7月15日 日記 今さらミッドサマーを語りたい
映画を語りたい、今。
もちろんオタクが映画について話すというのがどういう意味かは分かっている。
ネットで見た知識を鼻高々にひけらかし、独りよがりの自分語りをするインターネットを介した自慰行為だ。
しかもオタクの界隈の「好きな映画は?」という質問は念能力者における「錬を見せてみろ」と同じ意味を持ち、相手の力量を測るためのめんどくせー質問である。
そんなオタク同士のマウントの取り合い、もう飽き飽きしてんだろ?
分かるよ
でもさぁ…
映画語りてーーーじゃん!!
いい?
じゃあ、語(かた)るね…
今回話したい映画は…
ミッドサマー
まあ落ち着けって、とりあえずその鉈を下ろしてくれ。
さすがに分かってるよ、ミッドサマーなんて散々擦られてネット上で百万回語られてる映画だし
俺だってもう味がしなくなってることぐらい知ってるさ。
でもさ、
『X』(A24の新作ホラー映画)とかやるじゃん?夏だし、怖い映画とか見たくなるじゃん?
ごめん。
正直に言うと、
先日参加したスペースにてミッドサマーの話題が出た時に、自分がオタクだと思われるのを恐れて話に乗れなかったのが悔しくて個人的にリベンジがしたいと思っている。
でもいいじゃん
なぜなら本作「ミッドサマー」は、アリ・アスター監督の個人的な体験談を元に作られているのだから。(完璧な導入)
あと今回ミッドサマーの再視聴をせずにすべて記憶を頼りに書いているので、情報がめちゃくちゃに間違っている可能性があります。
〈あらすじ〉
このあらすじを見たほとんどの映画ファンは1973年のカルト映画「ウィッカーマン」を連想するはず。
(わざわざ1973年って書いたのは後に作られたリメイク版と区別するためであって、知識のひけらかしじゃないからな!!)
どちらの映画も「主人公が原始的宗教が残る土地に訪れる話」という点が共通している。
またウィッカーマンの主人公は熱心なキリスト教徒であり、ミッドサマーの主人公の彼氏の名前は「クリスチャン」
この二人の立場と末路を比べると、やはり2つの映画の関連性を考えてしまう。あとどちらの映画もめっちゃエロい
ここまでの話はめんどくさい映画オタクの界隈では割と有名な話ではあるが、アリ・アスター監督はウィッカーマンからの影響を否定している。
ここまで読んでくれたみんな、憶測と噂ばかり書いてごめんね🙇
実際にはアリ・アスター監督が本作の脚本執筆中に影響を受けた作品に、日本の映画「神々の深き欲望」を挙げている。
「ミッドサマーは日本の今村昌平監督作から影響を受けている。」
これを言えばダルい映画オタクの鼻を明かすことができるぞ!!
〈映像について〉
ミッドサマーでまず特筆するべき点は、ホラー映画とは思えない映像美である。
物語の舞台になるホルガ村は
・スウェーデンの大自然の中にある
・白夜のため一日中太陽が出ていて画面が明るくなる
・住民の着る民族衣装がとてもカラフル
と、ほぼどうぶつの森のみたいな場所だ。
ホラー映画らしからぬ明るく鮮やかな映像で描かれるホルガ村だが、そんな画面の美しさとは裏腹に映像はどんどん不気味になって行く
「美しいけど不気味な映像」という若干矛盾しているようにも見える映像は、監督こだわりの映像技法によって表現できたものだ。
ちなみに、アリ・アスター監督は上記の「神々の深き欲望」のほかにも影響を受けた作品で様々な映画を挙げているから、影響作品を調べているだけで勉強になる。(スギちゃんはこう見えて映像・映画専攻だよ!!)
一部作品を挙げると、
ラース・フォン・トリアー監督作「ドッグヴィル」
セルゲイ・パラジャーノフ監督作「ざくろの色」「火の馬」
ロイ・アンダーソン監督作「散歩する惑星」
マイケル・パウエル監督&エメリック・プレスバーガー監督作「黒水仙」
チャン・ジュンファン監督作「Save the Green Planet!」
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以下略
正直言ってもう眠い。
最後に至っては日本で観る手段がないし
アリ・アスター監督の引き出しの多さには驚かされる。
「俺、この映画全部履修したら結婚するんだ。」
〈なぜ今さらミッドサマーなのか〉
公開から3年も経った今頃になってミッドサマーについて語ったのか、理由は上で書いた「スペースで上手く話せなかったリベンジ」だけではなく(ほとんどこれなんだけどね。)今だからこそこの映画を観てほしいと思ったからだ。
ここからは監督の意図からかけ離れた完全に個人の考えになるが、
本作は心に傷を負った主人公がカルト宗教の中に居場所を見つける物語である。
昨今の情勢により非常にデリケートな話題ではあるが、
本作ミッドサマーのラストがハッピーエンドなのか、それともバッドエンドだったのかを考えることが今後の宗教のあり方を考えるきっかけになると思います。
先ほども書いたように、ここまでの考えは俺個人の勝手な解釈であり監督の主張や意図とは関係のないものだったが、
今後もこうやっていろんな解釈とか考察のできる映画が見れたらいいなぁ、なんて思います。
それでは次回『スギちゃんクラフトビールを語る』でお会いしましょう!!
(おわり)
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