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どうしたら感染が拡大する国からの上陸を拒否できるのか
中国のSNSに国家衛生健康委員会の議事録が流出し、同国での12月1日~20日の累計感染者数が2億5千万人に達したのではないか、と言われています。これを受けて、在中国アメリカ大使館は、12月15日からビザ発給を停止しています。一方で、日本は入国時検査を強化するに止まり、爆発的なコロナ感染を有効に防げるのかとの懸念が広がっています。
中国からの外国人の上陸を拒否せよとの声も大きいですが、法的にそのような方法は採れるのでしょうか。なお、法律上は、日本の領土に足を踏み入れることを入国ではなく、「上陸」と呼んでいます。
出入国管理及び難民認定法(入管法)5条1項では、上陸を拒否できる事由を1号から14号まで列挙しています。感染症に関しては、1号で、感染症法上の一類・二類・新型インフルエンザ等・指定感染症の患者、新感染症の所見のある者の上陸を拒否できるとされています。しかし、これでは感染が拡大している国からの訪日を阻止できず、新型コロナウイルスが爆発的に蔓延してしまう危険があります。
そのため、感染が拡大している国・地域を指定し、そこでの滞在歴のある外国人を、14号の「法務大臣において日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」とみなして、日本への上陸を拒否してきました。これが、閣議了解などに基づいて法務大臣が行ってきた措置ということになります。入管法5条1項1号~14号のいずれかに当たれば、ビザの発給もされないことになります。
しかし、今年9月から上陸を拒否する国・地域の指定をすべて解除しているのが、現在の状況です。以上からすると、特定の国からの上陸を拒否するには、法務大臣が、その国を拒否対象として再度指定すれば良い、ということになります。もちろん、政治的には、総理の判断で閣議了解などを経て、法務大臣が指定をすることになると思われます。
上陸を拒否するかどうかは、専ら政治判断に委ねられているといえそうです。