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もうすぐ留学終わるけどイギリスの印象はどうだった?
春学期が終わって少しずつではあるけれど、ブライトンを離れる人がでてきている。ぼくのフラットでも1人退寮した。その退寮した子が出発する前々日にイギリスの印象はどうだったかと聞いた。
難しい質問するなあと思った。
ぼくの印象は3年前から変わっていない
ぼくは以前にロンドンを旅行した3年くらい前からあまり印象は変わっていない。いつになるかわからないけれど、いずれ日本もこんな感じで多文化共生的な社会になるのかな、なれるかなぁという視点で見ている。多文化共生ってこんな感じかと。別に外国人にめちゃくちゃ儲けさせても間接的にでも国あるいは現地に恩恵があるなら全然良いよねとか。こういう課題があるのかとか。なるほどなと思いながら見ている。
IDS内でも、ぼくらのコースコンビーナーはカナダ人とドイツ人だし、ぼくのDissertationのスーパーバイザーはエチオピア人だし、イギリス人を探す方が難しいかもと思ったりする。たぶんadminチームはイギリス人ばかりなのだろうけれど。Diversityというのか、実力主義というのか。
だから、普段ローカルニュースなんてチェックしてないし、交友関係も留学生ばかりでイギリス人って数人しかいないから、イギリスの印象を聞かれると困るけれど、日本に比べるとスト多いし、シャワーやらキッチンや冷蔵庫、いろんなものがどんどん故障するし、停電はあるし、先進国だからってことで思い描いていたような快適な生活ではない。先進国ということでこちらで期待値を上げるからがっかりが大きいわけで、サービスレベルに期待しなければ問題はない。
つまりは別に悪い印象はない、みたいなことを言ったんだけれど、退寮するその子、つまりは彼女にとっては期待していたような返答ではなかったようだった。
彼女の目に映るイギリス
彼女はウクライナ人で、イギリスに来る前はスペインで家族で住んでいて家族でロンドンに引っ越してきて、サセックスに進学して現在に至るというバックグランド。早い話が青い目の白人ということになる。
彼女にとってはイギリスはよそ者に厳しく全然フレンドリーなところではないのだそうだ。結構閉鎖的だよという。ぼくはそんな印象はないから驚いたのだけれど「それは、だってあなた地元の人と交流してなかったでしょ?私はバイトとかしてるから」だそうで、とにかくスペインとは全然違うのだそうだ。
それは単にスペインが彼女の気質に合ってたとか、スペインの方が陽気でフレンドリーな国民性みたいな話じゃないのかなとも思ったのだけれど、そういえばイギリスといえばブレグジットだ、EUを離脱したんだ、国民投票で半数以上が離脱にYESだったんだと思い出した。移民が仕事を奪ってるなんて言われていたっけ。当時、東欧の安い労働移民云々の話はよくでてきていたけれど、そのことが少なからず彼女のUKライフに影響しているのかもしれない。ひょっとしたらイギリス人には東欧の白人の見分けができるのかもしれない。ちょうどぼくらが韓国人、中国人と高い精度で見分けることができるように。
これがダイバーシティ…なのか?
閉鎖的だと言われると、そのフレームワークでイギリス社会をちょっと見てみると、たしかになと思うことがなくはない。たとえば、ロンドンはよく街中を歩いていると英語が聞こえてくることはほとんどない、なんて言われる。これはブライトンでも概ね当てはまる。東欧の言語だったり、ウルドゥーやヒンドゥー、スペイン語などなどいろいろ聞こえてくる。
これをぼくはダイバーシティの象徴のひとつだと思っていたのだけれど、閉鎖的だという視点でみると、現地民、あるいは他のバックグランドを持つ人たちと混ざっていないということになる。つまり、同じ土地に住んでいるが異なるコミュニティに属していて交流がないのではないか、それはダイバーシティかと。相互理解すすんでるのかいと。
もちろん、ロンドンだったら海外からの旅行者は多いだろうし、たった一瞬を切りとっただけでコミュニティの断絶が起こってるとか言いたいわけではないけれど、留学生のコミュニティを見てても、なんだかんだで、インド人はインド人同士で、中国人は中国人同士で、中南米は中南米で、黒人は黒人同士で遊んでることが多いように思う。もちろん誕生日会的なちょっとしたパーティーとかならいろんな人を誘ってるし、互いに行き来はあるから完全に断絶してるわけではないけれど。
これは母語が同じ (or 似ている) というのもあるけれど、カルチャーが似ているというか、自分の持ってる常識が近しい人たちといる方が、いちいち説明しなくていいし気が楽だからだと思う。共通項が多いほうが仲良くなりやすいし。自分と異なる価値観、習慣の人たちと過ごすというのは良くも悪くもストレスがかかるものだし。これは良いとか悪いとかではなくてそういうものなんだろうと思う。
ぼくは多文化共生というと、東京で鹿児島出身の人と北海道出身の人がつるむように、白人だろうが有色人種だろうが関係なくつるんでる社会をイメージしがちなんだけど、それは同化でもしないと難しいのだろう。
チャリティーショップの存在が意味すること
ブライトンの街にも4~5件、ひょっとしたらもっとチャリティーショップがある。Oxfamとか。これはロンドンとかでもそうだと思うけれど、けっこうなメインストリート的なところに出店してる。
チャリティーショップというのは市民が寄付した不用品を安く販売して、その収益を慈善事業の活動にあてるというビジネスモデル。
ぼくはまったく気にしたことがなかったのだけど、誰かが「あんなにチャリティーショップがあるってことはイギリスは貧富の差(格差)が激しいってことなんでしょうねぇ」とボソッと言った。
それが事実かどうかは知らないが、ぼくはそこまで頭が回ってなかった。ここにもあるんだーくらいに思っていた。どちらかというと、マザーハウス的な存在と同義という認識で止まっていた。格差が激しいのか政府の支援が間に合っていないのか、両方かどちらも違うのかわからないが。
旅行で数日訪れるのと住むのとではやはり見える景色が違うものだけれど、ぼくはせっかくイギリスにおよそ1年も住んでいたのにあまりイギリス社会を観察してなかったなぁ。
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