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硬派な友達との電話が繋がったままで、妻さんへの裏の顔を知ってしまった話


大学時代の友達に荒木(仮名です)という武闘派の男がいます。


こいつは骨のある男で、学生時代から先生や先輩にもおかしいことがあると思ったら怯まずに意見を言う頼もしい奴でした。どんな物事でも好き嫌いをはっきりと言うタイプなので敵も多かったけど僕は大好きで、卒業して5年以上経っても定期的にLINE通話する仲でした。


「上司の若手に対する使えない奴イビリがひどすぎるんだよ。このまえ我慢できなくてさ、育て方・教え方が上手くいってないことにも原因があると思います!って言っちゃったよ。言うだけだと口だけだから、俺の仕事じゃない管轄外の部分でも後輩たちのフォローするようにしてる。大変だけど致し方ない」


荒木は仕事先でも惚れ惚れするような兄貴っぷりを発揮しているようです。


それから趣味の話や、痛快な政治話なんかもして、



「あ、嫁さんが晩御飯つくってくれたわ。まあでもまだ話し足りんな、ちょっと待ってもらおう、、、。(嫁さんに対して)おいすまん、あと5分だけ電話する、、、」


と亭主関白を見せつつ、今日のトークの総まとめに入り、また今度と通話が終わったのでした。



しかし、、、。



ガサゴソと、ポケットにスマホを入れたような音が聞こえました。


僕らはてっきり相手が通話を切ったものだと思い込み、お互いが通話を切らなかったのです。



そして、すぐさま、




「ご飯待たせてごーめんねっ!」




荒木とは思えないようなナヨナヨ猫撫で声が聞こえてきてびっくりしました。



「もう、冷めちゃうわ。早く食べましょ」


結婚式で一度会っただけの、専業主婦で年下の奥さんの声までばっちり聞こえます。



「今日のご飯はなあにかな?」


「肉じゃがだよ〜〜〜〜〜!」


「わあいやったやったあ〜〜〜〜〜〜!」



子供のようにはしゃぐ荒木、、、。バンザイでもしているかのような喜び声です。



こんな荒木、今までの付き合いで一度だって見たことがない。結婚式の時だって男らしく、妻のことを守り抜くと誓ってた!!!



その後もご飯食べながら「おいちいおいちい♪」と幸せそうに喜ぶ荒木にキュンキュンしていたのですが、なんか明日の天気の話になって、またガサゴソと荒木がポケットからスマホを出す音が聞こえて、



「あれ?」と荒木が気づいて、



急いで自分の部屋に戻る音が聞こえて、



「◯◯ー?」


と僕の名前を呼びました。


「はい」


「聞こえてた?」


「聞こえてたね、、、」


「うん、そっか、、、」


「うん、、、」


「まあ別に、このくらいどうってことないんだけどね。普通だし。よくあることだろ? お前だってそうだろ?」


「うん。俺もそうだよ。みんなそうだよ」


「だよな。みんなそうだよ。男ってみんなそうだよな」


「そうそう。男がみんな、そうだから」


「だよな。まあだから、なんてことないよ」


「うん。なんてことない」





「だから1秒でも早く忘れて下さい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!泣泣泣」




最初は強がって平静を装ってたけど一気に180度方向転換した荒木に腹を抱えて笑いました。




「いや、絶対に忘れないよ。素敵なことだからみんなに喋ります!!!!」


「勘弁してくれ〜〜〜!!!」



こんな最高なギャップ、秘密にするわけありません。僕はちょこちょこ大学関連の飲み会でこの話題を放出し、今まで荒木に苦手意識を持っていたおとなしめの人たちの親近感が上がってゆくのでした。



近頃は「嫁さん」から「妻」呼びに変えた荒木よ、これからも妻さんと支え合いながら、社会の荒波で活躍しておくれ!!!!!!



疲れ果てても帰宅すれば大丈夫!!!




おいちいご飯と妻さんが待ってるから〜〜!!!!




ばぶ笑










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トゲ(弱者エッセイ)
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