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151.第5章「映画とテレビでトップをめざせ!不良性感度と勧善懲悪」

第26節「フジテレビ日曜9時 東映不思議コメディーシリーズ 後編」

 石ノ森章太郎原作東映不思議コメディーシリーズ第9弾第1弾より東映サイドでで企画を担当してきた平山亨が退職したことで、前作チーフプロデューサーの小林義明が企画者、日笠淳がプロデューサーに就任しました。

⑨フジテレビ系日曜9時『魔法少女ちゅうかなぱいぱい!』(1989/1/15~7/9 全26話)

 1989年1月から実写版魔女っ子」ともいえる小沢なつき主演『魔法少女ちゅうかなぱいぱい!』がスタートし、美少女アイドルによる新たな展開が始まります。

1989年1月発行 社内報『とうえい』第338号

 企画は小林の他、石原隆フジテレビ)、木村京太郎読売広告社)、プロデューサーは日笠西村政行東映)が担当、脚本はシリーズでおなじみの浦沢義雄をメインに大原清秀と第24話で脚本家デビューの山永明子が書きます。
 制作は引き続き東撮第二企画製作部。メイン監督坂本太郎に、三ツ村鐵治佐伯孚治村山新治、撮影林迪雄利根川曻、照明大須賀国男関口弥太郎上原福松、美術北郷久典安井丸男、録音渡辺一夫岡田忠直、編集水間正勝阿部嘉之、音楽は「探偵団」2作に引き続き本間勇輔が担当します。
 オープニングテーマ「あの娘が街にやって来た!」、エンディングテーマ「星空のダイアリー」は、作詞佐藤ありす、作曲本間 、編曲信田かずお朝川ひろこが歌いました。 
 ヒロインの中華魔女「ぱいぱい小沢なつき、魔法の呪文は「ウーラーナ、シャイオパラ、タイオパラ、カーサイターボウ」。
 主人公が下宿する高山家の父、行男にシティボーイズ斉木しげお、その妹「三軒茶屋のババァ」はWAHAHA本舗柴田理恵、今作も大野剣友会岡田勝がアクションアドバイザーを務めます。

『魔法少女ちゅうかなぱいぱい!』
©石森プロ・東映

 前作最終回17.4%より少し低い15%で始まった今作は、最終回第26話で最高視聴率16.8%に達し、平均視聴率は前作の14.5%より少し低いけれど13.3%を記録しました。
 しかし主役の小沢の都合で7月の第26話2クールで終了。主役を替え、続けて同じ中華魔女をテーマにした「魔法少女」シリーズを立ち上げます。

⑩フジテレビ系日曜9時『魔法少女ちゅうかないぱねま!』(1989/7/23~12/24 全23話)

 7月23日、東映不思議コメディーシリーズ第10弾魔法少女ちゅうかないぱねま!』が始まります。
 この作品は、企画から木村がはずれ、新たにフジテレビ原岡健一郎が加わった以外、前作のスタッフ、キャスト、設定をそのまま引き継ぎ、作詞石川あゆ子、作曲・編曲本間で新たに作ったオープニングテーマ「タマゴより難しい」はIKUKO、エンディングテーマ「優しい柱時計」を井上てるよが歌いました。

『魔法少女ちゅうかないぱねま!』
©石森プロ・東映

 主役の中華魔法少女「いぱねま」には、現在もバラエティで大活躍する島崎和歌子を起用します。
 この作品が島崎主演デビュー作となりました。
 魔法の呪文は、「リンパラ、イパネマ、シャオシャオパイ」。

ヒロイン「いぱねま」役島崎和歌子
©石森プロ・東映

 『魔法少女ちゅうかないぱねま!』は、初回10.9%と苦戦しましたが徐々に視聴率を上げ、第23話の最終回は18.3%と最高視聴率を記録。平均視聴率は前作とほぼ同じの13%とヒットします。

⑪フジテレビ系日曜9時『美少女仮面ポワトリン』(1990/1/7~12/30 全51話)

 続く第11弾フランス語で胸を意味する『美少女仮面ポワトリン』。企画は東映小林読売広告社木村フジテレビ原岡、プロデューサーは東映日笠西村髙寺成紀が加わり、脚本は全話浦沢が書きました。 

1990年1月発行 社内報『とうえい』第350号

 監督はメインの佐伯他、村山坂本三ツ村に新たに岩原直樹が演出陣に加わり、撮影利根川大沢信吾、照明大須賀関口上原、美術北郷安井、録音岡田、編集阿部、アクションアドバイザー岡田)、音楽は引き続き本間が担当します。
 オープニングテーマ「17の頃」は作詞売野雅勇、作曲本間、編曲山本健司斉藤小百合が歌い、エンディングテーマ「悲しみに一番近い場所」(第1話〜第28話)「あなただけChange me」(第29話から第51話)は、作詞石川あゆ子、作曲松本俊明 、編曲水島康貴花島優子が歌いました。
 ポワトリンに変身するヒロイン村上ユウコ役には、1989年からフジテレビが主催運営する乙女塾3期生の花島優子を起用。父斉木しげる他シリーズ常連の柴田理恵うえだ峻がレギュラー出演します。また神様役で鈴木清順、第28話より敵役で蛍雪次朗が登場しました。
 ポワトリンの呪文は「コスモマジック・メタモルフォーゼ」と「オリュード」。

『美少女仮面ポワトリン』
©石森プロ・東映

 前作最終回18.3%より低い16.4%で始まった『美少女仮面ポワトリン』は、第15話で最高視聴率18.9%に達し大ヒット。
 1年間全51話続き平均視聴率は前作の14.5%より高い15%を記録します。 

⑫フジテレビ系日曜9時『不思議少女ナイルなトトメス』(1991/1/6~12/29 全51話) 

 1991年1月東映不思議コメディーシリーズ 第12弾エジプトがモチーフの『不思議少女ナイルなトトメス』の放映が始まります。

1991年1月発行 社内報『とうえい』第360号

 今作は企画東映小林読売広告社木村フジテレビ石原、プロデューサー東映日笠西村髙寺、脚本は前シリーズ同様全話浦沢が書きました。
 制作スタッフもメイン監督村山他、坂本佐伯岩原、撮影利根川、照明上原大須賀関口、録音岡田、編集阿部、アクションアドバイザー岡田宮沢叔郎、音楽本間と前作と同じメンバーが担当、第33話で監督した助監督の河田章、美術の宮崎淳一中本孝史が新たに参加します。
 オープニングテーマ「元気あげるね」は作詞売野、作曲本間、編曲岩田雅之石川ひとみが歌い、エンディングテーマ岡本朗作曲「月夜のゴンドラ」(第1話〜第28話)、羽田一郎作曲「アフロディーテの夏」(第29話から第51話)は作詞松井五郎、編曲佐藤準堀川早苗が歌いました。
 トトメスに変身するヒロイン中島サナエ役には、乙女塾5期生の堀川早苗を起用。サナエの父親役で斉木、友人役で具志堅ティナが出演します。
 呪文「イブンバツータ・スカラベルージュ」でトトメスに変身、名乗り口上「美しく戦いたい、空に太陽がある限り。不思議少女ナイルなトトメス」で登場。

『不思議少女ナイルなトトメス』
©石森プロ・東映

 前作最終回の視聴率11.3%より高い13.6%で始まった『不思議少女ナイルなトトメス』は、第2話で最高視聴率17.3%を記録しました。前作より少し下がりましたが平均視聴率13.4%とヒットし、全51話続きます。

⑬フジテレビ系日曜9時『うたう!大龍宮城』(1992/1/5~12/27 全51話)

 東映不思議コメディーシリーズ 第13弾は、浦島太郎がモチーフのミュージカル仕立てのスラップスティックコメディー『うたう!大龍宮城』でした。

1992年1月発行 社内報『とうえい』第372号

 今作の企画は石原フジテレビ高橋松徳が加わり、木村小林、プロデューサー日笠西村髙寺、全2作同様全話浦沢が書きました。
 制作スタッフもメイン監督坂本他、佐伯岩原村山、撮影大沢信吾利根川、照明上原大須賀関口、美術宮崎中本、録音岡田、編集阿部、アクションアドバイザー岡田、音楽本間とおなじみのメンバーが担当します。
 タイム・ファイブ伊東恵里が歌うオープニングテーマ「龍宮城でシュビドゥワー」、リュー・グー・フォー(中山博子エド山口ティナ・グレース斉藤暁)が歌うエンディングテーマ「フィナーレ」の作詞はあさくらせいら、作曲・編曲の本間に編曲丸山和範で、浦沢(作詞)、本間(作曲・編曲)が数多くのミュージカル劇中歌を作りました。
 ヒロイン乙姫桜っ子クラブ中山博子。乙姫の父鯨大王エド山口、母珊瑚女王ティナ・グレースを起用します。カメに自由劇場劇団東京壱組斉藤暁(さとる)、小学校5年生の浦島タローのおばあちゃん役は三条美紀でした。
 乙姫の名乗り口上は「人生は二度ない、三度ある。崩壊した龍宮城の主、乙姫!」。

『うたう!大龍宮城』
©石森プロ・東映

 『うたう!大龍宮城』の第1話「カメ」は、前作最終回の視聴率9.6%より高い11.7%で始まります。毎回海の生物の名前がタイトルで、最高視聴率は第4話「サバ」の15.4%。平均視聴率は10.1%全51話続きました。

⑭フジテレビ系日曜9時『有言実行三姉妹シュシュトリアン』(1993/1/10~10/31 全42話)

 1993年1月東映不思議コメディーシリーズ 第14弾複数ヒロインの『有言実行三姉妹シュシュトリアン』がスタートします。

1993年1月発行 社内報『とうえい』第385号
1993年1月発行 社内報『とうえい』第385号

 企画は小林木村、前作を担当したフジテレビ高橋金田耕司が加わりました。プロデューサーはチーフの日笠に新しく榎本美香が参加、脚本は浦沢大原武上純希と第39話を鹿島とも子が書きます。
 監督はメインの三ツ村坂本岩原佐伯村山、また今作では小原宏裕が4話担当しました。撮影利根川大沢、照明大須賀関口石川末八、美術安井、録音岡田、編集阿部、アクションコーディネーター岡田宮沢、音楽本間と常連スタッフが担当します。
 オープニングテーマ「思いたったが 吉日!」の作詞は佐藤ありす、作曲・編曲石川恵樹で、三姉妹(スリーシスターズ)の徳垣とも子岩永雅子稲辺久美子が歌い、エンディングテーマ「あなたには言えない」の作詞は宮沢和史矢野顕子、作曲・編曲の矢野顕子が歌いました。
 「シュシュトリアン」の掛け声で変身し妖怪と戦うヒロイン三姉妹。長女山吹雪子シュシュトリアン雪子)役に田中規子、次女山吹月子シュシュトリアン月子)役石橋桂、三女山吹花子シュシュトリアン花子)役には広瀬仁美が起用されます。
 毎回『古人曰く、過ぎたるは猶及ばざるが如し』(第1話)などのことわざを決め台詞に使いました。

『有言実行三姉妹シュシュトリアン』
©石森プロ・東映

 父英三郎佐渡稔、母日向明子、宇宙人のETおばさん柴田理恵怪猫猫姫布施絵理フライドチキン男吹越満、三姉妹にシュシュトリアンの力を与えたお酉様麿赤児と数多くの個性的な俳優たちが出演します。  

 9.9%で始まった『有言実行三姉妹シュシュトリアン』は、第26話で最高視聴率13.8%を記録。平均視聴率は10.4%と前作よりも高い視聴率でしたが1992年3月から始まった女の子が変身して戦うアニメ『美少女戦士セーラームーン』の大ヒットの影響を受けたことで全42話で終わりました。

 そしてこの作品の終了をもって1981年10月ロボット8ちゃん』から始まり、ロボット不思議生物、そして美少女とテーマを変えながら12年間14シリーズ続いた東映不思議コメディーシリーズは終焉を迎えます。

 フジテレビ日曜9時枠では、『有言実行三姉妹シュシュトリアン』の後番組として東映動画制作のテレビアニメ『蒼き伝説 シュート!』(1993/11/7~1994/12/25 全58話)が始まりました。
 この作品から東映動画東映アニメーション)制作のアニメシリーズが現在放映中の『逃走中 グレートミッション』まで20年を越えて続いています。

 東映には石森章太郎原作、平山亨企画で始まった「仮面ライダーシリーズ」「スーパー戦隊シリーズ」以外にも「東映不思議コメディーシリーズ」という子供たちの大人気を博した一連の作品がありました。

トップ写真:『魔法少女ちゅうかなぱいぱい!』©石森プロ・東映