井上先生のnoteと対話してみる~処分性の検討~
こんにちは、あるいはこんばんは。
アガルートにて司法試験・予備試験受験指導講師をしております、とげぬき法律事務所弁護士の寺岡です。
さて、今日は皆さん大好き井上先生の書かれた処分性に関するnoteを読んでのアンサーソング、いや、アンサーnoteを書いてみる。
それはまるで
「ここにいるよ」/feat. Soulja 青山テルマ
→「そばにいるね」/青山テルマfeat. Soulja
のように。
と前置きはともかく、井上先生ご紹介のとおり、処分性は2要件や4要件で説明されることが多い。
そして私自身は4要件で教わり、司法試験もそうしていた。
しかし、行政法に限らず、答案を書く際には、
”自分で出した規範には責任をもって対応させなければならない”
ため、4だと単純に量が多い。
一方、2要件なら、公権力性は2でも4でもどのみち当てはめるわけだし、残り3つを2要件なら全部まとめてぶち込むことができる。
ゆえに、現在は2要件+救済の必要性で書くよう指導している。
が、4要件をまったく理解しないのもちと怖い。というのも何よりも大切さなのは、誘導に沿うこと。後述するが、近年の司法試験では判例が引用されるところ、例えば、誘導で
”外部性に関して示した判例(最判…以下略)を参考に検討して”
と言われた場合に2要件しか学んでないと
「ん?なんだ外部性って?わからんぞ」
みたいなことが起こりうる。
これに近い事態が令和4年予備試験で起こった。
無効確認訴訟の「原告適格」が問われたのである。
そして、「原告適格」と言われた結果、知識のない受験生は
「法律上の利益」という文言を検討して、終わってしまっただろう。
しかし、無効確認訴訟にいう「原告適格」は、
「…によって目的を達することができない」まで含んでいたのだ!!!
先の外部性の話もこの原告適格の話も
”自分が脳内で抑えていたワードと、問題文で示されたワードにギャップがあったために生じるミス”
といえよう。ゆえに、4要件の考え方それ自体は知っておく必要はあると考える。
大切なのは判例を整理し、どの要件との問題かを意識すること、である。
たしかに、
”個別具体的な法効果性が直接生じているのか?”
が問題の所在であることは多い。マネオプ指導でもそうだ。
が、知識を確認すべくマネオプ指導の際、
寺岡「じゃあ、本件はさほど問題にならないけど、公権力性が問題になるときってどんなとき?」
と尋ね、ちゃんと返答ある受講生は…10人いて1人いるかいないか。
(学習段階により変化はあるだろうが)
ゆえに、万が一公権力性がメインで出題されてしまうと、全体的な出来は悪くなるんだろうな、という印象(だからこそ習得しとけば上位に躍り出ることができる。ピンチはチャンスなのだ)。
ゆえに、2でもでもいいから、まずは判例が何を問題とし、どう答えたかを理解しておくことが何より大事。
特に近年の司法試験では、わざわざ問題文で判例が引用され、「この判例を踏まえてね」と指示がある。ということは、
「ああ、病院の判例だ!「相当程度の確実性をもって」つーかおっ」
「保育園のやつか。限られた特定の者ってやつや」
「これは、冷凍スモークマグロの判例だ」
と気が付けるような勉強をせねば対応できないことになる。
ちなみに私はロースクール通ってたこともあり、テストにビビっていたため、 処分性と原告適格については主要な判例をエクセルを使って、
肯定する理由と否定する理由(どっちかは判例の結論だしどっちかは学説になる)をまとめた。
ありゃ大変だった。特に判例が肯定した場合には、否定説では「後続の〇〇処分を取り消せば足りる(つまり成熟してない)」とか抑えねばならなかったので。
百選解説やら
木村琢磨教授のプラクティス行政法やらhttps://www.shinzansha.co.jp/book/b10011858.html
ケースブック行政法やら
読んだりして探しまくりましたよ。
基本行政法
はこのときまだなかった気がするな。
というわけで、私から伝えたいのは、
判例しっかり学ぼうぜ
ということになります。
そして、井上先生ご指摘のとおり、4要件でも2要件でもいいが、前者は難易度上がる&手間が増えることを考えると、答案に書くときは2要件のほうがいい(ただし日々の学習では4要件としても位置付けておく)かなと思いますねえ。
以上です。なお、最後に一言。
この記事は意図的に一切見出しがありません。
読みづらいでしょう?そう、見出しないのってけっこうストレスだったりする。だから、答案にも見出しを使って効果的にわかりやすい文章を書けるといいですね。
はい、これで本当におしまい。