たぶん彼女は豆を挽き、ぼくは本を読む
【とほん読書ノート012】
『たぶん彼女は豆を挽く』庄野雄治/mille books
徳島県にあるコーヒー豆専門店アアルトコーヒー。この本にはその店主・庄野雄治さんががどのような思いでお店を開き、どんなことを考えながらお店を続けているかということや、コーヒーの淹れ方が語りかけるように書いてある。
忙しい毎日だからこそおいしいコーヒーを飲んでもらいたい。それは大変なことでもないし、修練がいるようなものでもない。いざ自分でコーヒーを淹れてみようと思っても「なんだか敷居が高そうだし、豆は何を買えばいいのかよく分からないし、道具をそろえるのも大変そう」と二の足をふんでいる方は多いと思うが、小さなコツさえ分かれば手軽にできるものだ。
(中略)
小さなコツさえ身に付けてしまえば毎日、いや朝昼晩でも大丈夫。何も臆することはないし、面倒くさがることもない。さあコーヒーを淹れてみよう。
コーヒー豆の焙煎職人として味を追求するのは、美味しいコーヒー豆があることが、コーヒーを淹れて飲む時間をより幸せなものにするから。庄野さんの言葉はどれも優しくあたたかく、コーヒー好きな人も、コーヒーを飲まない人もみんな包み込みんで、コーヒーを淹れて飲む毎日を肯定していく。
コーヒーの魅力を伝える庄野さんの文章を読んでいると、ぼくの中では「コーヒー」の部分が「本」に、「淹れる」が「読む」にも思えてきた。本を読む生活は幸せなものであり、みんなもっと本を読んだらいいのにと思っているから、庄野さんの話はまるで本の話をしているようにも感じたのだった。
きっと、パン屋さんが読むと、美味しいパンがある食卓を思い描くだろうし、花屋さんが読むと、花で彩られた日々をおすすめしたくなるだろう。生活のなかで、それがあることで、ほっと一息がつける時間。この本を読むと、コーヒーが飲みたくなると同時に、そんな時間をつくることをたくらんでみたくなる。
幸せな時間とコーヒーはよく似ています
食卓が幸せなカフェになるように
アアルトコーヒーは新鮮で優しいコーヒーをお届けします
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お読みいただきありがとうございました。とほんにもぜひお越しください。お待ちしております。