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大学のキャンプで足を引っ張り続けた陰キャが、最後は大活躍した話


大学1年の夏、ゼミの男女15人でキャンプに行くことになりました。

キャンプなんて超インドア派の僕にはダルすぎる! まったく行きたくありませんでしたが、欠席してる間に他のメンバーが仲良くなるのは切なすぎます。ので、参加せざるをえませんでした。


2泊3日、おしゃべりはまあ楽しかったです。でも、つくづく向いてなかった。


テントの熱さや虫が嫌すぎて起きるたびに不機嫌で不眠症でした笑 せっかく水着も持ってきたのに髪型が崩れて顔のデカさが目立つのが嫌で「ダリィわ〜」とかカッコつけてひとりだけ海に入りませんでした笑 カレーライス作りも人参やジャガイモの切り方が下手すぎて女の子たちが「あんたの学校って家庭科なかったの?」と辛辣でした笑 それが辛くて調理のあいだ行方不明になっていました泣


そんな風に人間としての評価が下がり続ける中、、、


キャンプ最終日の朝。立つ鳥跡を濁さず、全てのゴミを袋に詰め込みました。大量の花火の残骸や使い捨てのオモチャ、みんなで作った15人分のカレーライスやバーベキューの容器や残飯や生ゴミ、真夏日に喉が渇きまくって飲みほしまくったペットボトル、空き缶、おつまみやお菓子の袋、2日ためこんでいたので凄い量と臭いです。


自分の着替えやら本来の荷物と一緒に、ひとり一袋のゴミ袋を抱えて歩きます。ゴミ捨て場が本拠地から数百メートル離れていて面倒だったので、帰る時にまとめて捨てればいいや、と判断していました。これが裏目に出ました。

その日はゴミ捨て場が利用禁止だったのです。数百メートル歩いて、これは途方に暮れます。

そのキャンプ場は最寄り駅からバスで30分ほどなのですが、リーダーは苦渋の決断をすることに。

「ゴミを持ったままバスに乗って、駅の付近で捨てられる場所を探そう」

これにはみんな絶望しました。バスに悪臭を持ち込むのも嫌ですし、猛暑の中このゴミ捨て場からバスまで歩くのも1km弱あります。駅についたところで、果たして本当に捨てられる所があるのか?

でもみんな疲れてましたし、思考するのも面倒で何も反発せずリーダーに従ってゆっくりと歩き出したんですね。ぼんやりと虚ろな目をしながら。

で、比較的元気な男子が、「◯◯ちゃん、距離あるしオレ持つよ!」ってある女子のゴミ袋を代わりに持ってあげたんですよ。

それを真似して、何人かの男子も「◯◯、オレ持つよ」「俺も持つよ!」って他の女の子たちに追随しました。これが一見レディーファーストで素晴らしい行動に見えるんですが、、、。

あからさまに人気のある女の子から順番に声をかけられてまして、、、笑

何人かのゴミを持ったままの女の子たちの顔が、めちゃくちゃ険しくなっていって、、、笑

で、男女比は女子の方が多かったので、このままだと一番魅力のない女の子だけが生ゴミを持ち続けるという最悪なババ抜きになることが確定してしまい、本当にヤバいと思った僕は、


先頭のリーダーも追い抜くくらい、ゴミ袋抱えながらダッシュで走り出しました。

後ろを気にすることなく、走って走って走り抜け、たどり着いた先は、、、



海!


の脇にあった、ゴミ捨て場でした。


前日みんなが海で遊んでいた時、ここにもゴミ捨て場があるんだな〜と、なんとなく記憶していたのです。なんせ僕は浜辺に敷いたレジャーシートに、カッコつけてひとりぼっちで座ってたからね!!!


今日も使えるみたいだったので、すぐにリーダーに電話。「ゴミ捨て場みつかったから海に来て!!!!!」


遅れてやってきたみんなの、無人島から船を発見した時のような、希望にみちた輝かしい表情。


「お前やるなあ!」「助かったわー!」「このままバス乗りたくなかったよ〜」「ファインプレーだねっ!」「最高だよ!」


ほんと世界を救った勇者レベルの讃え方をしてもらえました。僕は鼻高々、最高のキャンプの終わり方を迎えられたんですね。



マジで。


マジで。



マジでこれが、僕が人生で一番、人の役に立った瞬間なんだよねッ、、、。


30年以上生きてきて、人生でこれほど褒められたこと、あんなに人に感謝されたこと、後にも先にもないんだよねッ、、、。



就活の面接も他になんも言えることなくてこれをアピールしたんだよねッ、、、。


「私は記憶力がよく臨機応変に対応できッッッ! みんなのためにゴミ捨て場を見つけて感謝されましたッッッ!」って力説して落ちたんだよねッ、、、。



陰キャ人生すぎるんだよねッ!!!!!



死ぬまでには塗り替えたいねえ。





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トゲ(弱者エッセイ)
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