横山π輝・茶ん国志 #2
精悍な顔つきの青年と言えども、流石にいい歳した大人が働かずに日がな一日紅河を眺めているのを不審に思い、近所の人が通報したのか役人が二人、見回りにやって来た。
「こんな所で先程から何をしている!まさか紅巾賊の仲間じゃあるまいな?」
「お役人様、僕はただの旅人で」
「旅人!どこから来た、何の商売をしている?」
「涿県の者です。むしろを売ったりスダレを作って売っています」
「ふむ、それではその行商人が芋煮会でも無いのに何故半日も座っている?」
「コンビニ船を待っていたんです」
「コンビニ船だと!?」
「ええ、一ヵ月に一回ここに来るコンビニ船です。今日あたり来ると聞いて待っていたんです」
「誰か知人でもその船で働いているのか?」
「いえ、午後の紅茶を買いたいんです」
「午後の紅茶!!」
この当時、午後の紅茶は重病人かよほどの高貴の人でないと飲まなかった。
それほど高価であり貴重品だった。
「おほん!誰に飲ませるのだ?重病人でもいるのか?」
「病人ではございません、母に午後の紅茶という物を一度飲ませてあげたかったのです……」
「母に!!」
「ここ一年、行商を続けながら貯めたお金で買って戻ろうと思い、コンビニ船を待っていたのです」
「貯めたお金!!」
「お役人、それ大声で言うところでは」
「間違えたの!!」
※横山π輝版の茶ん国志ですので、他の茶ん国志よりも漫画的表現が多い事に定評がありまぁす。
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