ぼうののう#11「おばあさん」
衣装を買い回っていて、レジに並んでいた。
ぽっちゃりしているおばあさんが、娘さん(義理の⁇)に呼ばれて、カートを押しながら歩いてきた。
娘さんは、「おばあちゃんこっちよ〜こっち〜」と優しく呼んでいて、おばあさんは、(私の前に来そうになりながらもまた呼ばれて)「どこんでもいっきょったらあかんな」と言いながら、後ろに並んだ。
おばあさんの声はガラガラで、ゆっくりしゃべっていて、私の中では、あ、この人が、THE おばあちゃん だ、と思った。懐かしい感じがした。
柿ばあちゃんという人がいた。もう亡くなってしまった。なんとなく親戚で、おばあちゃんだよね、うん。みたいな感覚でずっと意識せずにいたけど、私のひいばあちゃんだと自覚したのは割と最近のこと。名前を知ったのは亡くなったとき。そういうの多め。
それで、柿ばあちゃんは、声が低くてガラガラしていて、ゆっくり喋っていたような気がする。思い出したら安心する声。顔もなんとなく覚えていて、若い頃、なんか、鎧みたいな衣装を着ている写真が残っている。
大きくなってからは、ほとんど会えなかった。よく会っていたときは、柿ばあちゃんは何歳くらいのときだったんだろう。
おばあさんって、何歳からなのかな。実際のおばあちゃんたちは、まだヨボヨボまでは行ってなくて、腰も曲がってない。
結局何が言いたいって訳でもないけど、とにかく今日、さっき、リサイクルショップで懐かしくなって、久しぶりに知らない人を見て温かくなった。ちょっと柔らかさを取り戻せそうな気がした。
ちゃんと向き合いながらも、柔らかさを失わないで、みんなでつくっていけたらいいな。と思う。