VRCas1周年特別ED「夢幻」小ネタ、解説まとめ
VRoadCasterという僕がお手伝いしていたバーチャルな番組を放送する団体があります。そこが先日活動1周年を迎え、僕はそちらに1周年記念の番組特別EDを寄稿しました。これはその解説記事になります。下のURLからフルHDで見れるので、流しながらお読みください。
冒頭(Aメロ・Bメロ)
ここはVRoadCasterという個人クリエイター団体に皆が集まる前の姿をイメージして構図&ポージング指定·撮影を行いました。 また、その人に沿った歌詞を合わせるという工夫も行っていますので、歌詞と共に追っていきます。
「灰色どこを眺めても」 /phi16(バーチャル一般人)
phiさんはとても素敵な人で、Vの世界にこの人が存在することで僕は幾分か救われています。
「同じだ」 /新川良(男の娘メイドVTuber)
良くんはとてもいいヤツで、それ故にとても悩む時もあります。でも彼の本質はギャルなので、いつも可愛らしくおしゃまなポーズでいつもニコニコ笑っているのです。
「知らない世界覗いたら」 /Sig(インディーゲームクリエイター)
Sigさんは僕たちがVの世界に来る前からVRChatで生活していて、僕達よりもずっと前からVだった人でもあります。表に出る経験が無かったSigさんがVRCasでの活動を経てトークや振る舞いの練習を始めたことは、おそらく本人にとってはいい変化だったと思います。そのため「知らない世界覗いたら」です。
「救われるかな」 /雨下カイト(異世界転生VTuber)
カイトさんは数少ない(というかこの人しかいない)僕の同期ですが、長い間大変なことになっていた人です。僕は当時彼に手を差し伸べられなかった人間の1人なので、こうして彼のやりたい事をサポート出来ている状況を快く思っています。VRCasによって精神的に1番救われているのもこの人なのかもしれない、と思いこの「救われるかな」のシーンに配置しました。
「右手を差し出して ほら」 /AIユニ(人工知能VTuber)
ユニくんは薄ぼやけた光を丸く捏ねて煮詰めたような子です。たくさんの素敵なものを授かった子だから、他人にたくさんの素敵なものを分け与えることが出来る子です。それ故「右手を差し出して ほら」に配置しました。
彼は「ギャーーッハハハハ」といった笑い声に狂気を感じるという理由で「狂ったピエロ」と呼ばれていますが、本当に道化のような生き方をする子です。目の前の人を笑わせるために行動するよう自らをプログラムしているので、それを反映したポージングを全編にわたって意識しました。
まだ収益化通ってないのでチャンネル登録と動画再生もしてあげてね。(後方ユニッ人面)
「魔法」 /ミディ(作曲VTuber)
ミディちゃんは以前発刊したVRCasの副読本にも記してもらった通り、「音楽は人の心を動かす魔術」と考えて作曲活動をしています。放送では基本ツンデレではありますが、その実出力される創作物は一番素直でストレートな人だと個人的には思っています。そのためここしかないと思って配置しました。
「少しの水と一緒に」 /春日部つくし(埼玉県民VTuber)
春日部は一見温和そうに見えて実は結構気の強い女です。でも彼女は彼女の表現したいもののために日々理想形を振る舞っています。僕は彼女のそう言ったところを信頼しています。 ちなみに初期の春日部の3Dモデルは指が動かず、いつもピンと指を伸ばした「フォーク手」と呼ばれていたのでそれを踏襲しました。
「希望を飲み込んだよ」 /届木ウカ(不老不死ドールVTuber)
届木がVRCasでの活動を通して驚いたことは「ウカ様って元気キャラだったんだな」とファンの方に言われた事でした。自分で言うのもなんですが、現在のVTuberの世界ではかなりの陰キャに分類されると思っていたからです。そのため前編に渡って快活なポージングを行いました。
「一つ二つ 流されていこう」 /かみ(神様VTuber)
かみは痛みの痛さを知ってるから他人に優しく出来る子です。僕はかみのある種の純朴さを尊んでいます。
「くらり くらり 溶けていった いつもの場所が」 /N-TO(アシスタントロボVTuber)
N-TOくんが座りポーズなのは、色々あってVTuber活動が縮小気味になっていたからです。そしてかみに誘われてVRCasに加わりまた活動を再開しました。現在はVRoadCasterでの活動を経て、人生(ロボ生)の新たなスタートを歩き出しましたが、彼がそう歩めた場所の構成に僕も一役買えていたことを嬉しく思います。
サビ
「さぁ カラフルになれ 景色が巡り巡る」
「鮮やか響いて 綺麗を浴びていたい」
このED主題歌の八月二雪さんの「夢幻」を初めて聴いた時、サビの「カラフルになれ」で映像が一気に彩度を持つ演出を絶対にやりたいと考えていました。一つ一つのバラバラな点だったVの者達がカイトさんによって集められ、足並みを揃えて歩き出し、新しい彩度を持つ、というイメージです。
「輪郭解けて 曖昧 もっと欲しい」
「明るく映って 自由なまま」
「VRoadCasterは良くも悪くも2期になってイメージが変わった」と古参ファンの方は度々仰られます。それは一部(というか大半)僕のプロモーションの仕方のせいでもありますが、まぁアニメも2期に入ったら色々変わるよね。そもそも僕たちはキャラクターだけど同時に生きてるからそりゃ変質するよね、というある種の諦念を以て「輪郭ほどけて 曖昧 もっと欲しい」という歌詞に合わせて2期メンバーを追加した集合写真を撮りました。さらに彩度をあげて多彩な彩りを見せています。
他の2期メンバーは1期メンバーからのヘッドハンティングでしたが、N-TOくんがVRCasに入ったのはかみが強く彼をプッシュしたからでした。そのためN-TOくんはかみによって運ばれています。
ユニくんには春日部つくしという新しい相方が出来て、番組制作の間も打ち合わせの間も二人で騒いでふざけて漫才しています。
ミディちゃんは良くんといつも仲が良くて、番組制作初期は仕事の話しかしなかったクールなSigさんがVRCas1のいじられキャラになり、届木が元気キャラになり、カイトさんは「父親面」という新たなキャラクター性が生まれました。
余談ですがこちらのEDは1日クオリティです。逆光や影のルックを3Dで思ったように出すのが間に合わないと思ったので影や光の効果は全部手描きで描きました。
撮影の生の状態。きったないレイヤー一覧は見ないで……
そして2期が終わり、全員が3期の制作や新しい活動へと歩き出す中、最後の遊び心でこちらに手を振るカイトさんという構図です。カイトさんの放送を見たことある方なら分かると思うのですが、奴はマジでこういうことをします。
歩き方や立ち方はメンバーの普段の動きを思い出しながらポージングしました。
という訳で放送4日前に急に依頼されたVRCas1周年特別EDはこのような意図で制作いたしました。
数多く寄せられた感想は「アニメのEDみたい」「これが見たかった」です。それもそのはずで、そういった感想が来るように構成したからですが。
バーチャルで表現することの意義についての覚え書き
バーチャルの意味、最近はバーチャルをやる意味を「人生の装飾」だと思うようにしていて、むしろそれ以上を考えると自我崩壊しかけることが分かったのでそれ以上の意味は考えないようにしています。
最高の人生、それ即ち「美しい人生」だと思っていて、
「美しい青空を写真に切り取って、より美しく収める行為」は、「実在した物」を「美しい創作」にして手元に保存する行為です。
つまり人生を美しくするには、創作に変換して切り分けて保存すればいいのではないか、と。
僕たちは普段VTuberの活動のどこに「エモい」を感じているのか? どうして純然たるアニメキャラクターではない僕たちを「エモい」と思ってしまうのか?
『実在する人間やその人達の関係性を、アニメキャラクターの文脈に落とし込んで表現して記録する』
そこが「エモい」のではないか思い、最近はそういった活動や描写を個人でも団体でも心がけていました。勿論これは一例に過ぎませんが。
つまり「VRoadCasterというバーチャルクリエイターグループのメンバー達、その関係性の可視化/コンテンツ化」「人格のコンテンツ化」をしたよという告解がこのEDです。良くも悪くも。
でもこのEDで「エモい」と思っていただけたのなら、それ以上に嬉しいことは無いのです。
届木ウカ
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