「専門家」に頼ろう?
アダルトチルドレンや複雑性PTSDの治療について調べていると、やはりカウンセリングという話はどこでも出てくる。
いまはセルフケアを重視しようと思って、内的家族システムやTFTタッピングなどを本で読んで試している。こういった本にも、共通して「専門家と一緒に行ったほうが安全/効果がある」と書かれている。いま興味のあるEMDRは、そもそも専門家がいないと出来ない。
もちろん言いたいことは分かる。しっかり知識を学び訓練した人とともに治療を行った方が安全。特にトラウマを取り扱うなら、フラッシュバックなどの危険にも気を配らなければならない。自己流でなんとなくやるより、資格のある人の指導のもとで治療したほうがずっとはやく良くなる。
しかしそんな専門家がどこにいるというのだろう?ここに挙げた治療法は、公式に習得したカウンセラーをホームページに公開している。だからその人たちのところに行ったらいいのだろう、とは思う。近くて行けそうなところを見つける。サイトに移動すると、もう新規は受け付けてませんとか、そもそもサイトがなくて所属もたぶん古いとか、そんな話も多い。
そして、これが一番の問題なのだけれど、わたしは「専門家」というものを信用できない。これまでにも精神科クリニックに通ったりカウンセリングを受けてきたりした。けれどそこでトラウマを扱ったり、過去の経験に寄り添ってもらうということはほとんどなかった。傷つくようなことも言われ、やはり自分は孤独なのだと思った。どこにトラウマを扱える専門家がいるのか?中には先ほどのホームページに載っている人のところに行ったこともある。けれど、思うような治療には辿り着けなかった。また同じように探しても、同じようにがっかりするだけなのかもしれない。何度も失望したら、治療そのもののやる気まで消えてしまいそうだ。
それでも、勇気を持って色んなところを試すのが治療のためだよ。そんな声が聞こえる。正論かもしれない。でもやっぱり、また同じ目にと思うと行く気になれない。ちゃんと調べたつもりでも、相性のいいセラピストには全然出会えない。そんな気がしている。
それでも、本もインターネットも、無慈悲に「専門家に頼りましょう」と言う。「専門家」がきちんと機能していたらこんなに悩んでいないと思う。みんながみんなトラウマを治療できるようになってほしいわけではない。必要だと判断して、トラウマ治療できる人を紹介する、そのくらいのことも高望みだろうか。心理士も精神科医も、とりあえずうつとか不安障害とかよく名前を見る病気にしておいて、自分ができる治療を試して、効果が出なくても気にする様子もない。時間がかかるからなんて言い訳をして終わり。他人の数年なんて彼らには少しも大事じゃないからそう言えるのだろうと思う。
「専門家」に望むのは、全ての人を治すことではない。出来ることと出来ないことをはっきりさせて、出来ないことは出来る人に任せて欲しい。日々新しくなる治療法の、一部だけでも勉強して患者のために使ってほしい。そんなに厳しいことを言っているだろうか?
こんな状況の中で、安易に専門家に相談と言うのもあまり好きではない。もちろん初めの対処として相談に行くのはとても大事だとは思う。もしかしたらいい専門家に出会えるかもしれない。でも現状、その可能性は低い。いい専門家に出会えず困っている時、頼りましょうとばかり言われると責められているように感じる。探す努力が足りない、みたいに。そうではなくて、さすがに一定水準以上の専門家が少なすぎるのだと思う。
もう少し休んで余裕ができたら、専門家探しのためにさまようかもしれない。いつかそんなことをしなくても、すべての人が適切な治療にたどり着けることを願っている。