鬼滅の刃ヒット考察。感染症Vs人間
前回、鬼滅の刃ヒットの要因は老若男女に分け隔てなく理解できる共感性とそのストーリーの分かりやすさだと考察した。
では、今回は鬼滅の刃ヒット。最大の功労者である愛読者。若年層。そしてそれを、加熱させた世論について考えていこう。
電子書籍が紙媒体を虐殺している出版業界で累計発行部数が一億を越えた超絶メガヒット作品。鬼滅の刃。普段漫画すら読まない人達が漫画本を買いあさり、ウィルスをものともせずに映画館になだれ込む。
連日、映画館には鬼滅の刃観たさに列をなしている様は昭和のデモを思い出す。
はっきりいって江戸時代だったら捕縛されている状況だ。
結論から言うと、これほどまでに、鬼滅の刃がヒットした要因は感染症。
コロナウィルスが要因だと思っている。
2020年は戦後、日本、初めての緊急事態宣言が執行され、私達は外出自粛、自宅待機を余儀なくされた。仕事はリモートワークを、買い物は電子マネーが急速に復旧しはじめた。
感染症が流行れば、文化が変わる
痘瘡、水痘、麻疹、風疹、コレラ、流行性感冒、腸チフス、スペイン風邪、黒死病、そして、コロナウィルス。
病気は最も人間を殺し影響を与えてきた災害だ。
そして、自分に害があると知ると環境に変化することを得てとするのが人間という生き物だ。コロナ禍を機に、これから時代は大きく変化していくのだろう。
さて、閑話休題。話を、鬼滅の刃に戻そう。
このウィルスに人間が被害にあう状況。なにかに似てると思わないだろうか?そう、鬼滅の刃のストーリーなのである。
実は、鬼滅の刃の物語りを深掘りすると、鬼Vs柱の剣士の構図ではなくて。
病原菌Vs人間。
病気を背景とする鬼達(疫病)に人間が感染対策やワクチンを開発して、戦う物語りだというのが、透けて見えてくる。
物語り序盤。
主人公は妹を鬼から人間に戻すために、鬼の血を集めることをある人物から提案される。藁をもつかむ気持ちで承諾する主人公。
さて、これはなにを意味するか?
鬼=病気に罹患した人間を倒すことで、鬼の血を集める。手に入れた血を件の人物に渡し研究、解析してもらう。なんのために?
ワクチン(薬)を造るためにだ。
主人公はワクチン開発のため抗体を持つ人間の血を採血している。
これを、現代風に当てはめると、感染拡大防止やコロナウィルスの治療に当てはめて考えることもできる。
視聴者は血(ワクチン開発)の為に戦い。鬼(病気)の対抗手段として切磋琢磨(体を鍛えたり感染防止の為にマスクや対策)する姿には現代を生きてコロナ禍と戦う姿に投影することもできる。
そして、物語りを読めば読む程、現代の解決できない問題(鬼)と自分が戦っているのではないかとサブリミナルされていく。
自粛要請のストレスも妄想の要因なのかもしれない。
若者達が、感染症覚悟で映画館の密になるリスクをおかすのも、病気(鬼)と闘う自分達を物語りの中で想像させるからなのではないか?
鬼滅の刃は若者にとって漫画といえど、他人事ではない現代の脅威との闘い。
鬼(感染症)と主人公(自分達)の戦いの物語りなのだと推測できる。
以上が若年層と世論に対する考察だ。
では、最後に全ての年齢層のヒット要因を簡単にだが、まとめてみよう。
若年層。
物語りの面白さ。感染症(鬼)と闘う姿に他人事ではない自分達の姿を物語りに観ることができるから。
中年層。
鬼のボスや部下や主人公の立ち位置が社会に出た自分達との境遇に似ている。主人公の動機も家族の面倒をみるという共感できるものであるから。
シニア層。
時代背景が生きた時代に近く、分かりやすい物語りで、かつ孫世代に対して知識面などで優位に立て自分達と違った世代との交流の円滑油になるから。
世論。
感染症と人間との歴史。コロナの現代に生きる私達の状況と、鬼(感染症)Vs柱達(人間)の構図があまりに似通っていて、あらゆる状況が鬼滅の刃の内容を連想、想起させるから。
総括。
鬼滅刃のヒット要因は今を生きる我々にとって、全て共感できるように設計されている。これが、売れない理由がないのである。
さて、連続して、鬼滅の刃に対して考察してみたが、いかがだっただろうか?
今後も、世論、ヒット作、ゲーム、漫画、書籍、などについて自分なりの考えを述べていきたいと思う。
タイトルに興味がわけば一読してくれれば幸いだ。
では、またね。
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