え、１泊いくらかって？1週間で1000万だよ

振り返ると、アイランドツアーはものの30分ほどで終わった。

それほど見どころがないということでもあるし、小さい島だということでもある。

ここが派出所で、郵便局、シティーホール…と住むわけでもないからまったく興味のない施設を車から順番に眺め、島の中央にある小さな空港の手前に、2頭の象が狛犬のように両側に置かれた門がロードサイドにあった。

あれはこの島で１番高い宿泊施設だよ、タクシードライバーは言った。オーナーはカナダ人だけれど、オーナーがいない間は宿泊施設として一般人でも泊まれるらしい。

１番高いって、１泊いくらなの？

誰もが思っていることを聞く。

「いや、単位が違うんだ。ここらは1週間単位なんだよ、1週間で1000万円だよ」

道からは立派な門しかみえないから、庭の先がどうなっているのか想像もできない。1泊100万円というのがどんな体験をもたらすのか、どんなサービスが含まれるのかも見当もつかない。

昨日のnoteでこのMustique島はMustiqueという会社所有だと書いた。だから、この島で別荘を所有していると言っても、不動産を完全に自分の所有物としているのではない。建物がどうかは知らないけれど、少なくとも土地はMustiqueカンパニーから法律上 ” 借りている ” 状態。

だから別荘の所有者は年間けっこうな額を賃料として払ってるんじゃないかと思う。その代わり、Mustiqueカンパニーの従業員がオーナーがいない間も別荘を掃除したりしてきれいに管理しているのだと思う。

1週間1000万円の取り分がMustiqueカンパニーとオーナーとの間でどのような取り決めがなされているのかはわからない。その物件の年間の維持費が1000万円以上かかるということなのかもわからないけれど、お金持ちってすごいなと思う。

ぼくは商売人として頭の中でそろばんを弾いていたけれど、そんな生活を体験したこともなければ身近にそんな人を見たこともないからどんな費用がどれだけかかるのかさっぱり。

そうこうしている間に、もちろん正門しか拝めないけれど、ミック・ジャガーの別荘を車内から眺めた。彼はクリケットのシーズンになるとここでゆっくりするらしい。

その次、ファッションデザイナーのトミー・ヒルフィガーの別荘を拝んだ。門からちらりと覗いた先は宮殿のようだった。彼は年に3回ここを訪れるらしい。ちなみにここはぼくらのような一般人も1週間数百万円で借りることができる。ちなみにわが友Betty(台湾人)の大家がこの別荘のマネジャーだったりする。勤続18年、トミー・ヒルフィガーに仕えているのだそうだ。

へぇーすごいなぁと思った矢先、タクシードライバーが「ちょっと、寄りたいところがあるんだけどいいかな」と言った。物件を見せたいらしい。

連れられた先は、小高い丘の上のイギリス人オーナーの別荘だった。

ここもオーナーがいない時期は貸し出しているらしい。

たぶん、アイランドツアーの人みんなにこうしていろんな別荘を案内しているんだと思う。リピーター獲得のための施策なんじゃないかと思う。新規で客を獲得しようとすると費用がすごいことになるけれど、ここを訪れた人に次回はこういう楽しみ方をしてはいかがかと提案するのはコンバージョン高そう。ここを訪れるだけの経済力があって、リゾートに興味もある彼らの顧客セグメントのど真ん中であるし。

島を一望できる眺めと、立派なプール。写真には写っていないけれどバーカウンターもある。

7室ほどある寝室。もちろん部屋の数だけシャワーとトイレがある。

大きなリビング。

10人ほど泊まることができるらしい。

気になるお値段は1週間で200万円。

思ったより安い。ぜんぜん払える。

だって、10人で泊まれば、1人あたり20万円。単位は1週間だから1泊あたり3万円ほど。そんなにべらぼーに高いわけではない。

良い。ぜんぜんあり。

あれ？最初に最も高い1週間1000万円の物件の話をしたからなのかな。

金銭感覚がわからなくなってきた。

ちなみに、ぼくたちが泊まったホテルは以下のとおり。

島の中心部の港を一望できる眺めが最高の場所で風がよく通るたいへん気持ちの良い部屋だった。

ウミガメが遊びに来るビーチまで徒歩5分。おいしいアイスクリームとパンが買えるショップまで徒歩3分。部屋は広いし、最高のロケーションだった。

気になるお値段は想像にお任せする。