自衛隊は領空で情報収集している気球を撃墜できない
外国の気球が無断で領空に入ってきても、日本はそれを撃墜できないことが問題になっています。上空で情報収集しているか、あるいは何をしているか分からないのに、放っておくのはあり得ないという見方が多いようです。
アメリカは、バイデン大統領が「米国の領空だ。いったん領空に入れば、われわれはそれを自由にできる」として、国防総省に指示して中国の気球を撃ち落とさせました。日本がアメリカのような対応ができないのは、何故でしょうか。
この件に関し、松野官房長官は、外国の気球が許可なく領空に侵入すれば領空侵犯になり、「対領空侵犯措置」の任務に当たる自衛隊機は「必要な措置」として武器を使用することができる、と述べています。
自衛隊法84条の「対領空侵犯措置」の規定は、「着陸させ、又はわが国の領域の上空から退去させるため必要な措置」を採ることができるとなっています。具体的には、領空に侵入しないように通告する、領空から退去するように警告する、最寄りの飛行場に強制着陸させる、などといった措置を採るようです。
防衛省は、「対領空侵犯措置」で武器を使用することはできるが、それは刑法の正当防衛や緊急避難に当たる場合だという考え方です。つまり、国民の生命や財産などに対する侵害が差し迫っている場合にかぎり、武器を使用できるということです。この考え方からすると、さすがに情報を収集しているだけならば、正当防衛で撃ち落とすのは無理ということになるでしょう。
しかし、これらの武器使用基準は、あくまで防衛省の運用でそのようになっているにすぎません。防衛省は現在、領空侵犯した気球や無人機に対する武器使用の運用拡大を検討しているようです。
やはり、外国が我が国の安全保障に脅威となることをしている場合には、必要なら武器を用いて、適切に対応する方法を持つべきではないでしょうか。