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油団(ゆとん)を広げる

先日、捨ててしまうと聞いてとあるお宅の蔵から3本の油団をいただいてきた。蔵の梁から吊るしてあるものを降ろす作業も女性3人でできたぐらい軽くて驚いた。それもそうだ、油団は和紙を張り合わせて出来ているのだ。

油団とは、江戸時代から伝わる夏の冷感マット。かつては全国各地で作られていたが、現在でも作り続けているのは福井県鯖江市の表具店の職人さんのみだと聞いた。その技法は福井県指定無形民俗文化財に指定されている。

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今年は梅雨が長かったせいで、なかなかその油団を開いて中の状態を見る機会が持てずにいた。梅雨が明けても暑すぎる毎日。世の中がお盆休みに入るそのタイミング、夕方暑さが和らいだ時間を狙ってその時が来た。油団を初めて目にする人、昔懐かしいという人、ひんやり感を確かめてみたという人たちが集まってきた。油団はその製作工程の大変さから1畳分が10万円前後ともいわれている。さぁ、ゴミになるのかお宝か!

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1本目は、想像していたよりも薄く、汚れは少ないが折りすじやしわが気になる。面白いのがこの裏面。

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なんと!使ってある和紙がすべてエコな再利用品!何が書いてあるんだろう?とみんな興味津々。和紙は数ミリの世界で丁寧に張り合わせてある。

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2枚目は、持ち主が修復しながら使っていたようで、ところどころに同系色の紙が貼ってある。きれいなところだけ切り出せば使えそうだ。座布団サイズやお昼寝用に1畳サイズで切り出せば再利用可能。他にどんな使い方ができるだろうか?考えるのも楽しい。

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最後の一枚は、傷みが激しく、ボロボロになっている部分もあったため、廃棄することを決めた。おそらく片付けるときに一緒に巻き込まれてしまったであろう三角定規が変形した状態で出てきた。持ち主であろう女の子の名前も書いてある。これは、蔵の主にお伝えしてお返しすることにした。

休憩タイムには、微住畑で採れた青紫蘇で作った炭酸ジュースで爽やかな気分に。
三者三様の個性ある油団たちと出会うことができて、ちょっと宝探し気分も。さらには、お盆に親せきが集まってワイワイ言いながら掃除をしているような温かい雰囲気も味わうことができた。

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