インスタ映えとまちづくり、アートなキューバ
ハバナの魅力はなんといってもクラシックカーだろうなあと思う。キューバ革命でアメリカから新しい車が入って来なくなってしまった以上、現状ある車を修理しながらだましだまし使うしかなかったのがいつしか名物になり、インスタ映え至上主義の現代でさらに価値を上げた感がある。
観光客のタクシー向けにきれいに外見を手入れされたものと地元の人が普段使してるぼっろぼろのも含めてたくさん古いのが黒煙をバンバンだしながら走ってる。
ぼくはミーハーだから流行ってるものや良いとされているものにとりあえず飛びつく程度に商魂たくましいから、キューバってハバナって何が良いのよ?って視点で見てたんだけど、どこまで意図してるのかしらないけれど、観光に力入れてるなら、インスタ映えを本格的に狙ってるのかなと思った。
(バンクシー?そんなわけないけど)
結構いろんな写真を「撮らされた」ように思う。よくわかんないけど、いっぱい撮った。
日本の地方とかでもアートを使ってまちおこしみたいなことがブームになった時期があったけど、ぼく正直あんまり意味がわかってなかった。日本全国同じ景色からの脱却としての古民家再生が、また各地で行われて結局日本全国同じ景色に過ぎなくなってどうしようとなった次の一手がアートで個性をだそうということだと思ってたから。
で、ぼくはこの壁を見にわざわざキューバまで来た。正確にいうと写真を撮るために来たわけだけど、その目的を達成してからこれってすごいなと気づいた。歴史的なものでもないのに、わざわざぼくを出向かせたんだから。ほんとインスタ映えのためだもの。
ぼくは小バカにしてインスタ映えと言っているけれど、要はこれ、人にどう思われたいか、どういう人間だと思って欲しいかということだから。
社会学の古典的なものの中でドラマツルギーというのがある。
演劇の場からアカデミックな場へ適応された概念で、シェークスピアの言葉を借りるならば「世界は演劇の舞台にすぎない。そこですべての人間は役回りを演じなくてはならない」。
人間は社会的な動物なのでとにかく他人の目を気にしがちだし、わかっていても、ついつい他人と比べてしまう。
周りの人からこう思われたいという願望は誰しも持ってるし、そのために時には背伸びしながら、その理想の自分像を演じようとする。
たとえばぼくなら「友だち多い、自由、物腰柔らか、おもしろい、情報屋、フィクサー」みたいなのを理想としてるので、noteでこうして知識をひけらかしたり、ちょっとおどけてみたり、優しさを醸し出してみたりしてる。これはつまりは印象操作。
FacebookやInstagramは自らが企画・演出・脚本・主演・監督の舞台。どんな写真をアップするか、どんな人をフォローするか、どんな話題を取り上げるかによって、理想の自分(他人から見られたい姿)を演じている。
こんなことを書くと、いや自分は他人の目線なんて気にしないひねくれ者がいるけれど、そんな人はほぼいないと思う。気にしない自分を演じているとも言えるだろうし、たとえば、来客の度に大慌てで掃除するのは散らかっているところを見られたくないと思いがあるから。これもドラマツルギー。
自宅での自分と外 (仕事中) の自分が異なるだろうから、自宅は楽屋、外は役を演じなければいけない舞台になるし。
とにかく、ながながと何が言いたかったというと、他人にどう思われたい、見られたいという欲求は自分が思ってたよりすごいなと。
バックパッカーとかで少し長めに旅行とかしてると、初めての国でも定番観光地に行きたくなくなってくるときがある。例えば、カンボジアではアンコールワット行って、タイではワット・ポー行って…みたいな。なんだか義務的にスタンプラリーをしてる気分になってくる。おれ別に興味ないんだけど、行っとかないと後で話できんしな…みたいな。ドラマツルギー。
今回、ぼくがいろんな写真を「撮らされた」のもドラマツルギー。
センスある自分を魅せようとしてる。そしてそのセンスって決して奇をてらったものじゃなくて、みんなが知ってるもの、有名なものにマジョリティーは集まる。なぜなら誰でも評価し易いから。
けど、みんながみんなマネできるわけじゃないことでないと価値はないわけで、だからこそ海外旅行の写真って良いシグナルになるんだろうなと。
キューバって資本主義じゃないから、社会構造が異なる分、行きにくい、ちょっと怖いみたいなイメージと、社会主義でアメリカと国交が断絶してたときが長かったからユニークな文化が残ってた、クラシックカーみたいな一周まわってオシャレみたいなことになったんじゃないかと思った。
だから、思うに、観光的にみて、ハバナの価値って見出し写真のマレコン・クラシックカー、ゲバラの壁くらいしかない。
ま、それが世界的にも強い観光資源になってるんだけど。
その次の観光資源の発見・開発が急がれるところだろうけれど、その1つがアートなのかもなと思った。ぼくが写真をいっぱい「撮らされた」のはアートって結局どれが人気でるかわかんないから。
(けど、なんだろう。ぼくはやっぱりハバナってヨーロッパ的な古い街並みのイメージがあるから、ストリートアートなんて現代的でアメリカ的でちょっと違うと思うんだけどな。でもまあ、旧スペイン植民地は結局どこも同じ街並みになってしまってるからそのポジションから脱却したいのかもしれない。知らんけど)
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ちなみに、ハバナの観光の中心地から臨海地区(マレコン方面)に向かう少し広めの、バルセロナのランブランス通りのような通りがある。
すごくきれいで良い。リトル・ランブランス通りと勝手に名付けた。
すごく気持ちが良い通りで、路上でアートをこうして売ってたりする。1つ1つの作品というか売り物には正直アート的な価値はない。
価値はないんだけど、枯れ木も山の賑わいというか数が集まれば賑わって見える。
やっぱ物量かと、まず質より量かと。数をつくって集客のための魅力的な店舗づくりをせねばならんなと自分の活動のことを考えさせられた。
けっこうこうして絵を描いてる人もいた。
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