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無駄だと思った時間が宝物だった。30代で気づいた過去の価値
「あの時の努力、無駄だった…」
そう思ったこと、ありませんか?
私は何度もあります。大きな夢や目標を立て、必死になって努力したのに、遠く及ばず挫折してしまった経験が。
20代は小説家になろうと原稿を書き続けていました。
30代は難関資格の取得を目指し、自分の時間のほとんどを学習に費やしていました。
しかし、結果はどちらも叶わずじまい。
当時の自分にはただの無駄に思えたし、それどころか「自分は何をやっても結果を出せないのではないか」という劣等感さえ抱きました。
しかし、38歳の今になって振り返ると、その無駄に見えた時間が、実は未来の自分を支える大きな財産だったことに気づいたんです。
20代の挑戦:小説家を目指して
20代の間、ずっと私は小説家を目指していました。
元々、文章を書くことや小説も読むことが好きで、書くことを仕事にしたいという気持ちは、子どもの頃から抱いていました。
そして学生時代、最初に新潮社の文学賞へ応募した作品が、一次選考を通った経験が自信となり「本気で小説家を目指そう」と決意。
一次選考とはいえ、1000人以上の応募のうち、900人以上がそこで落選する厳しい選考です。
当時、19歳でさほど文章の訓練も受けていなかった自分が、そこに残ったのだから、小説家として才能があるに違いない!
そんな自信を抱いたんです。
…今思えば、思い上がりもいいところです。もし過去の自分が目の前にいれば、思わず喝を入れたくなります。
しかし、当時の私は若さもあって「自分には特別な才能がある」と信じて疑いませんでした。
そして大学を卒業し、社会人になった後も働きながら小説を書いて応募する生活を続行。
仕事から帰宅するとパソコンに向かい、小説を書き続けて、書き上げた原稿は、何度も文学賞に投稿しました。
しかし、結果は惨敗。最初は通過できた一次選考すら通過できなくなってしまいました。
それでも「次こそは」と奮起し、何度も挑戦しました。
数年間で書いた文章はおそらく数十万字に達していたでしょう。
膨大な時間を注ぎ込みましたが、時間が経過するにつれ、基本的な文章力以前に「そもそも自分が何を書きたいのか」がわからなくなってきました。
「自分は書きたいものがあるのではなく、作家という職業に憧れていただけではないか」
そんな疑問が頭をよぎるようになったとき、私は作家になろうという気持ちを捨てました。
書きたいものがない人間が、人の心を打つ小説など書けるはずがありません。
そのことにようやく気づき、現職に専念することを決意しました。
「それにしても膨大な時間と労力を費やしてしまった…」
当時の私は、自分の努力は無駄であり「完全にしくじった」と思っていました。
誰にも読まれない文章を書き続けた時間は、何の意味もない。そう感じていたのです。
30代前半の挑戦:電験三種に挑む
作家になりたいという気持ちを捨て30代になった私は、結婚して家庭を持ったこともあり、勤務している会社の業務に真剣に打ち込むようになりました。
日頃の業務はもちろん、資格取得に精を出すようになります。
ビル管理会社に所属していたため、2017年に建築物環境衛生管理技術者(通称:ビル管)、2018年に宅建と、それなりに難しい資格を1年おきに取得していました。
その次に選んだのは、第3種電気主任技術者。通称「電験三種」です。
電気資格に詳しい方はご存知かと思いますが、電験三種は難関資格であり、試験の難易度はビル管や宅建の比ではありません。
しかし、取得すれば仕事の幅が大きく広がるだけでなく、資格手当など収入アップが期待できます。
さらに同じ業界であれば、より待遇の良い会社への転職も見込めるでしょう。
32歳の頃、私は休日も平日の夜も空いている時間のほとんどを勉強に捧げました。
時には家庭の時間も犠牲にし、参考書や問題集を何冊もこなし、過去問も繰り返し解きました。
ですが、1度目の挑戦では不合格。
科目合格制度でしたが、4科目のうち1科目さえ受かることができませんでした。
元々文系の私にとって、電気系難関資格である電験三種の試験の壁は思った以上に厚かったのです。
1年後に2度目の挑戦をしましたが、またしても全科目不合格。
その後、子供が生まれて育児に忙殺されるようになったため、諦めざるを得ませんでした。
「2年間も頑張ったのに何の成果もない…」と、非常に悔しい思いを抱くと同時に「小説家になる夢と同様、しくじった」と思いました。
当時は努力が報われないという現実に打ちのめされ、自分の限界を突きつけられた気がし、資格試験そのものへのモチベーションを失ってしまいました。
無駄だと思った過去が活きた瞬間
そんな私が34歳になり、副業としてWebライターを始めることになりました。
副業Webライターで稼ぐのは決して簡単ではないと知っており、最初は半信半疑でした。自分にできるのか、という不安もありました。
しかし、実際にやってみると、20代の頃の小説執筆経験が驚くほど役立ちました。
Webライティングの仕事では、文章力や構成力が求められます。
20代の頃に何度も推敲を繰り返し、試行錯誤して鍛えたその力が、Webライターとしてのスタートをスムーズにしてくれました。
実際に初期の頃から「読みやすい文章」「構成が的確」「初心者とは思えない」など、クライアントからのフィードバックは概ね高評価。
さらに電験三種を目指した経験も役立ちました。
資格試験のために身につけた勉強習慣や、家庭との両立のために工夫した時間管理のスキルが、副業の仕事にそのまま応用できたのです。
出勤前や仕事が終わった後に副業をするなど、自主的に仕事をする習慣のないサラリーマンにはできることではありません。
私が平日の夜や土日に副業を継続できたのは、資格学習により培った勉強習慣があったからに他なりません。
あの時は無駄だと思っていた経験が、まさか今の自分を支える力になるとは思いもしませんでした。
また「あの時の時間を無駄にしたくない!」という思いが、私が副業Webライターとして活動していくための原動力になっていたのも事実です。
挑戦は自分の将来を支える財産
過去を振り返ると、どうしても「成功したこと」「目に見える成果」ばかりに目を向けがちです。
しかし、実際には「失敗したこと」「成果が出なかったこと」が、後になって大きな成功を呼ぶパワーになることがあります。
20代の頃、小説家を目指して私が書き続けた文章は、当時はまったく評価されませんでした。
でも、その経験がなければコピーライターとして活動している今の自分はいなかったでしょう。
30代前半の頃、電験三種取得を目指した経験も、合格には繋がらなかったものの、そこで身についた「自宅で学習する習慣」は、私にとって大きな財産となりました。
この記事を読んでくださったあなたも、きっと過去に何かを一生懸命頑張った経験があると思います。
そのときの目標は、もしかしたら達成できなかったかもしれません。
でも振り返ってみるとその経験、どこかで役立っていませんか?
意外な形で力になっていることはありませんか?
どこかで自分を助けていたとは思いませんか?
年末年始、一度過去の自分をふと振り返ってみるのと、自分らしさを再確認する良い機会になるでしょう。