環境問題と校歌
先月、地元の小学校で運動会が開かれていました。校長先生の長い話をあくびをしながら聞いていたことも、今となってはいい思い出です。
運動会といえば、まずはじめに校歌を歌う時間がありますよね?
校歌は、子供たちに歌わせることで学校と地域への帰属意識を高め、愛着と誇りを促進するという役割を担っていると言われています。そのため、地域の特色やシンボルが歌詞に含まれていることがほとんどです。
では、その地域の特色やシンボルが環境の変化により無くなってしまったら校歌の歌詞はどうなってしまうのでしょうか。
今回は、そんな環境の変化によって校歌の歌詞が変わった事例として、塩浜小学校を紹介したいと思います。
この小学校は四日市市塩浜町にあり、かつて工場地帯で栄えた場所です。現在では地元の中学校と合併し、小中一貫校となりましたが、かつては多くの子供たちが通っていたと言われています。
そんな塩浜小学校の、変更前の校歌(抜粋)がこちらです。
港のほとり並びたつ 科学の誇る工場は
平和をまもる日本の 希望の希望の光です
煙突から煙を吐き、昼夜を問わず光とともに稼動する大工場の風景は当初、街の誇りでもありました。また、塩浜小学校はコンビナートのすぐ近くに位置していたため「科学の誇る工場」という歌詞が入っています。
しかし、この工場が出す煙により、市民の健康に甚大な被害が生じました。
その原因が四大公害病の一つである、四日市ぜんそくです。
この四日市ぜんそくが流行った頃、小学校にいる子供たちは1日に6回もうがいをしなければならなかったそうです。
そのような背景もあったことで、保護者から校歌の歌詞変更を求める抗議があり、歌詞が変更されました。
こちらが変更後の校歌(抜粋)です。
南の国から北の国 港出ていくあの船は 世界をつなぐ日本の 希望の希望のしるしです
工場という言葉が無くなっていますね。
かつてシンボルだったものが、実は市民に被害を与えていたという、悲しい歴史がよくわかる事例だと感じます。
塩浜小学校以外にも、似たような経緯で校歌の歌詞が変更された事例はいくつかありますので、是非、この機会に検索してみてください。(中川)
参考文献・URL
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