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そろそろチョコレートハントもしないと…!
協力隊で〇〇に2年間行きます!と言うと、いろんなお願いごとをされることがある。かわいい民芸品あったら送って、ポストカードちょうだい、フォトジェニックな場所から結婚おめでとうメッセージちょうだい…などなど。
気分屋なぼくは「うん、いいよ」と言いながら、すべてを華麗にスルーしているのだけど、1つだけ、カカオ豆を送ってくれないかという相談は引き受けている。
このあたり、西インド諸島(カリブ)地域ではトリニダード・トバゴがカカオの産地として有名だけれど、気候条件が同じここセントビンセントでも少量ながら栽培されている。
それがどんなテイストなのか試したいというのだ。
ぼくが尊敬してやまない人であるし、お世話になった人でもあるのでなんとか今年中に手配したいと思っている。
小さい島なんだからすぐ手に入るだろうと思うかもしれないけれど、そんなことはない。
人口10万人程度の島国ということは、知り合いの知り合いくらいのネットワークですべての人とつながれそうなものだけれど、(ぼくの出身の淡路島がそんな感じ)、ぼくはここに来て驚いたんだけれど、みんな自分の住んでる町からなかなか移動しない。田舎で農業してるほぼ自給自足のような人たちは集落でまとめて月に何度か町へ買い出しへ出かける程度だったりする。
つまり、カカオ農家の存在は知っているけれど、どこで誰がやっているのか街の人は誰も知らないという不思議なことが起こっている。
ー あぁ、作ってるらしいね
らしいねで話が終わってしまうのだ。
1カ月少ないながらもいろんな人に聞いて、探してもらえるようにお願いしたけれどらしい以外の回答がなくて嫌気がさして1カ月ほど放置していた。
ここまでわかったのは、チョコレート会社がこの国に1社あって、それがこの国のカカオすべてを加工してるらしいということ。以上。
でも会社に問い合わせはしたくない。だって、結構なお金取られそうだし、そのぼくの尊敬する名前を言ってはいけないあの人がただの気まぐれでカカオ欲しいとは言わないはずだから。つまり、次のステップとして直取引に発展する可能性がある。そうなった場合、チョコレート会社を経由しないといけないんじゃコストアップにしかならないから。ぼくはそういう忖度をしているわけだ。それに今すぐとは言われていないから、そこまで急ぐ必要もないのだ。
それで、ここに来て2か月と少し経って、知り合いの数も少しずつではあるけれど増えてきた。
もう一度、カカオ農家捜索のチャンスが巡ってきつつある。
2mの巨人ウィリアムに協力を仰いでみようかと思っている。
そのための布石としてバスケ教室に顔をだしたのだ。来週以降も行こうと思っている。恩を売るためだ。
ちょっと思うところがあって、あらゆる手段を尽くして本気で探したい。手に入れたい。
これは見ず知らずのカリフォルニア在住の日本人女性から日本食をいただいたのがかなり影響している。
クモの糸のような見えない、か細いつながりしかないのにそこまでするんだと思った。
あと、ここ数年感じていることだけれど、資源のない小国の日本が生き残るためには情報戦を制しないといけない、各地に強固なネットワークを構築しないといけないと思っている。ぼく個人としても生き残っていくためには情報が入ってくるハブになる必要があると思っている。
それはつまり、あいつに聞けば大丈夫だ、あいつならなんとかしてくれるだろうみたいな根拠のない信頼が必要なわけだ。
根拠のない信頼を感じてもらうためには小さな信頼が山ほど必要なわけだけど、その小さな信頼の積み重ねの第1歩としてぼくはこのカカオ探しを捉えている。捉え始めている。いや、捉えた。
当然、お世話になった名前を言ってはいけないあの人に多少なりとも認めてもらいたいという思いもある。
きれいなことをつらつら書いてきたけれど、正直8割はその承認欲求だ。
そんなもんだ。
けれど、それでよいのだ。方向性さえ間違ってなければ。
人間だもの。
ゆきお
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