![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/167286387/rectangle_large_type_2_101a223953ee37e5d81356b495f960fd.png?width=1200)
文学部なめんな
高校時代、「文学部志望してるんですよ」って人に言ったら、稀に
え、就活不利やで? ええの?
だの
文学部に未来ないやろ(笑)
だの言われ、非常に腹が立った思い出がある。
同じく文学部を志望した過去のある人、こんな感じのこと割と言われたことあると思うんですよね。
向こうもなんか冗談で言ってるっぽい雰囲気だったので私も一応薄笑いを浮かべつつ「まぁ経済学部とかに比べたらなぁ」などと心にもないことを言っているのだが内心は殴ってやりたい気持ちでいっぱいで、もしその時手近にバールがあったら確実に手に取っていただろう。
お前たちは楽に就活を終えるために学部を選ぶのか?就活への助走として大学を使用しているのか?別に私はそれを否定するつもりはない。人の志を簡単に否定することはあってはならない。ただお前たちはその自分の物差しを私に押し付けてきただろう、それが問題なのである。私たちを勝手にお前たちの土俵にあげるなと言いたいのである。
全ての大学生が意欲的に就活に取り組んでいると思うな。これは完全に私の意見になるが、就活なんか嫌々やらされている人間が大多数だ。できるならやりたくない、就活なんか。あれは自分の働き口を見つけるためだけに仕方なく実行するものであり、本当はサークルのたまり場でダラダラしてたらいつの間にか勤め先が決まっていた、というのが理想的なのだ(個人の感想)。それをなんで全ての大学生の終着点が「良い勤め先に入社を決めること」とするのか、全ての大学生がそれを望んでいると思い込み押し付けてくるのか、やめてください。ハナから大学院まで進むことを決意して文学部に入る人もいるだろうに。
特にムカつくのが「文学部って意味無くない?(笑)」みたいなことを言ってくる奴ら。頼むから黙ってくれ。じゃあ法学部に意味はあるのか?経済学部に、商学部に意味はあるのか?そもそも意味というのは何を指してそう言っているのか、「社会的価値」「資本主義社会に迎合した価値」と言い換えられはしないか、そもそも学問に意味は必要なのか、そこから考え直していく必要があるとは思わないだろうか。
文学部に行く道を選ぶような人間は、そもそも学問に意味など求めていない。数ある学部の中で文学部を選んで受験する人間は学問ひいては人生に意味や効率を求めず、求めることといえば己の「好き」という感情を存分に発揮できる場所であり、己の興味を限界まで探究できる場所であり、就活に有利な学部を意図的に選び、さしたる興味もない学部に進む人間よりよっぽど本来の意味で「大学生」であると私は思う。難しいレポート課題を出されるとすぐ詰むのはいつだって就活のためだけに学部を選んだ人間であり、法律が好きだから法学部に進んだ人間は時間がかかってもやがて一定のクオリティを保ったレポートを書き上げられる。
各学部が就活に有利か不利かという物差しも、そもそも誰かの主観でしかなく、「文学部の人間は職を得づらい」というデータが示されている訳でもないはずだ。
お前たちが「文学部なんか行っても意味ないよ」と偏見をぶん回してくるなら、私たちも同じところまで降りて戦わなければならなくなる。文学部はその豊かな語彙力を以て、偏見と戦う為に「社会学部に社会学やりたくて来た奴マジで0人説」とか「スポーツ健康科学部は全員推薦」とか「法学部行ってるってことはやっぱり弁護士になるの?(笑)」とかいうゴミみたいな極めて一面的な偏見を脳内に装填していることにはいるが、そうやって無謀な対立を生むことは世界にとり何の利益にもならず、例えば今この文を読んで、一般入試で入ってきたスポーツ健康科学部の人はきっと憤慨しており、ならもう他の学部を内情を完全に無視した先入観をもって貶す行為はいっせーので辞めようではないかと思うのである。
大学に入ったら入学者のレベルがある程度高く性格が比較的成熟しており、私の周りは当然文学部だらけになるのでこのタイプの理不尽なイライラを被せられることはパッタリと無くなったのだが、「なぜ私は文学部で学んでいるのか」と己に問いたくなった時には、高校時代に浴びせられた言葉を思い出し、怒り、文学への熱き魂(ソウル)を取り戻したい。
最後。この記事を読んでいる人の中で、文学部に進みたいが、友達に「文学部は就活不利だよ」とかクソみたいなことを言われて、それが原因で文学部への進学を止めようとしている人がいたら、絶対に諦めないで欲しい。自分の人生に損害が生じた時にその友達が責任を負ってくれるわけではないのだから、友達の意見ごときで自分の意志を曲げてはならない。
文学部は、より強い「好き」を持っている人間が強い学部だ。「好き」という気持ちだけでどこまでも進んでいくことが出来る数少ない学部だ。元々そんなに進みたい訳でもないなら別にいいが、心のどこかで文学部を諦めきれないのだったら、その気持ちに素直になって是非志望してみてほしい。文学部で待っている。
(ちょっと野坂昭如の作風を意識して書いてる)