アライグマが捕まった
小さな箱罠に、うずくまる生き物。
目を開き、呼吸はしているけれど、全く動かない。
この生き物は、明日には安楽死させられる運命。
ブームで輸入され、飽きられ、捨てられた末裔。
この里山で生まれ、お母さんに世話をされ、兄弟と遊び転がり、生き延びて、大人になった。
生ゴミの匂いに引き寄せられ、食いっぱぐれのない良い餌場だと思って通っていたのだろうなあ。
写真なんか、撮る気になんかならんよ。
どうすればこの子を助けられるか考えたけど、私が引き取って養う一択で、それは当然不可能。
「暴れて、抵抗してくれればもっと気が楽なのに。あんなに元気がないと後ろ髪ひかれるよ」と、箱罠を仕掛けた人も言う。
私たちは、当然動物を殺して食べる。
里山に熊が出た時は、それが子熊でもハンターは仕留める。
卵を産む鶏の兄弟は、シュレッダーにかけられ、卵を産まなくなっためんどりも、どこかに連れて行かれる。
我が家の猫たちが食べるご飯も、元は生きていたものをドライやウェットに加工したものだ。
自ら手をかけることはないけれど、そう言うことだ。感謝して、いただくのだけれど、やっぱり時々、やりきれない思いがわいてくる。
ヴィーガンになるキッカケも、そんなことだったりするのかな。
しかし、野菜にも肉眼で見えない微細な生き物が巣食っていることを、想像したりしないのかな。