息子は発達障害、私はパニック障害②〜脱サラしてドライフラワー作家で10万〜20万稼げるようになった話〜
『お人形の手足をハサミで切ったたっちゃんと、祖父の病』
穏やかな日々が一変したのは、たっちゃんが年少のときでした。大好きで憧れの存在だった祖父が、突然の病で意識不明に陥ったのです。
家族全員が動揺し、不安な空気が家中を覆いました。それまでたっちゃんの保育園の送迎を手伝ってくれていたおばあちゃんも、祖父の看病に追われるようになりました。
私は仕事と家庭の両立に奔走し、たっちゃんを朝早くから夜遅くまで保育園に預けることが増えました。環境の急激な変化は、敏感なたっちゃんの心に大きな影響を与えたようです。
それまで月齢も高く、どちらかと言えばしっかりしていたたっちゃんが、突然、担任の先生におんぶしてもらう日々が続くようになりました。先生は、不安定になったたっちゃんをずっとおんぶして過ごしてくれました。その姿を見るたび、私の心は痛みました。
そんなある日、園長先生から呼び出しを受けました。
「たっちゃんが、人形の手足をハサミで切りました」
その言葉を聞いた瞬間、ショックと恐怖で血の気が引きました。どうしてたっちゃんがこんなことを?私の頭の中は混乱で一杯になりました。
しかし、詳しく話を聞いてみると、状況が少し見えてきました。たっちゃんは友達4人で手術をするお医者さんごっこをしていたそうです。そして、たっちゃんがハサミでお人形さんの手足を切った。とのことだった。
園長先生が「もう一度手術して治すからね」と話をすると、ゴミ箱の中から捨てた手足を拾ってきて謝りに来たのはたっちゃんだけだったとのこと。
その時の私には、なぜたっちゃんがこんな行動をとったのか理解できませんでした。しかし今振り返ると、これは彼の特性の現れだったのではないかと思います。人の気持ちや社会的な規範を理解することが、同年代の子どもたちよりも難しかったのかもしれません。
祖父の突然の病、家族の動揺、日常の変化。これらすべてが、たっちゃんの内なる不安やストレスとなって、予期せぬ形で表出したのでしょう。
この出来事は、私たち家族に大きな気づきをもたらしました。
たっちゃんの行動の裏には、私たちが気づいていない思いや感情が隠れていること。そして、彼の世界の見え方や感じ方が、私たちとは少し違うかもしれないということを。