見出し画像

秋元康をダサいと嫌ってた彼女が結婚式の余興でAKB踊る事になっちゃった話


20代、僕の彼女は秋元康のアイドル系の歌詞に否定的でした。

「あまりにダサいし、おじさんの妄想すぎる。男にとって都合が良すぎる」

「それでいいんだよ基本的なターゲットはあくまで男性なんだから。メンズアイドルの歌詞に対して男性が『こんなオトコ現実にいないよ!』って騒いだって仕方ないじゃない」

サイレントマジョリティー、二人セゾン、エキセントリック。主に当時の欅坂46の楽曲や歌詞が好きだった僕は康を庇いました。(彼女はサイマジョも「大人たちに支配されるな」と大人に歌わされていることに疑問を持っていました)

「もっと『川の流れのように』みたいな歌詞を書けばいいのに」

彼女は美空ひばりの川の流れのようにだけは認めています。

「それだけ時代、歌い手にあった振り幅ある歌詞が書けるって凄味があるんだよ、、、。NMB48のドリアン少年って歌詞とかみてみ?」

みんなにダサいと言われている彼氏のことが大好きな女の子の歌の歌詞を僕がスマホに表示させると、「これは共感できるねえ」と彼女は頷くのでしたやかましいわ!!!


そんなある日、彼女が浮かない顔で報告してきます。

「大学でお世話になった先輩の結婚式、先輩がむかし指原莉乃推しだったってことで余興でみんなで恋するフォーチュンクッキー踊らなきゃいけなくなっちゃった最悪!!!!」

「えええ、きみがフォーチュンクッキー踊るの!?wwwww」

僕はニヤニヤ笑いが止まりません。見た目の雰囲気はクール系の彼女が、苦手としている秋元康の総本山AKB48の恋するフォーチュンクッキーを大勢の前で踊らさせられるだなんて!!! なかなかの羞恥プレイです!!!


「あああ無理無理無理無理」と絶望する彼女に、「絶対に結婚式の映像もらったらみせてね」と僕はヘラヘラお願いして、「死んでも嫌だ!!!」と拒絶されるのでした、、、。



しかし。


「なんかフォーチュンクッキー、慣れてきた」

「踊るのが楽しくなってきた」

「キャッチーで誰もが歌える、良い曲。『未来はそんな悪くないよ』の『そんな』っていいよね」


踊りをマスターするために何十回と聴いてきたからか、すっかり彼女は洗脳されてしまいました。


まあセンターの指原莉乃もフォーチュンクッキー最初はダサくて嫌で嫌で泣いていたらしいから、それを凌駕する圧倒的キャッチーな作詞作曲なのでしょう。あれはやっぱり平成後期を代表する神曲。



結婚式まであと一週間に迫ると、半個室の居酒屋で、ほろ酔い状態の彼女はとうとう、



「ねぇわたしが恋するフォーチュンクッキー踊ってるところ、見てくれる、、、?」


とかまで甘えた声で言い出すようになっちゃいました恐るべし秋元康、、、。

「見たい見たい!!」と即答すると、彼女は立ち上がってスマホのYouTubeで恋するフォーチュンクッキーを流し始めました。


「あああわたし何やってんだろう! でも見てほしいの。せっかく練習したんだし、そうせっかく練習したんだし! 練習したものは見せたいじゃない? 見せなきゃ勿体ないものねぇ?」


そう言い訳を並べながら酔ってるし照れくさいしで顔を真っ赤にして、でも振り付けは完璧に踊ってみせる彼女のアンバランスさが、もう本当にこの人の恋人でよかったなあと深く噛み締めちゃうほど可愛い生き物でした。



先輩のために踊った結婚式も盛り上がり、感謝を告げられたそう。



こうして彼女の好きな康の楽曲に、恋するフォーチュンクッキーが追加されましたとさ!(2曲目)



嫌いなものに好きなものがあったり、好きなものに嫌いなものがあっていいよね、というお話。


おしまい




いいなと思ったら応援しよう!

トゲ(弱者エッセイ)
いくつか記事を読んでくださった方ならわかると思いますが、貧、なので生活に余裕がある方はサポート、チップしていただけるとめちゃめちゃ感謝です!