2021 KOUMI100マイル サポート&ペーサーメモ
いつも一緒に練習する hyamanaka さんが2021年KOUMI100マイルに参戦することになり、ありがたいことにサポート&ペーサーに任命いただきました。準備したこと、対応したこと、レース中にやったことなどの話をざっと。
ぶっちゃけペーサーって何をしたらいいか分からない。Webで探すとトップ選手のペーサーの話があれど、なんか違う気がする。自分で模索するしかないかなということでメモ書き。
この記事のまとめ
サポート&ペーサーとしてやったことは下記。
特に重要なのは「周回ペース / 適切に声がけ」だと思ったので、ここは試走で入念に確認したし、声がけも事前に決めておいて、あとは本番という感じだった。
上記がまとめ、ここから詳細。
サポート&ペーサーにされて嬉しかったこと
初めにサポート&ペーサーにされて嬉しかったことを振り返り、それを軸にサポート&ペーサーをどうするかを考えてみようと思った。これまでペーサーをしてくれたのは、2020小海100マイルの大友さんと、2021奥信濃でのhyamanakaさん。
サポート&ペーサーからされて嬉しかったこと一覧
レース前
事前準備についてアドバイスもらえた
レース中
サポートから
エイドタスクをヘルプしていただいた
レース状況を細かく伝えていただいた
ペーサーからされて嬉しかった
一緒に走るだけで、いつもの感覚を思い出せた ★
走るときのリズムを作ってくれた ★
声がけが嬉しかった
ちょっと頑張った時に「ナイスラン!」と言われた ★
次のエイドまでの距離・累積などの情報を提供してくれた
他の選手の状況や天候など、気になることの情報提供してくれた
ポイントは3つ
ポイント1. いつもの感覚を思い出せた
自分が選手の時、ペーサーと合流して会話しながら走っていると、どんどんと いつもの調子 になってきた。「この感覚はいつもと一緒だな。これこれ。こういう感じでやれば大丈夫」って思った。
多分ペーサーは何もやっていない。いつものように一緒に走っただけ。
ただ、レース中の選手は孤独でいつもと違う環境下で走っている。そんななかで走っているからペーサーと合流して落ち着いて走ると、だんだんいつもの感じを思い出して「いつも通りにやればいい」って思えた。
レースだからって特別なことはしない。いつも「このポイントまでは●分なんですね〜」と会話しながら走ったり、音楽(彩の国プレイリスト)をBluetoothスピーカーから流していたので、小海もそんな感じで走るのが良さそうだなと思った。
重要なのは、いつもと同じ感覚を思い出してもらうこと、レースだからといって新しいことはしないこと。
ポイント2. 走るときのリズムを作ってくれた
選手としてレースに参加して疲れていて歩いている時に、ペーサーが超ゆっくり走り出すと、どんなに疲れていても走り出せちゃうんですよね。
絶妙なゆっくりペースで「このくらいゆっくりなら走れるか・・・」って思って走り始めるんですが、いつのまにかキロ6くらいまで上がっている。よほどの登りが出てこない限りは走り続けられる。この感じは一人では生み出せないと思う。このくらいなら、、、って走り出して、いつのまにかつられていく感じ。
「いつも通りと思える空気感」×「走り出しのリズム」で、疲れていても走る一歩をうまく作ってくれて走れるなと思う。
メモ3. 「ナイスラン!」の声がけ
これ、まじで嬉しい。
意外と自信にもなる。本番で走って→疲れて歩きはじめた時に「いやーナイスランでした」って言われると、何か嬉しい。普通に考えたら全然嬉しくないはずなんだけど。
それでも嬉しかったのは、これまで一緒に何キロも走ってきて、全てを知っている人がいう「ナイスラン」だったから、本当にナイスランなんだなと思えたのかな。
その他
本人のいないところでレースについて、とやかく言わない。本人いる前で笑いながら「こんなことあったよねー」と笑うのは良い気がするんだけど、本人のいない場、例えば「サポートが足りなかった、自分の力が及ばなかった」とか、「何か出来たことあったな」とか、そういうことは言わない。
サポート&ペーサー方針
レース前
事前アドバイス
可能な限り練習を一緒にする(一緒に走ることに馴染んでもらう = 一緒に走り出したら、いつもの感覚を思い出してもらう)
サポート
エイドワークを把握して手伝う
目標、ライバルとの差分を明確に伝える
ペーサー
チェックポイントまでの所要時間を確認、周回到着予測時間を伝える(=声がけ→ここで●分だから、〇〇まで●分、このペースならこの周回は●分で着くよ!)
目標に達しない場合は、ペースを上げる。ペースを上げる際や走るときには、ゆっくり→徐々に速く
走って歩いた時には、必ず「ナイスラン」と声がけする
賑やかしは適切に、調子乗らない
音楽をかける
こんな感じでサポート&ペーサーをやることにしました。
ここからは前日から当日の流れ
レース前まで
はじめは、こんな感じでお声がけいただきました。
山中さん超強いので、、、普通にチギられそうな気がするんだけど、、、
と不安になりながらも、ラスト2周の想定が12時間30分だから、チギられることはないか・・・ということで快諾。
でもサブ30か、天気次第だな。天気次第ではサブ28いけるな、サブ28で考えておこう。一方で、100マイルは完走するだけですごいじゃん、とも思う。レース前は煽りつつも、レース中はほどほどにがいいかなとか思っていた。
一緒に練習した内容
そこから、7,8,9,10月の土日で一緒に練習した内容はこんな感じ。
最初に八ヶ岳で峠走して、徐々に試走へ切り替え。
小海において、高地順応は重要なキーワード。可能な限り高地で走った。
エイドワーク、補給戦略を把握する。
本人が考えていたものを見せてもらいました。昨年、自分が小海で用意した下記をベースにされていたので、昨年の俺のものを参考までに。hyamanakaさんは下記をベースに無駄のないものに仕上げていました。
前日
前日は車で移動。会場に到着し、ベースをどこにするかで悩んだ。
スタート地点の補給場所をテントサイトにするか、車サイトにするか。昨年は車サイト最高って思っていた。ただ、車エイドは火器NGとのお達しが。
考えた結果、車サイトとテントサイトのハイブリッドで行くことにした。テントサイトで火器使用→車エイドでサポート想定で。
レーススタート
選手と連絡のやりとり
レースがスタートして、サポート業務が始まった。エイドワーク短縮(主に水の用意とカップラーメンの用意)とライバルとの差を共有するお仕事。
ただ、選手がいつ戻ってくるかわからない。昨年は戻り本沢温泉のタイミングで携帯取り出してペーサーに連絡していたが、今年はどうしようかなと話して、下記のように取り決めた。
にゅう後のロード(テントサイトに移動)
本沢温泉(お湯沸かす)
最後のロード出たら(カップラーメンにお湯入れる)
上記それぞれで連絡。いや、これ面倒やろ・・・と思いながらも、hyamanakaさんは「いいですよ」と一言。携帯取り出して連絡するの面倒じゃないかなと思ったら、AppleWatchからSMSをテンプレ送信するということをやっていた。まじか、神すぎる。AppleWatch持っていないし欲しいと思ったことは一回もないけど、買いたくなってしまった。
1-3周目はAppleWatchとGarminの両手使い。
事前に「にゅう後のロードでました」「本沢温泉下ります」「ロード出ました」をテンプレで用意して、ワンタッチでSMS送信。
その他メッセージはSiriに話しかけて、そのままSMS送信
というわけで、1周目が終わり、2周目が終わり、3周目が終わり、それぞれ戻ってくるタイミングが正確にわかっていたので、第二駐車場前で待ちうけてる。
hyamanakaさんが来たら先ず、「調子はどう?」「心拍は?」と聞き、続いてボトルを受け取って先に走り、エイドワークを手早く済ませるようにした。これは上手くできたかなと思う。
周回ペース、コース戦略を把握し、適切に声がけする
3周目が終わった。ここからは一緒に走り、声がけで選手をモチベートする。各ポイントで目安時間を設定。声がけ内容も決めておいた。
最初のトレイルの入り口(ここまで15分、いつもと一緒!と声がけ)
トレイルでひらけた場所(ここまで45分、いつもと一緒!と声がけ)
合流地点1km手前の橋(あと1kmで合流、本沢まで1.5km!と声がけ)
本沢温泉(ここまで1時間20分、いつもと一緒!と声がけ)
稲子湯(ここまで1時間45分、いつもと一緒!と声がけ)
にゅう(ナイスclimb!ここまで3時間弱、5時間ペース!と声がけ)
戻り稲子湯(ここまで3時間40分、いつもと一緒!と声がけ)
本沢温泉(ここまで4時間15分、いつもと一緒!と声がけ)
これは、2回試走して、イメージしておいた。
特に2回目の9月19日に2周をレースペースで試したことが非常に大きい。
1周目は5時間、2周目は5時間30分と考え、実際にそのペースで回って各ポイントポイントの所用時間と時間の減衰をイメージすることができ、かつどこでどんな声がけをしようかなと考えながら走っていたので、実際のレースでも上手くできたかな。
また、にゅうはフェーズ分けをして、各所要時間を頭に入れておいた。
登りパート(林道→再度トレイル→平坦になるあたりまで)
荒れたトレイルパート(歩きにくい区間。丸太を渡るところまで)
ラストパート(最後150mアップ、直線してひらけて新稲子湯周辺)
これによって、
「登りパートが終わったよ、これからは平坦だ。あと45分くらい」
「荒れたトレイルパートもあと二つの登りで終わりだよ」
「ここを150mアップで登りきったら、ピークだよ、あと7分ほど頑張ろう」
などの声がけが可能になった。
さらに、ペーサー時に歩く場所と走る場所を明確にしておいた。
スタートから本沢温泉までは斜度5%以上は走らない、微妙に走れるパートは疲労次第。ただ、走れなさそうでも、超ゆっくり走って反応みる
稲小湯までは、手前の登りは歩くとして、それ以外はゆっくり。特にくだりはスピード出るから、敢えてゆっくり。
にゅうはオール歩き。
にゅう後のロードは走る。にゅう登山口手前の坂は歩くか超ゆっくり走る
本沢温泉前の300mアップ坂は歩き。頑張ってもらうときは、ガードレールまで走る、歩くを繰り返し。本沢温泉まで700mからゆっくり走る。
あとは走る、かな。最後ロードのちょっとした坂は歩く
走ると歩くの境では、必ず「おし、ナイスラン!!!すげーよ」と声がけしまくった。そこまで言う必要ある?くらい言った。
この声がけと所要時間把握は非常にうまくいったと思っている。うるさかったかもしれないが、、、いや、いつも通りの話だから、きっとうるさいとは思っていないはず・・・
感想
かくて、選手はゴールしました。27時間38分35位。素晴らしい成績。ほんとすごいの一言👏👏👏目標30時間、29時間、28時間と3パターンのなかで、アップサイドの目標を達成したことが全て。
今回はある程度上手くいったかなと思うんだけど、hyamanakaさんがゴール後に「いつも一緒に走っていたtogashkが「いいよ」とか「ナイスラン」と言ってくれて、これで大丈夫なんだなと思えた」と言っていた。
この内容からすると、小海まで10回ほど一緒に1日中遊んだことが大きいかなと思った。遊び?練習?からお互いのことを認識し、そんなに疑問に思うことがレース中なかったのかな。
良かった点
選手がアップサイド目標を達成することができた
ほぼ想定通りことを進めることができた(事前準備が良かった)
やろうとしていたことは全部できたかな
自分が「これ効くな」と思ったことも全て効いた模様。
改善点
友人がいすぎてレース中に喋りすぎた、すいませんでした。
ペース落ちた際の煽り方が下手だった
想定していなかった
ペーサー全般
状況が変わるので、選手がラウンドしている間の休みは無理。(待っている間、仕事しようかなと思ったけど全くできなかったw)
思った以上に疲れた。(選手が誰よりも疲れていると思うので厚かましいが)サポートもレースやった疲労感があり、これは想定外。1年間振り返ると俺のAレースでもあったw
これまで、ペーサー(大友さんとhyamanakaさん)にこんな大変なことをさせていたのかと気づいた。そのくらい疲れたw
一方で疲れた分、選手と一緒に戦っている感じはしたし、hyamanakaさんが目標達成した時は自分ごとのように喜んだ。個人的にも充実感、めっちゃ楽しかった。2021の俺のAレースw
小海独自
駐車場は早く埋まる。これ、要注意
今後参考にしようと思った点
携帯出さずに外部とやりとりする方法
事前準備が洗練されて、やることが超シンプル
(俺は、まだまだ考えが足りていない)
タイムラインとメモ
レース前日
レース前日、サポート内容、ペーサー中について。下記に結果を記載。
10:30 集合。足りないものの買い出し
11:30 飯(ファミレスでハンバーグ御膳)
12:30 小海へ移動
16:00 到着。前日受付
キャンプサイトにするか、車サイトにするか
キャンプサイトが良さげ、方針変更場所キープ
キープできた。みんな30分前から張り出してんじゃんwww
晴れならキャンプサイト、雨は車がいいんじゃないかな。
18:30 宿に移動、翌朝3時30分に待ち合わせ
レース当日、サポート
3:30 会場移動
3:40 会場到着、車が停めるところがないー奥側の駐車場へ
4:00 テント到着、準備
5:00 レース開始
(来年車エイドにするなら、早めに到着しておかないとNG)
スタート→1回目のサポート
レーススタート、俺はリエックスに戻る
2時間ほど就寝→風呂→飯→会場へ
すでにトップ選手は戻ってきていた
hyamanakaさんは予定通り5時間弱で戻ってきた。余裕なさげ
サポートして車戻る。
1回目のサポート→2回目のサポート
駐車場が埋まってきている
下手に身動きすると駐車場に停めれない可能性
テントサイトでのんびり&車で休む、寝る
ほぼ5時間で戻ってきた、速いなぁ。
ちょっと余裕なさげ、大丈夫かと心配
2回目のサポート→3回目のサポート
駐車場が更に埋まってきている、
下手に身動きすると駐車場に停めれない可能性
車で休む、寝る
ペーサー準備
ペーサースタート
ちょっと疲れているっぽいけど、まだまだ大丈夫そう。
4周目
トレイル入り口手前で、元気なコパさんが通過、hyamanakaさん焦る
本沢温泉までの登りは歩こうかどうしようか迷ったけど、とりあえず超ゆっくり走ってみたら、反応良かったのでそのまま走ったったw(ちゃんとついてきたから、強かったなぁ、、、まじで)
準備通り、声がけもバンバンした(つもり)
本沢温泉、稲小湯、にゅう、稲小湯、本沢温泉と順調にパス
4周目は全般うまく行ったかな
エイドでは用意していた魔法瓶からカップラーメンにお湯を注ぎ、待つ間にその他エイドワークこなす。
自分の分の補給と準備が間に合わない笑
5周目スタート
ちょうどトップが戻ってくるときだった。滝川さんのマイクも絶好調。スタート地点に人も集まってる、はっきり言って邪魔だった。
トップ選手の花道だけど関係ない。こちらも真剣なんだと、空気読まずに突っ込む
本沢温泉までは走るなりなんなり。
本沢温泉通過時刻が遅れたかなと思いながらも、5時間ちょっとペース
稲小湯をパスしたあたりで、コパさんが遅れていることが発覚。
松井さんもパスさせていただき、コパさんよりも1時間以上早いという状況からか、明確にペース落ちてる。
歩いてもペース落としてもついてこない。「疲れましたねー」とか色んな声がけしてもあがらない。
まぁ、ここまででも素晴らしい走りだし、無難に行くのも気持ち分かる
にゅう登山口にはいり、陽が登ってきた。ペース上がるかなと思ったけど、なかなか上がらない。
にゅう通過。ペースが落ちていても、ここからいつものペースでいけば5周目6時間切り&28時間が見えてきたことがわかった
この事実でペース上がった
ゴール。お疲れ様でした。100マイラーおめでとう!
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