大麻ビジネスはカリブ諸国で花開くのか?
カナダで娯楽用が解禁されて以来、各国でもどんどん追従して解禁されていっている大麻。
ここセントビンセントでもまずは医療用大麻が解禁され、先日ジャマイカ資本の医療用大麻の薬局がオープンしました。
セントビンセントもジャマイカもカリブ地域は昔から麻薬の中継地となっているので、その影響からか大麻がギャングによってほぼ公知の事実として育てられていました。(一説には、セントビンセント産のマリファナは世界で2番目にクオリティが高いらしい)
医療用が解禁されただけで娯楽用は解禁されていないはずですが、街中では特定の区画だけですが結構マリファナの臭いが朝から漂ったりしてます。
おそらくこれは解禁に関係なく昔から喫われてるんだろうなと思います。
それでこの大麻、結構な頻度でニュースになっています。
それだけ政府も民間も注目も期待も高いということなんでしょう。
なにせセントビンセント含むカリブ諸国にとっては久々のビジネスチャンスですから。
ぼくは大麻の知識ほぼゼロで言わせてもらいますが、みんなが思うほどビッグビジネスにはならないのでは?と思っています。
そもそもこの大麻解禁、撲滅できなかったから合法化して大麻の闇市場を市場競争にさらして消えてもらおうという試みですよね。ほんとに上手くいくのかの社会実験ともとれる。決してポジティブな理由からの解禁ではないです。
闇市場で流通してたものが市場競争にさらされる…。
これってつまり大麻がコモディティ化するってことですよね。
それはつまり、大量生産・即時供給できる地域、業者が勝つということ。
参入者が増えれば増えるほど、供給量が増えれば増えれば増えるほど価格は下落しますよね。それを上回る需要があれば話は別ですが。
ということはですよ、セントビンセントみたいな小さい国で、ごくごく一部で大麻を栽培したところで国内消費以外に需要あるか?と思うわけです。国外にだそうとすると、輸送コストがかかります。飛行機なら高いので船便でしょう。その船便はたとえ送り先がアメリカでもとりあえず、南のトリニダード・トバゴを経由します。その分時間が多くかかります。輸送費も高いはずです。
その分だけ価格にのってくるということですね。
ではその割高で量も少ないセントビンセント産の大麻はアメリカで売れるでしょうか?アメリカ国内の栽培業者と比べて何か有意性をもっているのでしょうか。
おそらくですけど答えはNoですよね。
作付面積はアメリカの方がはるかに高いはずです。ロジスティクスもしっかりしてるでしょう。量があるので価格も、セントビンセント産と比べて輸送費を抜いてもベースの部分でおそらく低い。勝てる要素がないんですね。
仮に、価格をアメリカ品より下げたとして、それは利益を減らしているのでそうなってくると果たしてそれはうま味のあるビジネスなのか?という疑問がでてくるわけです。
では、国内で創薬して市場を作るかという話になるかと思いますが、創薬って難度高いと思うんですよ、そもそも技術力のある一部の国でしかできないですし。調合できる知識を持っている人は少なくとも国内には皆無です。
と、上手くいかない理由が山ほどでてくるわけです。
しかし、冒頭でも言ったようにぼくは大麻についてほぼほぼ何も知りません。コーヒー豆のように環境によってクオリティが変わるものかもしれませんし、供給をはるかに上回る需要がばんばんでてくるのかもしれません。ハンバーガーに入れて大麻フレーバーとして売り出す!というニュースも見ましたし。需要はこれからどんどんでてくるんでしょう。
それに物事はやらない理由のほうが思いつくのは簡単です。
合理的に考えて…といってもそれってつまり、過去のデータを参照して当てはめてみて、それらしい答えを引っ張ってきただけです。未来を見たわけではありません、当然ながら。
上記の懸念を乗り越える情熱、戦略、力学が働くのかもしれません。
失業率20%を越えるこの国では、それが雇用創出につながればOKなのかもしれません。
あ、南米のコカのような存在になる道があるのか。
でもそれは果たして雇用を生むことになるのか。
この国の大麻産業がどの方向へ向かうのか、引き続き見守りたいと思います。