160.第5章「映画とテレビでトップをめざせ!不良性感度と勧善懲悪」
第29節「京都撮影所テレビ時代劇④」
(2)1970年代に始まった東映テレビ時代劇人気シリーズ
⑬C,A.L制作・東映京都制作所(東映太秦映像)制作協力:TBS系月曜20時ナショナル劇場「江戸を斬るシリーズ」
第1部『江戸を斬る 梓右近隠密帳』(1973/9/24~1974/3/25 全26話)
1973年9月、『水戸黄門』『大岡越前』で人気のTBS系ナショナル劇場枠にて、『水戸黄門 第4部』終了に引き続き、竹脇無我主演の新シリーズ『江戸を斬る 梓右近隠密帳』が始まります。
この作品は、徳川家光の異母弟で保科正之の双子の弟梓右近が由井正雪の乱を解決するサスペンス時代劇でした。
『水戸黄門』『大岡越前』同様、松下電器の逸見稔が企画、C.A.L.の製作で京撮の東映京都制作所が制作協力します。
プロデューサーはC.A.L.の西村俊一と郡進剛、脚本葉村彰子(共同ペンネーム)、さわさかえ、宮川一郎他、監督はメイン山内鉄也他小沢茂弘、内出好吉、倉田準二、石川義寛等のベテラン監督、ナレーターは同枠でおなじみの芥川隆行が担当しました。
主演の竹脇無我他、高橋元太郎、松山英太郎、中村竹弥、志村喬、大坂志郎、片岡千惠藏の7人が『大岡越前』からスライドしてレギュラー出演しました。ヒロイン役松坂慶子、鮎川いづみ、榊原るみ他、柳生十兵衛役で若林豪もレギュラーとして登場します。
「江戸を斬るシリーズ」第1部『江戸を斬る 梓右近隠密帳』は、1974年3月2クール26話で終了しました。
第2部『江戸を斬るⅡ』(1975/11/10~1976/5/17 全28話)
『水戸黄門 第6部』終了後、1975年11月から第2部『江戸を斬るⅡ』がスタートします。
前作とは設定をがらりと変え、主役を遠山金四郎にして時代劇初挑戦の歌手西郷輝彦を起用、一話完結物としました。
役名は変わりましたが前作から引き続きヒロイン役松坂慶子に松山英太郎、高橋元太郎が出演します。今作では志垣太郎、春川ますみ、山口いづみ、金田龍之介などがレギュラー参加しました。
プロデューサー陣は前作と同じ西村俊一、郡進剛、脚本も前作と同じメイン葉村彰子に加藤泰、広沢栄、大西信行他、監督もメイン山内鉄也、松尾正武、内出好吉、河野寿一、倉田準二、ナレーターも芥川隆行で、音楽がいずみたくに代わりました。
第2部は高視聴率を獲得し、以降同じ設定でシリーズを継続。西郷輝彦が歌った主題歌「ねがい」(作詞:山上路夫 / 作曲:いずみたく)がシリーズの主題歌となります。
1976年7月、東映京都制作所が解散、新たに東映太秦映像㈱が設立されそのまま制作業務を引き継ぎました。
第3部『江戸を斬るⅢ』(1977/1/17~7/11 全26話)
前作:『水戸黄門 第7部』
制作協力:東映太秦映像
プロデューサー:西村俊一、郡進剛
脚本:葉村彰子、加藤泰、大西信行他
監督:山内鉄也、内出好吉、皆川隆之他
レギュラー出演者:西郷輝彦、松坂慶子、松山英太郎
新レギュラー:和田浩治、田村亮、大山のぶ代、千石規子、成田三樹夫他
第4部『江戸を斬るⅣ』(1979/2/12~8/6 全26話)
第4部は同じ設定で東京の三船プロダクションにて制作されました。
前作:『水戸黄門 第9部』
制作協力:三船プロダクション
プロデューサー:西村俊一、郡進剛
脚本:葉村彰子、大西信行、大久保昌一良他
監督:山内鉄也、松尾正武、居川靖彦他
レギュラー出演者:西郷輝彦、松坂慶子、松山英太郎、大山のぶ代
新レギュラー:ジュディ・オング、関口宏、谷幹一、春川ますみ他
第5部『江戸を斬るV』(1980/2/18~8/11 全26話)
前作『水戸黄門 第10部』
制作協力:東映太秦映像
プロデューサー:西村俊一
脚本:葉村彰子、大久保昌一良、大西信行他
監督:山内鉄也、内出好吉、皆川隆之他
レギュラー出演者:西郷輝彦、松坂慶子、松山英太郎、関口宏、谷幹一、山口いづみ、春川ますみ、大山のぶ代
第6部『江戸を斬るⅥ』(1981/2/16~8/24 全28話)
前作『水戸黄門 第11部』
制作協力:東映太秦映像
プロデューサー:西村俊一
脚本:葉村彰子、大久保昌一良、大西信行他
監督:山内鉄也、内出好吉、皆川隆之他
レギュラー出演者:西郷輝彦、由美かおる、松坂慶子、松山英太郎、関口宏、谷幹一、山口いづみ、春川ますみ、大山のぶ代
第6部で西郷輝彦主演の「江戸を斬るシリーズ」は一旦終了、6年後1987年1月の第7部から里見浩太朗が遠山金四郎役で主演の『江戸を斬る』が始まります。
主題歌「ねがい」は里見が歌いました。
第7部『江戸を斬る』(1987/1/26~8/17 全30話)
前作『水戸黄門 第16部』
制作協力:東映太秦映像
企画:逸見稔
プロデューサー:西村俊一
脚本:葉村彰子、石川孝人、大西信行他
監督:山内鉄也、居川靖彦、矢田清巳他
レギュラー出演者:里見浩太朗、鮎川いづみ、有森也実、松山英太郎、大沢逸美、高橋元太郎、大門正明、谷幹一、太川陽介、春川ますみ、藤岡琢也、若林豪
1994年1月、里見浩太朗主演の第8部『江戸を斬る』が復活します。
前作から7年経ったこともあり、プロデューサーや監督が世代交代しました。
第8部『江戸を斬る』(1994/1/31~7/25 全26話)
前作『水戸黄門 第22部』
制作協力:東映太秦映像
制作:逸見稔
プロデューサー:五十嵐通夫、大庭喜儀、山田勝
脚本:葉村彰子、櫻井康裕、大西信行他
監督:矢田清巳、山内鉄也、井上泰治他
レギュラー出演者:里見浩太朗、渡辺徹、城之内早苗、中野みゆき、江藤潤、太川陽介、櫻木健一、谷幹一、左とん平、鈴木ヒロミツ、小松政夫、名和宏、二宮さよ子、春川ますみ
1973年9月から始まった「江戸を斬るシリーズ」は1994年の第8部にて終了します。
⑭「杉良太郎主演時代劇シリーズ」
1966年、日活と契約した杉良太郎は、日活映画に出演の後、1967年4月、NHK金曜20時『文五捕物絵図』(1967/4/7~1968/10/11 全74話)で主演デビューしました。
そして、1969年8月、東映京都制作所制作協力のTBS系月曜20時ナショナル劇場『水戸黄門』に「助さん」佐々木助三郎役で出演、1971年5月に終了する第2部まで登場し人気を博します。
続けて杉は、1970年10月から東京12チャンネル土曜21時枠にて始まった日活制作『大江戸捜査網』(1970/10/3~1971/9/25 全52話)に隠密同心十文字小弥太役で主演、大人気となりました。
その後、フジテレビ系日曜20時の国際放映制作『一心太助』(1971/10/3~1972/3/26 全25話)、三船プロダクション制作に代わった『大江戸捜査網 』第2シリーズ(1972/3/25~1973/3/17 全52話)、その後番組三船プロダクション制作『旅人異三郎』(1973/3/24~9/15 全26話)、『大江戸捜査網 』「第3シリーズ」(1973/9/22~1984/3/31 全536話)の第26話(1974/3/16)まで主演作を繋ぎ人気を高めます。
〇東映テレビ部制作:NET系水曜21時『右門捕物帖』(1974/4/3~1975/3/26 全51話)
『大江戸捜査網 』「第3シリーズ」から離れた1974年4月、「杉良太郎東映初主演シリーズ」となる佐々木味津三原作『右門捕物帖』がNET系水曜21時枠にて始まりました。
企画は歌舞伎座テレビ室の大塚貞夫、杉が所属する金剛プロダクションの佐々木太郎、東映の泊懋で、プロデューサーはNET荻野隆史、東映秋田亨、小野耕人、歌舞伎座テレビ室矢島進が担当し、脚本は茶木克彰、石井輝男から始まり、池田一朗(隆慶一郎)、松山威、高岩肇、池上金男(池宮彰一郎)他、監督は石井輝男、原田隆司、村山三男、西山正輝、松尾昭典他、東映ではなくこれまで杉の主演作に携わってきたスタッフが制作にあたります。
音楽は渡辺岳夫、主題歌「燃える男」(作詞:山下リラ、作曲:遠藤実、編曲:斉藤恒夫)は杉が歌いました。
主役の近藤右門役杉の他、政五郎役の藤田まこと(第1話 - 第20話)、その娘丘みつ子(第1話 - 第20話)、元女スリ土田早苗(第27話 - 第51話)、右門配下のおしゃべり伝六役田辺靖雄、あばたの敬四郎役高品格、その配下のチョン松役植田峻、北町奉行榊原主計頭役山形勲が出演します。
『右門捕物帖』は、1年間51話続き、時代劇俳優としての杉の人気はますます高まりました。
〇東映京都テレビプロダクション制作:テレビ朝日系日曜20時枠『遠山の金さん(4代目)』(第1シリーズ1975/10/2~1977/9/29 全101話・第2シリーズ1979/2/15~10/18 全30話)全131話
『右門捕物帳』終了後、杉は『遠山の金さん』に4代目金さんとして主演します。
杉良太郎は、この作品のエンディング主題歌「すきま風」(作詞:いではく、作曲:遠藤実、編曲:京建輔、CBSソニー)を歌い100万枚の大ヒットを記録、歌手としても大スターとなりました。
1977年10月から始まった日本テレビ系火曜日20時放映のユニオン映画制作『新五捕物帳』(1977/10/18~1982/11/16 全196話)も大ヒット、テレビ界屈指の人気時代劇俳優として活躍します。
その後、舞台でも色気のある流し目で大人気を得た杉は、数々の社会貢献事業を行い紫綬褒章や文部科学大臣表彰などを受け、文化功労者にも選ばれました。
東映で2作の人気テレビ時代劇シリーズに主演した杉良太郎は、東映テレビ史に残る大スターです。