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やっぱシュノーケリングよりダイビングの方が楽しいわ

週末の2日間でアドバンスのライセンスを取った。来年の今ごろ、ガラパゴス諸島でハンマーヘッドシャークを狙う布石だ。

それで、この事前にこの国でダイビングライセンスを取った人に、ここのダイビングの見どころはなんだと何人かに聞いていたんだけれど、別にたいしたことはない、普段シュノーケリングで見るのとなにも変わらない、という回答ばかりだった。

やっぱりか。うすうす感じていてはいた。

今年の初め頃にユニオン島という、それはそれは海がきれいなところに行ったんだけれど、この国において海というのは上から眺めるものであって、必ずしも水中で長時間楽しむものではないのだ。あくまで優雅にゆっくりと時の流れに身を任せるもので、イチかバチかで何かを狙うアドベンチャー要素はない。

まあ、要はダイビングのライセンスとダイブ数という経験を稼ぐためのものだとわりきって、セントビンセント本島からフェリーで1時間の離島ベクエ(Bequia)島に泊りがけで出かけたんだけど、訂正。

めちゃくちゃ良かった。

ぼくは最後にダイビングをしたのは2年前の夏、マレーシアのティオマン島だったからけっこう間隔が空いてる。機材のスタンバイの仕方だってすっかり忘れていた。

その間にダイビングの楽しさ、水中で息ができる喜びを、人類待望の奇跡をすっかり忘れていたようだ。

この氷河や北極、南極の氷が解ける温暖化問題に苦しむ地球において、海面上昇は避けられないものとなっている。我々は言わば、安部公房の第四間氷期の世界にいる。そしては私は預言機械が示した未来、水棲人間としてこの水中世界に君臨している(ウルトラマンだって3分の活動限界を迎えるのに、私は約50分も水中で活動できるのだ!)。私は進化した未来人として水中での移動の自由を享受し、陸上での肺呼吸しか知らぬ現生人類への圧倒的優越感を感じていた。

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透視度は正直いまいちだった。たぶん良くて10m~15mくらいだと思う。これが朝晩の雨の影響で、普段はもっと透視度が高いのかどうかはわからない。ぼくの印象では平時もそうは変わらないと思う。

けれど、小魚の群れはそこら中にいるし、シュノーケリングではお目にかかれないドでかいロブスターを何匹も見れたしlionfishだってこれまでの人生(7ダイブくらい?)で一度しか見れなかったのに飽きるほど見た。

その他きれいなエビに、フィリピン以来の沈没船、これがけっこう大きくて見応えがあった。

そしてもちろん、ウミガメも結構大きなのに出会えたし、最後にはタツノオトシゴも見れた。これも人生初。こんな感じで生きてるんだって感動した。

アドバンスは水深30mまで行く。これはディープダイブと呼ばれるもので、酸素消費量は上がるし身体に結構負担がかかる。減圧症や窒素酔いになりやすいのもこのあたり。

幸いぼくは何も問題なくプログラムをこなすことができた。

中性浮力も上のトップ画像は海底にフィンをつけているけれど、あれはLionfishを撮影するためにわざとやっただけで、2年のブランクがあるのに初回から結構うまくできた。これは自転車に乗るようなもので一度感覚を覚えればずっと身体が覚えているものなのかもしれない。肺の空気量で調節してるからそれが良いのかどうかはわからないけれど。

いやぁ、楽しかった。

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この真ん中のうにょっとしてるのがタツノオトシゴ。写真は上手く撮れなかった。

最後に少しまじめな話をしておくと、ここカリブ地域では輸出用にロブスターをダイビングで獲って欧米に売って生活費を稼ぐ人たちがいる。

今回自分がダイビングでロブスターの生息域に潜って思ったのは、深いところの方が大きい。あれはシュノーケリングでは獲れない。

地域によっては、酸素ボンベを使うと大量に獲れてしまうから、種の保全上、ボンベを禁止にして獲れにくくしていることもあるらしい(たぶんそれによって希少価値が上がって値段も上がるのかな)。

もう一つのボンベ禁止の理由は、上述の通り、減圧症や窒素酔い。

生活のために潜るロブスターハンターたちはロブスターが獲れるまで日に何度も潜る。これは減圧症のリスクを上げる。

獲れば獲るほどロブスターは減る(なんなら生息域を変えるかもしれない)から必然的にダイビング時間は長くなる悪循環に陥る。

酸素ボンベ規制ができた背景には、減圧症の症状に苦しむ人たちがたくさんでてきたのが大きいのだろうなと思う。減圧症って重症化すると手足に痺れがでたり、麻痺して歩行困難になるから。

そんな危険を冒してまでダイビングをする彼らに、適切な治療を受けるお金も施設もない。そうなってしまえば、強制的に引退。身体に残った重い障害とともに別の生き方を探さねばならない。障害者の保護政策なんて途上国には皆無に等しいのだから。

資本主義世界、グロバール経済というものを少し考えてしまう瞬間だ。

もちろん、ぼくのようなレクリエーションダイバーは、ダイブ間隔を十分に空けているし、適切な安全プロトコルをこなすことを徹底されているから、そのリスクはかなり低くなっている。もちろんゼロではないけれど限りなくゼロに近いのではないかと思う。

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yuki oka
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