企業向けサービス価格指数に見る既存メディアの存在感低下
企業間のサービス取引の価格を計測する、「企業向けサービス価格指数」(日本銀行)の基準改定が行われ、6月25日に公表された2019年5月分から2015年基準の指数の公表が始まりました。
物価関連の指数は、個々の財やサービスの価格を、その重要度(ウエイト)を用いて加重平均することで算出されています。重要度は年々変更していますので、5年に1回程度の割合で見直しが行われます。企業向けサービス価格指数は、企業間のサービス取引額に占める割合がウエイトとして用いられていますが、今回の見直しで2015年のウエイトに変更されました。
企業間で取引されるサービスの代表選手の一つが広告です。この広告が企業間取引に占めるウエイトは、2010年の1000分の63.4から、2015年は1000分の49.2へ低下しました。その内訳を見ると、インターネット広告のウエイトが上昇した以外、既存メディアのウエイト低下が著しいです。例えば、新聞広告は1000分の8.7から1000分の4.1へと半減しています。
既存メディアの広告に比べてインターネットの広告は単価が安いという話を聞いたことがあります。同じ量の広告を打っても、既存メディアからインターネットへ移行する中で、企業向けサービス取引総額に占めるシェアが下がったと読み取れます。ちなみに、新聞社のサイト上で表示されるバナー広告はインターネット広告に分類されていると日本銀行の資料に明記されていますので、既存メディア自身がネット対応を進めている影響も含まれていると思われます。
その中で、テレビ広告のウエイト低下幅は相対的に見て小さく見えますが、近年の動画サイトの隆盛を考えると次の2020年基準への改定への際にはテレビ広告への影響も出てくるかもしれません。