『おつくね祭』を終えて 中嶋宏治さん vol.3
(岩佐)
おつくね祭は実行委員のような企画する人だけでなく、
お祭りに来てくれる人たちや、神輿パフォーマンスを披露する人、模擬店を開く人、提灯を吊るす設営さんや音響スタッフ、協力金や協賛金をくださる皆さんなど、いろんな人が関わることで成り立っていることを今回知りました。
中嶋さんはそれぞれ皆さんに対してどういう思いで準備を進めてきたのでしょうか。
(中嶋)
来てくれて楽しんでもらうのももちろん僕の中では嬉しいし大切だけど、
実行委員長させてもらって一番思いが強かったのは、
手作りとか、一緒に祭りを作るというところ。
『うららの作る、うららの祭り』
それが将来この祭を持続していくのには大切なんじゃないかなと思いますね。
おつくね祭には当日、目に見えるような表面上のものだけでなく、
その前には目に見えない先代が今まで積み重ねてきた汗がいっぱいあります。
そこをちゃんと理解していかないと続かないし、失敗も大きくなると僕は思っています。
特におつくね祭はオール手作りで、職人級のミドルクラスがいないと動かすことができない状況にあります。
提灯だけでなくて、本部や模擬店全体の電源設営や裏方さんもいないとできません。
そういう目に見えないところの思いを共有していくことが大事で、今回のおつくね祭はそれに尽きると思います。
(岩佐)
なるほど、『目に見えないところ』ですか。
(中嶋)
僕がやりたい祭というよりかは、『みんなが参加する祭』になることが一番望んだところです。
先程も少し言いましたが、昨年が1日だけの開催で、コロナ明けということもあってキッチンカーと花火とマルシェだけという一風変わったおつくね祭だったにも関わらず、瞬発的に多くの人が来てくれました。
それも相まって今年の本格開催ではその去年をそのまま拡張して、
『コロナ前のおつくね祭からは思いっきりリニューアルしよう』という方向に走ろうかなと4月くらいまでは思っていました。
ただ色々な人と話していると、従来の模擬店でみんながまた集まるきっかけができるし、模擬店の目的はお金を儲けることじゃなくて、そこにみんなが集まって汗を流すのきっかけになること。実際今年はコロナ明けにも関わらず9団体が模擬店に参加してくれました。
また、親御さんや子供さんや学校の先生方と話をしていると、
神輿パフォーマンスをどうするのって話になった時も『継承していくならやっぱり子供らからだよね』という話になって、やるからには親御さんたちをお祭りに巻き込みたいなという思いになりました。
町内の自治会さんと相談して、神輿パフォーマンスをやろうということになりました。
そこが従来通りのおつくね祭のほうに舵を切ったところになるかなと思います。
改めて若い人でおつくねに参加してくれる人たちが出てきてくれたから、また来年に繋がるかなと思っています。
そうやってみんなの楽しみを吸い上げていってることが、地区協力金や協賛金を貰えることにも反映しているのではないかと思っています。
(岩佐)
僕らの知らないところで色々なやり取りがあったんですね。
(中嶋)
これから先どうなるかは次の世代に考えていってほしいなと思うけれど、今年の第25回はこうやった、という感じです。
人によっては『全部手作りじゃなくて外注したら楽でいいのに』と思う人もいるかもしれません。でもそこをみんなが手作りでやってくれてるところに価値があると思っています。
外注したらもっときらびやかな祭になるだろうけど、東郷地区のみんなの協力金、協賛金で参加してもらっているという形がある中で、外注して多くのお金がかかると、そのお金を賄いきれないところが現実的な話です。
一戸あたりにいただいてる地区協力金の負担も多くなります。
協賛金も今までの関わりや付き合いの中がある中でいただいているお金になるので、
もし全く新しい今風のやりたい祭りにするとなると、そこらへんも考えてやっていかないといけないのかなと思います。
ただ今年は自分なりに、若い人が思うようにできるよう努めたつもりですが、それ以上に今年の若手スタッフたちは本当によくやってくれたと思います。
新しい手作り感を出していこうとなると、時間もかかると思うけど、また新しい仲間を増やしていって、これから祭全体をコーディネートしていけるようになっていってくれたらとても嬉しいです。
今年は従来通りの色が強くなったけど、一方でゆっくりやりたいことに変えていってもらえばと思うし、若いみんながいっぱい先代から吸収していってほしいですね。
(岩佐)
初めて実行委員に入った人に『今年楽しかったから来年もやりたい!』って思ってもらうことが大切ですよね。
先ほどがおっしゃってた『目に見えないところ』というのが分かった気がします。
協力金、協賛金をもらったりであったりとか、模擬店が東郷人みんなの集まるきっかけになっていることとか、手作りで汗水流してやってみんなで作るのが中嶋さんの思う『おつくねらしさ』というところなのですね。
私のように初めて実行委員会になり、企画準備に参加した身としてはなかなかそこの部分は知りませんでした。
そういう意味合いでは、従来の『おつくねらしさ』やブランドは保ちつつ、若手に『ウォーターサバゲー』という企画を手作りで新しい企画をしてもらったのは今後のおつくねのためにもよかったんじゃないかなと思います。
(中嶋)
こんなことができる祭というのは福井でも少ないのではないかと思います。
それだけブランドになっているから自信と誇りを持っていいお祭りですね。
なによりおつくね祭の実行委員長という、一生に一度の経験をさせてもらい、とても勉強させてもらいました。
そのことを記事にしたことも実行委員長の務めだと思います。
この度はありがとうございました。
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〜執筆後コラム〜
私は今年から初めておつくね祭に関わりましたが、これまでの一連の企画準備や取材を通じて、おつくね祭について私が知ることが出来たこと、実際に写真や文書に収めることが出来たことは、まだまだほんの一部分なのかなと思っています。
実行委員という中にいる身として、広報として取材している身でもまだまだ知らないところが色々あるんだなと感じ、
改めておつくね祭のこれまでみんなの流してきた汗の積み重ねやスケールの大きさを感じました。
そんな祭が地元にあることに誇りを持って、また来年も少しでもこの街のために貢献できればと思います。
そして何より、この祭を楽しく一緒に盛り上げくれる仲間がこれからどんどん集うことに期待したいです。