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反撃能力は国際法違反??
立憲民主党の泉代表は1月25日、衆議院本会議の代表質問で「敵基地攻撃は国際法違反の先制攻撃にならざるを得ず、反対の立場です。政府の『反撃能力』も、もし相手国のミサイル発射の阻止を目的とするなら、同じく国際法違反の先制攻撃とみなされるでしょう」と述べました。
ミサイルの発射を阻止するために攻撃するのが国際法違反になるとしたら、発射されるまで何もできないし、発射された後の迎撃に失敗したら(ミサイルによる迎撃は100%成功するわけではない)、我が国は回復不可能な損害を被ることになります。国際法は、そんな理不尽なことを要求しているのでしょうか。
国連憲章は、2条4項で「武力による威嚇又は武力の行使」を禁じています。しかし、51条で「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない」としていて、「武力攻撃が発生した場合」の「自衛権」の行使を認めています。「武力攻撃が発生した場合」というのは、自衛権行使要件の一つである侵害行為の急迫性と同じ意味と言われていますが、相手が武力攻撃に着手して以降ということになります。
とすれば、相手がミサイル発射に着手してから、実際に発射するまでの間に発射基地を攻撃することは違法な先制攻撃にはなりません。「敵基地攻撃は国際法違反の先制攻撃にならざるを得ず」というのは、間違いということになるでしょう。
たしかに、ミサイル発射に着手する段階をどこで見極めるかというのは、技術的にたいへん難しいことです。しかし、着手判断の困難さと国際法に違反するかどうかとは、まったくの別問題です。誤った国際法の認識で、重要な安全保障上の問題を議論の入り口で切り捨てていては、建設的な議論にはなりません。立憲民主党は、貴重な代表質問の時間を無駄にしていると言えるでしょう。