MSワラントについて(備忘録)
このnoteは備忘録的なメモです
MSワラント発行について
証券取引所が上場企業がMSワラント(Moving Strike Warrant)を発行する際に承認する基準は、多岐にわたりますが、主に以下のようなポイントが考慮されます。
1. 発行目的の明確さ
資金使途の透明性: 資金調達の目的が明確であり、調達した資金が具体的かつ適正に使用される計画が示されていること。
企業の成長戦略との整合性: 発行が企業の中長期的な成長戦略と一致していること。
2. 株主への影響
希薄化の影響: 新株発行に伴う既存株主の持分比率の希薄化について十分な説明がなされていること。
株主利益の保護: 既存株主の利益が著しく損なわれないような措置が講じられていること。
3. 財務健全性
財務状況の健全性: 企業の財務状況が健全であり、発行後も持続可能な財務構造を維持できること。
発行後の財務計画: MSワラント発行後の財務計画が現実的かつ実行可能であること。
4. 市場の公正性
情報開示の適正性: 投資家に対して適切かつ十分な情報が提供されていること。発行に関する重要な情報が適時開示されていること。
価格設定の妥当性: MSワラントの発行価格が市場価格と比較して公正かつ合理的であること。
5. コンプライアンス
法令遵守: 発行が関連法令や規制を遵守していること。特に、証券取引法や上場規則に適合していること。
内部統制の強化: 発行に伴う内部統制の強化策が講じられていること。
6. 市場の受容性
市場の反応: 発行に対する市場の反応や受容性が適切に評価されていること。特に、投資家の関心や需要が見込まれること。
流動性の確保: 発行後の市場における流動性が確保される見込みであること。
7. 利益相反の管理
利益相反の回避: 発行に伴う利益相反が適切に管理されていること。特に、経営陣や主要株主の利益が一般株主の利益と対立しないようにする措置が講じられていること。
名古屋証券取引所の決まりごと
名古屋証券取引所が上場企業がMSワラント(Moving Strike Warrant)を発行する際に承認する基準は、有価証券上場規程 第304条および有価証券上場規程 第306条
有価証券上場規程 第304条
(新株予約権証券の上場)
第304条 第301条の規定により上場申請のあった新株予約権証券が、上場株券を目的とするものである場合には、 次の各号に定める基準に適合するときに上場を承認するものとする。
(1) 上場申請のあった新株予約権証券が施行規則で定める基準に適合するものであること
(2) 新株予約権証券の発行者である上場会社において次のa又はbのいずれかの手続きが実施されていること (当該上場会社が当該新株予約権証券に関して法第2条第6項第3号に規定する契約を締結している場合 (この条において「コミットメント型の場合」という。)を除く。)。
a 取引参加者による増資の合理性に係る審査
b 株主総会決議などによる株主の意思確認
(3) 新株予約権証券の発行者である上場会社の経営成績及び財政状態が、次のa及びbのいずれにも該当していないこと(コミットメント型の場合を除く。)。
a 最近2年間(「最近」の計算は、基準事業年度(直近で提出した有価証券報告書等が対象とする事業年 度をいう。)の末日を起算日としてさかのぼる。)において利益の額が正である事業年度がないこと。こ の場合における利益の額の取扱いは施行規則で定める。
b 直前の中間会計期間又は事業年度(直近で提出した半期報告書又は有価証券報告書が対象とする中間会 計期間又は事業年度をいう。)の末日において純資産の額が正でない状態であること。この場合における 純資産の額の取扱いは施行規則で定める。
(4) 公益又は投資者保護の観点から、その上場が適当でないと認められるものでないこと。 (令和5.3.13、6.4.1変更)
2 前項の規定により新株予約権証券が上場されることとなる場合には、当該上場申請を行った者は、施行規則 で定める当取引所所定の「確約書」を提出するものとする。
3 その他新株予約権証券の上場に関して必要な事項は施行規則で定める。
有価証券上場規程 第306条
(新株予約権証券の上場基準等)
第306条 規程第304条第1項第1号に規定する施行規則で定める基準とは、次の各号に定める基準(当該新株予約権証券が外国会社が発行するものである場合には、当該基準に準ずる基準)のいずれにも適合していることとする。
(1) 新株予約権無償割当てにより発行されるものであること。
(2) 行使期間満了の日が割当てに係る基準日等後2か月以内に到来するものであること。
(3) 上場後の分布状況等が著しく悪いと認められないこと。
(4) 新株予約権証券の数が2,000単位以上であること。
(5) 新株予約権が指定振替機関の振替業における取扱いの対象であること又は上場の時までに取扱いの対象となる見込みのあること。
2 上場会社は、規程第304条第1項第2号に規定する手続きが実施されている場合には、次の各号に掲げる場合の区分に従い、当該各号に定める書面を提出するものとする。
(1) 規程第304条第1項第2号aに規定する手続きが実施されている場合
取引参加者が作成した当取引所所定の「増資の合理性に係る審査結果を記載した書面」
(2) 規程第304条第1項第2号bに規定する手続きが実施されている場合
当取引所所定の「株主の意思確認の結果について記載した書面」
3 第213条第6項第1号から第6号まで及び第8号から第10号までの規定は、規程第304条第1項第3号aに規
定する利益の額について準用する。
4 規程第304条第1項第3号bに規定する純資産の額の取扱いは、次の各号に定めるところによる。
(1) 規程第304条第1項第3号bに規定する純資産の額が正でないとは、連結貸借対照表又は中間連結貸借対照表(比較情報を除く。以下この項において同じ。)に基づいて算定される純資産の額(連結財務諸表規則又は中間連結財務諸表規則の規定により作成された連結貸借対照表又は中間連結貸借対照表の純資産の部の合計額に、連結財務諸表規則第45条の2第1項又は同規則第153条第1項若しくは同規則第263条第1項に規定する準備金等を加えて得た額から、当該純資産の部に掲記される非支配株主持分を控除して得た額をいう。以下この項において同じ。)が正でない場合をいい、上場会社が連結財務諸表を作成すべき会社でない場合は貸借対照表又は中間貸借対照表(比較情報を除く。以下この項において同じ。)に基づいて算定される純資産の額(財務諸表等規則の規定により作成された貸借対照表又は中間貸借対照表の純資産の部の合計額に、財務諸表等規則第54条の3第1項又は同規則第182条第1項若しくは第281条第1項に規定する準備金等を加えて得た額をいう。以下この項において同じ。)が正でない場合をいう。ただし、上場会社がIFRS任意適用会社である場合又は連結財務諸表規則第314条若しくは同規則第316条の規定の適用を受ける場合は、当該連結貸借対照表又は当該中間連結貸借対照表に基づいて算定される純資産の額(上場会社が連結財務諸表を作成すべき会社でない場合は当該貸借対照表又は当該中間貸借対照表に基づいて算定される純資産の額)に相当する額(会計基準の差異による影響額(当取引所が必要と認めるものに限る。)を除外した額をいう。)が正でない場合をいう。
(2) 規程第304条第1項第3号bにおいて、純資産が、公認会計士又は監査法人の監査意見により影響を受ける場合には、正当な理由に基づく企業会計の基準の変更によるものと認められている場合を除き、当該監査意見に基づいて修正したのちの純資産を審査対象とする。
5 規程第304条第1項第4号に定める事項についての上場審査は、次の各号に掲げる観点その他の観点から検討することにより行う。
(1) 次のaからeまでに該当しないこと(規程第304条第1項第2号に規定するコミットメント型の場合を除く。)。
a 新株予約権証券の発行者である上場会社の上場株券等が、規程第607条の規定により監理銘柄に指定されている場合又は規程第608条の規定により整理銘柄に指定されている場合
b 新株予約権証券の発行者である上場会社の上場株券が、次の(a)から(c)までのいずれかに該当する場合
(a) 規程第501条第3項又は規程第502条第3項に規定する施行規則で定める期間内にある場合
(b) 規程第601条第5号a又はbに定める期間内にある場合(規程第602条第1項第4号又は第2項第3号の規定による場合を含む。)
(c) 規程第503条第1項の規定により特別注意銘柄に指定されている場合
c 新株予約権証券が、規程第304条第1項第2号bに規定する手続きを経て発行される場合において、次の(a)又は(b)に掲げる場合その他の新株予約権証券の発行者である上場会社の主要株主である取締役又は支配株主による濫用的な意思確認手続きが行われたと認められるとき。
(a) 新株予約権証券の権利行使に伴い上場会社が調達する資金の使途に関して、特別の利益を有していると認められる主要株主である取締役又は支配株主を除く株主(意思表示を行った者に限る)。)の過半数の同意を得られていないとき。
(b) 割当てを受ける新株予約権証券の権利行使を行うことで持株比率を維持する意向を示していない主要株主である取締役又は支配株主を除く株主(意思表示を行った者に限る。)の過半数の同意を得られていないとき。
d 新株予約権証券の発行者である上場会社の経営成績及び財政状態が、規程第304条第1項第3号a又はbのいずれかに該当した場合と実質的に同視できると認められる場合
e その他aから前dまでに規定するものに準ずる状態と認められる場合
(2) 新株予約権証券の権利行使の制限を行う場合においては、当該制限を行う必要性及び相当性が認められること。
(3) その他公益又は投資者保護の観点から適当と認められること。
6 規程第304条第2項に規定する「確約書」は、内国会社が発行する新株予約権証券にあっては別記第1―5号様式に、外国会社が発行する新株予約権証券にあっては別記第1―6号様式にそれぞれよるものとする。
7 新株予約権証券の上場期間は、行使期間の初日以後の日であって当取引所が定める日から、当該新株予約権の行使期間満了の日前の日であって当取引所が定める日までとする。
(令和5.3.13、6.4.1、6.4.26変更)