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深刻な社会問題はよそ者にも一目で分かるのかもしれない
ペーパーバスケットを作っているときにたまたま読んだ数年前の新聞に、セントビンセントで起こる死因の3分の2は糖尿病関連だとあった。
医療従事者でない私にとってそれはどこまで信憑性があって、どこまで深刻なことなのかは知らない。しかし、ちらっと通りを眺めたときに視界に入ってくるたいていの人間が横綱であることを考えるとあながち間違いではないのかもしれない。
先日、総会で訪れた隣国セントルシアでも糖尿病は大きな悩みのたねになっているのだが、セントビンセントのそれに比べるとまだましと言えそうだ。多いことには変わりはないが。
というのも、同じようにちらっとと通りを眺めたときに視界に飛び込んでくる肥満体の割合がセントビンセントよりも明らかに少ない。シュっとした人が多い印象を受ける。もちろん、それは数人程度の差であるし、アジアの国々の人たちと比べれば全員まとめてブタ箱に放り込みたくなるようなものだが。
セントルシアは、新しい建物が雨後のタケノコのようにドンドン建っているようで、実際のところは知らないが少なくとも近隣カリブ諸国と比べると景気が良いように見える。いくらかは発展してるように見える。
だから、栄養状態が良かったり、国民の食に対するリテラシーが相対的に高いのかもしれない。
私は今、ロンドンへ向かう飛行機の機内でこのnoteを書いている。
セントビンセントからバルバドスへ渡り、そこからドミニカを経由してアンティグア・バーブーダに、そしてようやくロンドン行きの飛行機を捕まえた。
経由したドミニカの空港はなにかの冗談のように小さく、およそ国際空港とは呼べないしろもので、開発の遅れていることが如実に表れていた。
そこで降りていくドミニカパスポートを持った人たちは、みんながみんな一人残らずこれでもかというほど太っていた。彼の地でも栄養の二重負荷問題に苛まれているのだろう。私の独断と偏見に基づくエビデンス・ゼロの見立てだが、あながち間違いではあるまい。
もう記憶もあいまいになるほど昔、おそらく千年ほど前、私はタイの不動産王の令嬢とデートを重ねていた。
彼女はバンコク大学というありったけの金をつぎ込んだに違いない豪華なキャンパスに通い、ロンドンでジュエリーデザイナーとして心身を消耗しきってバンコクに帰ってきていた。
いつかロンドンに戻りたいけどデザイナーはもうこりごりという彼女と、私は東京で出会った。ロンドンの話、バンコクの話、昔遊んだゲームの話、私たちは色んな話をした。
その中で、「ねぇ、なんで東京はお年寄りも働いてるの?とても多いと思うの。タイならとっくにリタイアしてる歳だと思うの」と言った。
良い質問だ。
私もそれに気づくまでにずいぶんと時間がかかった。彼女に10ポイントをあげた。
そして一言「これが高齢社会ってやつさ」と告げた。
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