158.第5章「映画とテレビでトップをめざせ!不良性感度と勧善懲悪」
第29節「京都撮影所テレビ時代劇②」
(2)1970年代に始まった東映テレビ時代劇人気シリーズ
⑨東映京都制作所(東映太秦映像)制作ナショナル劇場『大岡越前』
1970年3月、大ヒットしたナショナル劇場『水戸黄門 第1部』が終了し、TBS系月曜20時の後番組として俳優座加藤剛主演『大岡越前 第1部』(1970/3/16~9/21 全28話)が始まります。
プロデューサーは松下電器の逸見稔とC.A.L.の西村俊一、脚本は池上金男(池宮彰一郎)、稲垣俊、津田幸夫、加藤泰、宮川一郎、葉村彰子、監督は山内鉄也、田坂勝彦、内出好吉、佐々木康、工藤栄一が担当。制作は東映京都制作所が請け負いました。
『水戸黄門』と同じ題字朝比奈宗源、ナレーター芥川隆行の『大岡越前』も大ヒットします。
以降『大岡越前』(1970/3/16~1999/3/15 全402話)は、主役加藤剛は変わらず、1999年3月に終了する第15部まで『水戸黄門』など他のナショナル劇場作品と入れ替わりで29年間続き、全シリーズ通しての平均視聴率は21.5%、最高視聴率は第5部第1話の31.6%(1978年2月6日)でした。
第1部 1970/3/16~9/21 全28話
第2部 1971/5/17~11/22 全28話
第3部 1972/6/12~1973/1/15 全31話
第4部 1974/10/7~1975/3/24 全25話
第5部 1978/2/6~7/31 全26話
第6部 1982/3/8~10/11 全32話
第7部 1983/4/18~10/24 全27話
第8部 1984/7/16~1985/1/21 全26話
第9部 1985/10/28~1986/4/21 全26話
第10部 1988/2/29~9/5 全27話
第11部 1990/4/23~10/15 全26話
第12部 1991/10/14~1992/3/30 全24話 ナレーター:杉山真太郎
第13部 1992/11/16~1993/5/10 全26話
第14部 1996/6/17~12/2 全24話
第15部 1998/8/24~1999/3/15 全26話
スペシャル 2006/3/20
2013年からはNHK BSプレミアムにて東山紀之が主演した「大岡越前シリーズ」が始まります。
C.A.L.製作のこのシリーズは、2024年6月、主演が高橋克典に代わり第7シリーズ『大岡越前7』として引き継がれて行きます。
⑩NET系日曜20時枠時代劇シリーズ
『緋剣流れ星お蘭』終了後の1970年4月、NET日曜20時枠では東撮、東映テレビ・プロダクション制作の林不忘原作緒形拳主演『丹下左膳』が始まります。
〇『丹下左膳』(1970/4/5~7/5 全14話)
脚本は押川国秋、松山威、永野靖忠、監督は佐伯清、今村農夫也、西山正輝、伊賀山正光、工藤栄一、永野靖忠が担当します。
丹下左膳役緒形拳、櫛巻きお藤役朝丘雪路、ちょび安役は雷門ケン坊でした。
終了後の7月、前進座ホープ4代目中村梅之助主演で京都テレビプロで制作した陣出達朗原作『遠山の金さん捕物帳』が始まります。
⑪NET(テレビ朝日)系「遠山の金さん」シリーズ
〇初代 4代目中村梅之助主演『遠山の金さん捕物帳』日曜20時枠(1970/7/12~1973/9/30)全169話
プロデューサーはNET宮崎慎一、京都テレビプロ高田正雄(第1話 - 第69話)、宮川輝水(第70話 - 第169話)、脚本今村文人、小川英、鴨井達比古、胡桃哲、松山威、茶木克彰他、監督林伸憲、荒井岱志、佐々木康、井沢雅彦、松尾正武、長谷川安人他が担当しました。
音楽は小川寛興、主題歌「遠山の金さん」は作詞名村宏、作曲小川寛興で親分&子分ズが歌います。
金さん配下の役人役で柳沢真一がレギュラー出演しました。
片岡千恵蔵主演の映画シリーズで人気を博した遊び人「遠山の金さん」はテレビでも人気を集め大ヒットしました。3年間169話続き、番組終了後も主役を交代しながら定番シリーズ化します。
〇2代目 4代目市川段四郎主演『ご存知遠山の金さん』日曜20時枠(1973/10/7~1974/9/22)全51話
第2作『ご存知遠山の金さん』は、3代目市川猿之助の弟である4代目市川段四郎が主演しました。
プロデューサーはNET宮崎慎一(第1話 - 第33話)、片岡政義(第34話 - 第51話)、東映斉藤侑(第5話 - 第51話)、京都テレビプロ宮川輝水、脚本は小川英、遠藤仁、池田一朗他、監督は林伸憲、河野寿一、荒井岱志、松尾正武、鳥居元宏が担当し、音楽は小川寛興、主題歌は前作をそのまま引き継ぎます。
レギュラー陣として田坂都、工藤堅太郎、谷村昌彦などが出演し、1年間全51話続きました。
〇3代目 橋幸夫主演『ご存知金さん捕物帳』日曜20時枠(1974/9/29~1975/3/30)全27話
1974年4月、続く第3作『ご存知金さん捕物帳』は歌手の橋幸夫が主演します。
プロデューサーはNET片岡政義、東映斉藤侑、京都テレビプロ宮川輝水、脚本は今村文人、中西隆三、高橋稔、森田新、雪室俊一他、監督は松尾正武、林伸憲、荒井岱志、井沢雅彦、齋藤武市、鳥居元宏、河野寿一が担当します。
レギュラー陣として山田太郎、柳沢真一、準レギュラーで大友柳太朗、山村聡も出演しました。
1975年4月からNET系関西地区のネットチェンジのため2クール全27話で終了します。
NET系日曜20時の後番組は京都撮影所制作の若山富三郎主演『賞金稼ぎ』(1975/4/6~10/5 全22話)が続きました。
そして半年後、木曜20時に枠が移り「遠山の金さんシリーズ」が復活します。
〇4代目 杉良太郎主演『遠山の金さん』日曜20時枠(第1シリーズ1975/10/2~1977/9/29 全101話・第2シリーズ1979/2/15~10/18 全30話)全131話
橋主演『ご存知金さん捕物帳』が終了した半年後の10月、杉良太郎主演の第4作『遠山の金さん』がスタートします。
プロデューサーは、NET小沢英輔(NET → テレビ朝日)、秋田亨(東映)、宮川輝水(京都テレビプロ)、佐々木太郎(金剛プロダクション)、脚本は今村文人、山野四郎、小川英、高橋稔他、監督は西山正輝、林伸憲、松尾昭典、荒井岱志、河野寿一他、音楽は菊池俊輔が担当します。
レギュラー陣として岸部シロー、伊東四朗、二宮さよ子、植田峻などが出演しました。
第1シーズンの途中の1977年4月からNETは商号変更し、テレビ朝日となります。
『遠山の金さん』は、杉が演じる粋でいなせな金さんが女性の人気を集めます。
第53話から使われた杉良太郎歌うエンディング主題歌「すきま風」(作詞:いではく、作曲:遠藤実、編曲:京建輔、CBSソニー)が100万枚の売上を記録する大ヒットとなりました。
しかし、1977年10月から日本テレビ系火曜日20時放映の『新五捕物帳』(1977/10/18~1982/11/16 全196話)に杉が主演し、東京日活撮影所での撮影が決まったことで番組は一時休止します。
そして同枠での西郷輝彦主演『風鈴捕物帳』(1978/10/26~1979/2/8 全13話)の後、1979年2月から企画テレビ朝日菅野哲夫、東映上阪久和で杉良太郎主演『遠山の金さん』第2シリーズ(1979/2/15~10/18 全30話)が再開され、10月で終了しました。
〇5代目 高橋英樹主演『遠山の金さん』日曜20時枠(1982/4/8~1985/9/19 全156話)『遠山の金さんⅡ』火曜21時(1985/10/15~1986/9/16 全42話)全198話
1982年4月、前作終了後2年半ぶりに第5作『遠山の金さん』が高橋英樹主演で登場しました。
企画はテレビ朝日勝田康三、東映渡辺洋一、第49話からは渡辺が離れて勝田の肩書がプロデューサーに替わり、プロデューサー陣は東映斎藤頼照、橋本慶一、田中憲吾が第1話から担当。脚本は石川孝人、小川英、本田英郎、土橋成男、山田隆之他、監督は山下耕作、井沢雅彦、田中徳三、松尾昭典他、音楽は平尾昌晃が起用されます。
レギュラー俳優陣では、樹木希林、あべ静江、由紀さおり、秋野太作、小島三児、宮尾すすむ、鳳啓助、京唄子などが出演しました。
高橋英樹主演「遠山の金さん」は前作同様大ヒットし、3年半全156話続きます。
その後、タイトルを『遠山の金さんII』に替え火曜21時枠に移って、新たにかたせ梨乃、西川のりおなどが加わり、11か月全42話、合計198話で1986年9月に終了しました。
〇6代目 松方弘樹主演 『名奉行 遠山の金さん』木曜20時(第1~第7シリーズ) 『遠山の金さんVS女ねずみ』土曜20時『金さんVS女ねずみ』土曜20時(1988年4月21日~1998年10月31日) 全217話+SP2話
前作が終了した1年半後の1988年4月、テレビ朝日系木曜20時枠にて松方弘樹主演 『名奉行 遠山の金さん』が始まります。
俳優が有するイメージと主人公のイメージが重なり松方金さんは人気を呼び10年間9シーズン全話平均視聴率14.0%を記録するヒットシリーズとなりました。
その間、企画はテレビ朝日白崎英介(第1~第7)、プロデューサーはテレビ朝日が杉崎保(第1~8)、松嶋弘正(広報第1~第5、プロデューサー第6・7)塙淳一(第8・9)、川田方寿(第9)、東映は松平乘道、斉藤頼照、亀岡正人、塚田英明(プロデューサー補第7・プロデューサー第8・9)、脚本は小川英、胡桃哲、志村正浩、本田英郎、高橋稔、国弘威雄、下飯坂菊馬、鈴木則文、吉田剛他、監督は舛田利雄、宮越澄、井上芳夫、吉川一義、田中徳三、江崎実生、上杉尚祺、大洲斉、池広一夫、関本郁夫、斎藤光正他、音楽は伊部晴美、 西崎進、横山菁児 、大野克夫が担当します。
主題歌は松方弘樹が歌う「華のうちに」(作詞・作曲:吉幾三、編曲:京建輔、徳間ジャパン)でした。
第1シリーズ(1988/4/21~11/24 全23話)
同心東山紀之、密偵坂口良子、与力ケーシー高峰、鳥居甲斐守中村嘉葎雄
第1シリーズ終了後、東映京都テレビプロダクションは制作業務を終了し、1990年10月に解散します。
第2シリーズ以降は東映京都撮影所が制作しました。
第2シリーズ(1989/5/25~11/30 全24話うちSP1話)
同心東山紀之、密偵池上季実子、与力名古屋章、鳥居甲斐守中村嘉葎雄
第3シリーズ(1990/7/5~1991/3/28全27話うちSP3話)
同心東山紀之、密偵池上季実子、与力藤岡琢也、鳥居甲斐守中村嘉葎雄
スペシャル(1991年10月10日)
密偵斉藤慶子、与力ケーシー高峰、鳥居甲斐守中条きよし
第4シリーズ(1991年11月7日~1992年7月2日 全26話)
密偵斉藤慶子、与力ケーシー高峰、鳥居甲斐守中条きよし
スペシャル(1992年9月24日)
同心東山紀之、密偵斉藤慶子、与力ケーシー高峰、鳥居甲斐守中条きよし
第5シリーズ(1993年3月4日~1993年12月16日 全31話)
密偵池上季実子、与力ケーシー高峰、鳥居甲斐守中村嘉葎雄
第6シリーズ(1994年6月9日~1995年1月19日 全23話)
密偵池上季実子、与力ケーシー高峰、鳥居甲斐守中村嘉葎雄
第7シリーズ(1995年9月7日 - 1996年3月21日 全21話)
密偵工藤夕貴、与力ケーシー高峰、鳥居甲斐守中村嘉葎雄
土曜20時
『遠山の金さんVS女ねずみ』(1997年2月1日~1997年7月5日 全20話)
女ねずみ古手川祐子、妻水野真紀
『金さんVS女ねずみ』(1998年3月14日~1998年10月31日 全22話)
女ねずみ古手川祐子、妻水野真紀
〇7代目 松平健主演 『遠山の金さん』テレビ朝日系火曜19時(2007/1/16~3/20)全9話
2007年1月、テレビ朝日火曜時代劇にて7代目金さん松平健主演『遠山の金さん』がスタートします。
プロデューサーはテレビ朝日田中芳之、東映上坂久和、土田真通、脚本はちゃき克彰、藤井邦夫、いずみ玲、志村正浩、岡本さとる、監督は斎藤光正、一倉治雄、森本浩史、音楽は渡辺俊幸が担当、主題歌の「恋、二の次に」(作詞・作曲:小椋佳 avex io)は松平健が歌いました。
7代目金さんは1クール全9話平均視聴率 8.2%で終了します。
その後京撮制作の「遠山の金さん」は、TBS系にて松岡昌宏主演『名奉行!遠山の金四郎』が3時間スペシャル(2017/9/25)、スペシャル(2018/8/13)と2回放映されました。