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137.第5章「映画とテレビでトップをめざせ!不良性感度と勧善懲悪」
第18節「東映動画の躍進 ③巨大ロボットアニメブーム拡大」
1970年代、永井豪とダイナミックプロ(現ダイナミック企画)原作による2作の巨大ロボットアニメ、1972年12月からフジテレビ系にて放映開始の『マジンガーZ』(1972/12/3~1974/9/1 全92話)、同じくフジ系で1974年4月から始まった『ゲッターロボ』(1974/4/4~1975/5/8 全51話)が大ヒット。これを契機に巨大ロボットアニメのブームが到来します。
この2作品はシリーズ化されるとともに各局から様々な巨大ロボットアニメが登場しました。
1975年4月4日、NETテレビ(現テレビ朝日)系金曜19時枠にて、東北新社企画、創映社(後のサンライズ)制作の巨大ロボットアニメ『勇者ライディーン』(1975/4/4~1976/3/26)が始まります。
この番組は、4月にNETとTBSの関西地区でのネット局が入れ替わったことによってこれまでNETの系列だった毎日放送が編成していたアニメ枠をNETが引き継いで製作した作品でした。
スポンサー集めを広告代理店の旭通信社(現ADKホールディングス)が行い、バンダイ(現バンダイナムコホールディングス)の子会社ポピーがメインスポンサーとなります。
『勇者ライディーン』は子供たちの人気を集め、ポピーの玩具は大いに売れ、子門真人が歌った勇壮な主題歌は、多くの子供たちの心を捉えました。
また10月5日からフジ系日曜19時枠『グレートマジンガー』の後番組で東映動画ゲッターロボチーム制作の『UFOロボ グレンダイザー』(1975/10/5~1977/2/27 全74話)が始まり大ヒットします。
⑨NET系日曜18時『鋼鉄ジーグ』(1975/10/5~1976/8/29 全46話)
フジ系にて『UFOロボ グレンダイザー』の放送が開始された全く同じ日の10月5日、NET系18時からは、バラエティ枠をアニメ枠に変更し永井豪・安田達矢とダイナミックプロ原作で東映動画制作の巨大ロボットアニメ『鋼鉄ジーグ』がスタートしました。
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©ダイナミック企画・東映アニメーション
『グレートマジンガー』の横山賢二が企画を担当し、メイン脚本は『ザ・ガードマン』や円谷プロ作品を手がけた山浦弘靖、メイン演出の明比(あけひ)正行、キャラクター設計中村一夫他「マジンガーシリーズ」スタッフが制作にあたり、主題歌も同様に渡辺宙明作曲編曲、水木一郎が歌っています。
事故で重傷を負った主人公司馬宙(しばひろし)がサイボーグとなり、磁石の力で手、足など身体のパーツを合体して巨大ロボットになる設定は斬新でした。
「鋼鉄ジーグ」は、地底から蘇えり「ハニワ幻人」を使って地上征服に乗り出した女王ヒミカの邪魔大王国と戦います。
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©ダイナミック企画・東映アニメーション
この作品のメインスポンサーは玩具会社タカラ(現タカラトミー)。裏番組が強かったこともあり、視聴率は振るいませんでしたが、タカラがポピーの「超合金」に対抗して開発した、マグネットの磁力で身体のパーツを自在に組み替えて遊べる「マグネモ」フィギュアが大人気を集め、2クールの予定が1年間続くとともに次作品につながりました。
ここからNET系日曜18時は、タカラメインスポンサーの巨大ロボットアニメ枠として続いて行きます。
『鋼鉄ジーグ』『UFOロボ グレンダイザー』の放映が始まる1日前の10月4日。
フジテレビ系土曜18時30分からタツノコプロ制作のロボットギャグアニメ『タイムボカン』の放映が始まりました。
キャラクターデザインを天野嘉孝(現天野喜孝)が担当したこの作品は大ヒット、シリーズ化します。
⑩フジ系木曜19時『大空魔竜ガイキング』(1976/4/1~1977/1/27 全44話)
『UFOロボ グレンダイザー』『鋼鉄ジーグ』が放映中の1976年4月、フジの人気アニメ『ゲッターロボG』の後継番組として東映動画初のオリジナルロボットアニメ『大空魔竜ガイキング』が始まりました。
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©東映アニメーション
フジテレビ、東映、旭通信社共同製作の今作は、東映京都撮影所の演出部出身で東映動画のベテラン監督として『タイガーマスク』など数多くの作品を演出してきた田宮武が企画を担当します。
永井豪のダイナミックプロから原作の提供を受けず原作協力とした『大空魔竜ガイキング』。その原案は、フジテレビ出身中谷国男(金子満)が物語、虫プロ出身マッドハウス杉野昭夫がキャラクター、『宇宙円盤戦争』の小林壇がメカニックと分担して作りました。
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©東映アニメーション
それをベースに、メイン脚本は『マジンガーZ』『ゲッターロボG』の高久進、シリーズ構成は虫プロ出身のマッドハウス丸山正雄、キャラクターデザインはタイガープロダクション白土武、メイン演出は『マジンガーZ』『ゲッターロボ』の勝間田具治が担当し制作が始まりました。
主題歌は、これまでの「ゲッターロボシリーズ」同様菊池俊輔の作曲編曲で歌手ささきいさおが歌いあげます。
恐竜型移動要塞「大空魔竜」、そしてその3つのパーツが合体して誕生する巨大ロボット「ガイキング」の奇抜なデザインは子供たちにインパクトを与えました。
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©東映アニメーション
続く番組は、『大空魔竜ガイキング』同様に元虫プロのスタッフが設立したマッドハウスのメンバーが中心となり、手塚治虫原作『鉄腕アトム』のリメイク版『ジェッターマルス』を東映動画が制作します。
それによって『ゲッターロボ』以来およそ3年に渡り続いたこの枠での巨大ロボットアニメは終了しました。
⑪NET系日曜18時『マグネロボ ガ★キーン』(1976/9/5~1977/6/26 全39話)
『鋼鉄ジーグ』で開発した「マグネモ」フィギュアの大ヒットで勢いの付いたタカラは、1976年4月にはNET系にて放送された朝日放送(ABC)製作タツノコプロ初制作のロボットアニメ『ゴワッパー5ゴーダム』(1976/4/4~12/29 全36話)のメインスポンサーとなり、「マグネモ」フィギュア第2弾を発売します。
そして9月、『鋼鉄ジーグ』の後番組として引き続きメインスポンサータカラ、東映動画制作『マグネロボ ガ★キーン』が始まりました。
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©東映アニメーション
『鋼鉄ジーグ』に続き横山賢二が企画を担当、前作は永井豪とダイナミック企画が原案を作成しましたが、今作では横山が東映動画オリジナル原案を作ります。
メイン脚本は『鋼鉄ジーグ』の山浦弘靖、メイン演出はロボットアニメ演出のオーソリティ勝間田具治、キャラクターデザイン作画監督は小松原一男が担当、主題歌も『マジンガーZ』『鋼鉄ジーグ』の渡辺宙明が作曲編曲、水木一郎が歌いました。
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©東映アニメーション
前作以上に視聴率的に苦戦しましたが、「マグネモ」フィギュアシリーズのヒットもあり、3クール全39話続き、次作品の継続も決定。タカラスポンサーの東映動画制作ロボットアニメ作品は、この作品から前作も含め「東映マグネロボシリーズ」と呼ばれるようになります。
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©東映アニメーション
⑫フジ系日曜19時『惑星ロボ ダンガードA』(1977/3/6~1978/3/26 全56話)
1977年3月、大ヒットした『UFOロボ グレンダイザー』が終了。これまで続いてきた永井豪とダイナミックプロの原作から離れ、東映動画制作にて松本零士原作の巨大ロボットアニメ『惑星ロボ ダンガードA』が新たに始まります。
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©松本零士/零時社・東映アニメーション
東映動画企画部長の有賀健は、大ヒットした『UFOロボ グレンダイザー』に続き、巨大ロボットが宇宙で繰り広げる新たなるスペーズドラマアニメ企画を求め、読売テレビ系『宇宙戦艦ヤマト』(1974/10/6~1975/3/30)のデザインや監督を手がけた漫画家松本零士に原案を依頼しました。
それをベースに『ゲッターロボ』の勝田稔男が企画を担当、超巨大母艦ジャスダムとそれが分離・変形・再合体した主役の超巨大ロボットダンガードAのメカデザインを『大空魔竜ガイキング』の小林檀が設計します。
メイン脚本は前作にも参加した田村多津夫、メイン演出は前作と同じ勝間田具治が起用され、主題歌も同じく菊池俊輔が作曲編曲しささきいさおが歌いました。
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©松本零士/零時社・東映アニメーション
1977年7月の「東映まんがまつり」では、劇場版オリジナルアニメ映画『惑星ロボ ダンガードA対昆虫ロボット軍団』(監督石井輝男・明比正行)が公開されました。
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『惑星ロボ ダンガードA対昆虫ロボット軍団』石井輝男・明比正行監督
©松本零士/零時社・東映アニメーション
1978年3月の「東映まんがまつり」には、TV版を再編集した『惑星ロボ ダンガードA 宇宙大海戦』も公開されます。
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『惑星ロボ ダンガードA 宇宙大海戦』明比正行監督
©松本零士/零時社・東映アニメーション
『惑星ロボ ダンガードA』は平均視聴率17.1%、変形ロボット玩具「ダンガードA」の1977年度売り上げは「マジンガーZ」を越える27億円という大ヒットを記録します。
番組放映中の1977年8月、映画館ではテレビアニメを再編集した劇場版『宇宙戦艦ヤマト』が公開され、大ヒットしました。
『惑星ロボ ダンガードA』の後番組は、松本零士原作のSFスペースアニメ『SF西遊記スタージンガー』(1978/4/2~1979/8/26 全73話)となります。
その結果、『マジンガーZ』から始まったこの枠での巨大ロボットアニメは終了しました。
⑬NET系日曜18時『超人戦隊バラタック』(1977/7/3~1978/3/26 全31話)
1977年7月、『マグネロボ ガ★キーン』の後継番組として、前作に続きメインスポンサータカラで東映マグネロボシリーズの第3弾『超人戦隊バラタック』が放映開始します。
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©東映アニメーション
今作も『マグネロボ ガ★キーン』と同じく横山賢二の企画、原作は池原成利と小林檀によるオリジナル作品で、メイン脚本山浦弘靖、メイン演出は西沢信孝、キャラクターデザインは小松原一男が担当、主題歌は小森昭宏が作曲編曲、水木一郎が歌いました。
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©東映アニメーション
1978年3月で『超人戦隊バラタック』は終了、4月からNETテレビはテレビ朝日に商号変更し、この枠で朝日新聞記者筑紫哲也が初めてメインキャスターとなったニュース番組『日曜夕刊!こちらデスク』が始まります。
これによってタカラメインスポンサーの東映マグネロボシリーズが終わるとともに、東映動画による巨大ロボットアニメシリーズも終焉を迎えました。
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1970年代、永井豪・ダイナミックプロ原作、東映動画制作『マジンガーZ』から始まった巨大ロボットアニメブームは、バンダイの子会社ポピーを中心にした玩具メーカーの成長とバックアップを背景に拡大して行きます。
東映動画は、子供層のみならず新たに生まれつつあるより高い年齢層のアニメファンに向け『UFOロボ グレンダイザー』から舞台を宇宙に広げて新たなるアニメドラマを展開、1980年代『機動戦士ガンダム』(サンライズ制作)などの巨大ロボットアニメの大ブームにつながる道を作りました。
1978年の夏、アメリカのスペースオペラ映画『スター・ウォーズ』とオフィスアカデミー製作東映洋画部配給のSFアニメ映画『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』が公開され大ヒットします。
これに続き、『惑星ロボ ダンガードA』で原作をお願いした松本零士と作ったスペースオペラアニメ『銀河鉄道999』の放映が9月からフジテレビ木曜19時にて始まり、SF宇宙SFブームを巻き起こしました。