【七夕賞2019】回顧「元気と悠太郎と菜七子と一樹」
「先週の重賞を回顧してみた」
編集部Kによる重賞回顧。レースをあらゆる角度から読み、
独自の視点で語ってみる。次走狙いたい馬、危険な馬を指摘しつつ、
なんとなく役に立ちそうなコーナー。
基本、競馬が終わった、ちょっと寂しい月曜日に掲載。
「元気と悠太郎と菜七子と一樹」
【七夕賞2019】回顧
2019年7月7日(日)三歳上OP、GⅢ、芝2000m
七夕賞当日の朝、新日本プロレスのG1クライマックス米国ダラス大会の模様が六本木交差点の大型モニターで流され、「昭和の街頭プロレスが令和に復活!」と話題に。日曜日の早朝ということもあり、観衆は昭和の街頭プロレスには遠く及びませんでした。
それはそうです、新日本プロレスワールドに加入すれば、自宅で観戦できるんですから。私だってそうしました。ただ、このニュースはいい時間帯のニュースにちょこっと流れました。ここが大事。プロレスは地上波のいい時間帯に流されることが重要。それこそ昭和のゴールデンタイム、プロレスが目指すのはそこです。
競馬の世界で昭和っていうと、もうかなり消えてなくなっている感じがしますが、筆者が思う昭和競馬の名残りといえば、根本厩舎の3人の所属騎手、丸山元気、野中悠太郎、藤田菜七子です。師弟関係、兄弟弟子なんて言葉、もう競馬では死語に近い感覚ですが、ここに残ってますね。
で、七夕賞ではこの3人が初めて揃って重賞に騎乗するってことになり、密かに注目しました。
長男丸山元気はデビュー11年目。2年目に92勝とブレイクしたが、それから数年はエージェントなどの都合で低迷、今年は重賞でノーザンFのいい馬が回ってくるなど回復期に入った印象。
次男野中悠太郎。通称穴太郎。関東の穴メーカー。アイルランドへの単身武者修行から戻ると、競馬が以前に増して積極的になった印象。
末っ子藤田菜七子。今年はGI初騎乗、スウェーデンで国際騎手招待の大会に優勝など着実にキャリアを重ねる。正直、騎乗姿が変わってきた。
で、根本三兄弟、丸山騎手のベルキャニオンが中団、野中騎手のアウトライアーズと菜七子騎手のゴールドサーベラスがドン尻追走の競馬を展開。最後の直線で大外を回して追い込んだゴールドサーベラスが最先着の4着、馬群を抜けてきたアウトライアーズが5着、ベルキャニオンは見せ場なく15着という結果。
8歳ベルキャニオンは年齢もあるが、そもそも福島は合わないので、大敗は納得。残る2頭はよーく注意したいところ。というのは、前半1000m58秒0はこの日の馬場を考えても、猛ペース。逃げたマルターズアポジーらしい前半速く、後半600mで失速するラップを後方は差し込んできたゴールドサーベラス(中山3勝)とアウトライアーズ(中山2勝、福島小倉1勝)は展開待ちがハマったもの。コース適性と展開が噛み合った上での4、5着なので、じゃあ次こそはってなりにくい。まして、ゴールドサーベラスは菜七子騎手継続騎乗でサマー2000シリーズ転戦となれば、話題と人気がついて回る存在になる。長男丸山騎手に大きく先着した2頭の取捨は慎重にしたいところ。
一方勝ったのは菜七子騎手と同期の菊沢一樹騎手。父菊沢隆徳厩舎所属で、叔父横山典弘騎手が競馬を教えて込んだミッキースワローで重賞初制覇。こちらは落ち着きと後ろを振り返らない思い切りの良さが凝縮した騎乗ぶり。「福島の直線が長く感じた」とコメントしているが、ハイペースを待たずに自力で勝ちに行った競馬だから勝てたわけで、長く感じた最後の直線を忘れずにいてもらいたいところ。じゃあ、ちょっと待ってみようなんて考えると、差し損ねかねない。
競馬は一歩先に踏み出す勇気が試される。いかに他力ではなく自力勝負へ持ち込むかが重要。
「その道をゆけば、どうなるものか」
危ぶめば道はなしなのだ。
今時、こんなポエムを引用するプロレスファンはいないか。
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