鳥取のじいちゃん③
勝負の話繋がりでもう一つ。
じいちゃんは、亡くなる二〜三週間までワンラウンドプレーしていたぐらい大のゴルフ好きだ。
僕もまだ楽しさを存分に味わえるほど上手くはないが、年に数回ゴルフをする。
そのうちの一端を担うのは、親子三代に渡るゴルフ合戦なのだ。
大抵はキャリアも長く今でも現役バリバリの父親が一等賞で、じいちゃんが二等賞で僕はビリッケツの三等賞。(結局最後まで勝てなかったな)
だが、その夏はとんでもない事が起きた。
僕は自己ベストを更新ペース、今回こそ脱三等賞だ!と珍しく楽しみまくっていたのだが、なんとじいちゃんが父親と競っているではないか。
もうこの時点で僕のビリッケツは花丸確定。
ラウンドを回り終えてレストランでお決まりのレモネードを頼む。
さあ、結果は‥
なんとじいちゃん、父親と二打差で一等賞。
「かっさま!90手前の親父に負けるなんて!」
と、父親は本気で嬉しそうに悔しがっていた。
結局、そのゴルフが昨年の夏。
今年に入ってからは、ずっと緊急事態やら蔓延防止やら、中々帰るに帰れなかったもんで、じいちゃんは一等賞のまま、空に飛んでいってしまった。
なんともあっぱれなのである。