所HPより
繰り返しになるが、Periowaveの特性をまとめる。
Periowaveは、非熱の670nmの波長領域でもっとも活性化が顕著となる光活性媒体Biogelを使用するphotodisinfection(光殺菌)システムである。外科的手術に比べて侵襲が少なく、また化学的療法に比べて組織に対する選択性が高く、生体への負担も少ないため、患者さんにやさしい治療法として期待されている。
Periowaveの臨床特性は以下である。
①二重の抗菌作用:歯周病原体の殺菌、ビルレンスファクターの不活化
②非熱ダイオードレーザー:歯周組織に対して安全かつ損傷を与えない、波長に適した光感受性物質
③非抗菌物質:耐性菌の出現がない、抗菌剤による副作用がない
④迅速かつ簡便な操作性:特異的な部位を処置できる(Site specitic)、1歯あたり60秒という短い処置時間
⑤無痛処置:治療による不快感がない、患者に対する投薬の必要性がない
Periowaveシステムのメカニズムを述べる。
光殺菌法の基礎となる原理は、歯周疾患を進行させる細菌を除去することである。まず、フォートセンシタイザーを歯周ポケット内に投与する。この色素は、グラム陰性菌とグラム陽性菌両者の細胞壁を構成する内毒素と脂質に結合する。両者の細菌の違いは、細胞壁のペプチドグリカンの厚さであり、グラム陰性菌の方がより迅速にメチレンブルーによって染色される。Periowave非熱ダイオードレーザーは光子を生産させ、フォートセンシタイザーの分子と高頻度で結合する。その光子は色素分子に衝突することにより、光線力学連鎖反応が開始される。色素を包囲する酸素分子は、電子を失うことでフリーラジカル(活性酸素)となる。この活性酸素は細菌細胞壁に対して毒性を有しており、細胞壁を分解することによりその細菌は破壊される。
Periowaveは広い抗菌スペクトルを発揮するシステムであり、歯肉縁下細菌とそれら細菌の持つビルレンスファクターを破壊する。細菌性プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)、コラゲナーゼ(コラーゲン分解酵素)および内毒素は不活化される結果、炎症反応は消失し歯周組織の破壊は抑制される。つまり、Periowaveは、二重の抗菌作用を持つ。歯周病原性のグラム陰性細菌を殺菌するのみならず、これら細菌が有する内毒素(LPS)を不活化させる。抗菌剤を使わないので、耐性菌のリスクはない。
Periowaveの基盤をなす先端技術は以下である。
フォートセンシタイザー(光感受性物質)を使って物理的に細菌を破壊する。Periowaveは広い抗菌スペクトルを持つシステムであり、歯肉縁下の細菌およびビルレンスファクター、特にプロテアーゼ、コラゲナーゼや内毒素(LPS)などを対象とする。光感受性物質は、非熱ダイオードレーザー光から生産される活性酸素により活性化され、細菌の細胞壁を破壊し細菌性毒素を不活化させる。この光感受性物質は粘膜に接着する性質があり、歯周ポケットを覆うことで治療効率を最大限に向上させる。
Photodisinfection(光殺菌療法)の適応例
①急発したケースのデブランドメント(debridement)との併用(抗菌薬代わりとして使用)
②BOP(bleeding on probing)が存在するケースのデブライドメントとの併用
③再発しやすい歯周炎
④メインテナンスが困難なケース
⑤外科的歯周組織再生療法における根面と根分岐部の殺菌
⑥垂直性骨欠損を有するⅡ度からⅢ度の根分岐部病変の殺菌
⑦歯内療法における感染根管内細菌の殺菌
⑧インプラント周囲炎の治療とメインテナンス
⑨歯周治療に伴う菌血症の防止
従来の高出力レーザーは熱をともなうため、患者に苦痛を与えることがあったが、本機は非熱光であるため、患者は安心して受診できる。また、術者にとってもストレスが少ない。患者からは、
・歯ぐきが引き締まった。
・口臭がなくなった。
・不思議な感じがした。
・抗生物質を飲まなくてもよくなった。
・唾液がネバネバした感じからサラサラした感じがする。
・歯ぐきがピンク色になった。
・歯ぐきから出血しなくなった。
・いつも歯ぐきが熱っぽく感じたが、すっきりした。
・歯みがき後の歯のツルツルが長く続く気がした。
・歯ぐきが引き締まったせいか、歯がしみる。
・Periowaveをやる前は、奥歯に歯ブラシを当てると痛かったが治った。
等の声があった。