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頭痛に苦しむ華金

急ぎの案件、日々の残業、同僚の休職、そして巻き起こるヒヤリハット。

ひとつひとつは問題なく対処できることでも、積み重なればそれなりに身体にくるものはあるようで。

晴れやかな気持ちで迎えるはずだった華金の定時間際。

業務に集中も出来ず、限界を感じ。
退勤ボタンをポチり。

シャットダウンしたPCから目を背け、ベッドに傾れ込んだ。

鐘を打ち鳴らしているかのような頭痛がお昼過ぎから現れ始め。

徐々に痛みは大きくなり、夕方には座っているのも耐えられないレベルになっていた。

リモコンで部屋の電気を消し、重い体をベッドに沈み込ませて。
暗い部屋で浅い呼吸を繰り返す。

自分の心臓の波打つ音と頭のズキズキという感覚が。目を閉じれば体中に響く。

ゔーーーーーきつい!!!

薄目を開け腕を伸ばし、ベッドの淵に置かれたスマホを手に取る。

これから家に帰ってくるであろう愛しい人に、伝えなくてはならないことがある。

「体調不良で寝てます」
「ごはん適当に食べて」

ポコポコと短いLINEを送り、スマホを再度放る。

よし、これで完璧(?)だ。

頭痛外来に行こうと思いつつ、ずっと放置している。
平日休みに行けばいいのに、なんだか病院に時間を費やすのが勿体なく感じて、友人や家族との予定を入れてしまう。

こうやって自分の体をおざなりにしていたら、いつかもっと痛い目に遭うんだろうな。

忙しない毎日の中では自分の体を気遣うよりも、他のことを優先してしまう。

よくないよね、分かってるよ。
それでも多少の痛みなんてものは、我慢したほうが上手くいくことの方が多い気がする。

仕事とかもはや修行だよなー…

ここ最近、ずっと忙しいなー…

…はやく、旦那さん帰ってこないかな

そんなことを考えていたらいつの間にか意識が沈んでいき。眠りについていた。

しばらく経ったとき、ガチャと家の鍵の開く音が聞こえた。

「ただいまー」

帰ってきた!!

おかえりーと声を少し張り上げると、旦那さんが扉からひょっこり覗き込んできた。

「どうしたの?大丈夫?」

いつもとなんら変わらない顔を見たら、なんだかちょっと安心した。

沈んだものが、掬い上げられたような気がした。

おぼろ

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