ヘアドネーションしてきたお話
こんにちは。イラストレーターのトウドでございます。
先日ついに約3年伸ばした我が髪の毛とお別れしてヘアドネーションしてきました。
今回はヘアドネーションをしたきっかけやサロン選び、ロングヘアあるあるなどなどまとめていきたいと思います。
先んじてX(旧Twitter)の方にご報告させて頂いたのですが沢山のリプライを頂戴致しました。(ありがとうございます。)
初めてこのような表記が出てビックリ。↓
どういう基準で表示が出るのかはわかりかねますが
それだけ皆様の関心が大きかった。ということでしょう。
これを機に興味を抱いた方にも参考にして頂けますようまとめていこうと思いますので最後までどうぞお付き合いくださいませね。
ヘアドネーションしてみようと思ったきっかけ
きっかけはといいますと、身の回りでもドネーションされている方が増えたということです。
今から3年4ヶ月前次男坊の幼稚園の卒業式。
亡き義母の形見の着物を着ることにしました。
わたくし着物の着付けは一通り出来るのですが決して上手い訳ではないので、着付けに注力する為に髪はショートにすることにしました。
卒業式を終え、数ヶ月経った頃に知り合いがヘアドネーションをしました。
ほんの数ヶ月しか経っていないのにショートだった髪の毛は大分伸びて
「わたしも少し我慢したら寄付できそう。」
と思い立って伸びてしまった髪をそのまま伸ばすことにしたのです。
余談ですが、同時期に髪を伸ばしていた兄もその数年後にドネーションしたことを知りました。
兄弟でそんな話は一切していないのに離れたところで奇しくも同じ事をしてしまっている事に今更ながら血の繋がりのようなものを感じざるを得ませんでしたね。
実はわたくし、人より伸びるのが早いタイプ。
加えて毛量も多い。
なので例えば普通の人が5年掛けて伸す長さを3年で伸すことが出来る。
髪は日々ダメージを受けながら育ちますから、期間が短ければ短いほどダメージを回避できます。
つまり健康に、早く、沢山寄付できるというわけです。
まるでドネーションする為の髪の毛です。
2年も伸せば余裕で寄付の基準となる31㎝を超えます。
「2年我慢すりゃいいのか。ならわたしにも出来るなぁ。」
短いうちに切ってしまえばただのゴミ。伸して切れば誰かの役に立つ。
ならば伸してみようじゃないか。
こんな好条件で寄付しないのはわたしの怠慢かとさえ思える。
そんな感じでわりとラフに伸し始めたのでした。
伸していくうちに訪れた心境の変化
1年半ほど経った頃でしょうか、伸した髪は肩甲骨の下辺りまで伸びていました。
首元に絡みついてくる髪の毛を手持ち無沙汰になでる。するとなんとも言えない愛おしさを感じるようになってきました。
膝の上で子猫をなでているような。
自分の一部ではない別の生き物のように思えました。
当時はスーパーマーケットのオリジナルブランドの材料は何で作っているのだと疑いたくなるほどお安いシャンプーで洗いざらし、リンスもトリートメントも何もせず割とスパルタで育てていたのですが、そんな育て方でも素直にスクスク育ってくれている我が髪に感謝の気持ちも芽生えてきたのです。
それを機に「自分の髪の毛」というものと初めてちゃんと向き合ったような気がします。
自分の髪が好きになれなかった
子どもの頃、わたくしの髪の毛は金髪でした。
「金髪」と言われていたけれど、正確に申し上げますと
白っぽいおうど色に近いような、赤よりも緑に近い金髪でした。
今から40年以上前ですから、当時の日本には今ほど在日外国人やインバウンドは多くはなく、外国の方(特にアングロサクソン系の)を見かけるとまだ「わぁ外国人だ…」と珍しがっていた時代。
金髪の日本人は盗んだバイクで走り出していく世代の若者くらいで
子どもで金髪はかなりの注目を集めました。
今の時代からは信じられないでしょうけれど。
小学校に入学した頃、担任の先生に「金髪が目立たぬよう髪をまとめてくるよう」言われました。
母から聞いた話では、お友達や高学年の女子達が髪の毛触りたさに休み時間毎やってくるのだとか。それを担任の先生はよく思っていなかったようだと。
それから母は毎朝わたくしの髪を編み込みにしました。
「これで文句はないだろう」と言わんばかりに汗ばんだ手でぎゅうぎゅうと引っぱりながら結ぶのでまるで拷問のように痛かった。
当時の母はいつも不機嫌で怖かったので「痛い」なんて文句を言おうものなら「あなたが伸しているからでしょう。嫌なら切りなさい。」と言われそうで、痛いとは言えずひたすら耐えました。
お陰で今でも頭を触られることに不快感があります。
なぜ髪を伸していたかというと日本髪に憧れていたからです。
水戸黄門などの時代ものを好んで自分も七五三の時には日本髪を結ってもらうのを目標に伸していたのでした。
実際に夢を叶えて七五三の時には日本髪を結ってもらったのですが、金髪の日本髪は衝撃的なほどに合わず、想像してたんと違いすぎて泣くほどショックを受けたのを憶えています。
そんなこんなで髪はもう伸す意義を失ってしまったのですが、今更髪を切ることを周囲の女の子達は許してくれず、ちょっとでも毛先を整えようものならば
「なんで切っちゃったの?!」「もったいない!」
と(本人達にその気はないのでしょうけれど)攻められたものです。
段々と幼かったわたくしは「髪を切ってはいけない」呪いを掛けられてしまったのです。
どんなに放置しても驚くほどの健康毛。
融通が効かずオシャレな流行の髪型にも出来ない。
ピンやクリップも止まらない。
そんな自分の髪の毛は、子どもの頃の思い出と相まってどうしても好きになれなかった。
常に髪質を変えるためのパーマを掛けたり巻いたりしていました。
ずっとずっと「このやろう」と思っていたはずなのに。
こんなにスパルタで育ててもめげずにスクスク育ってくれて
それはずっと嫌だと思っていたこの髪質のお陰なのだと気付きました。
金髪は確かに嫌だったけれど後ろから見るとシマシマなのが紛れもなく
「わたしの髪の毛」
44年共に歩んできた「わたしの髪の毛」なのだ。
どうして愛してあげなかったんだろう。
今わたしは放置してもこうしてどんどん伸びるけれど、それがままならない方の所にこのわたくしの髪は行くのだと思うと、健康であることのありがたみを思い知るのでした。
ロング&多毛あるある
ここでいっちょロング&多毛あるある8選を披露してみようと思います。
共感してくれる人はそう多くはないと思うけど。
ロング経験のある方にはいくつか当てはまることもあるかも?
いざサロン選び
2年を過ぎたころサロンを探し始めました。
ヘアドネーション賛同のサロンでなくとも頼めばやってくれるとか、自分でドネーション用のカットだけしていくとか、方法は様々あるようですが
わたくしは敢えて、ヘアドネーション賛同のサロンで切ってもらう事にしました。
好きではなかった我が髪の毛とはいえ3年もの間、苦楽を共に過ごして来た訳です。これはもう一つのセレモニー。断髪式。お別れ会なのです。
ドナーの気持ちを汲んでくれる。そんなサロンを選びたいと思っていました。
もちろん家からの行きやすさなどもありましたが、個人的に都心のサロンにいい印象がなかったので郊外のサロンで、ある程度「いいお値段」というのも条件の1つでした。
美容室の料金はピンキリ。言ってみれば自由診療のようなものです。
その金額の差は何でしょうか?
そう。サービスの質です。
髪を切るということは実はとてもデリケートなこと。
思ったように切ってもらえず気分が塞いだ。というご経験をお持ちの方は存外多いのではないでしょうか。
ただでさえ何年もヘアドネーションのために伸ばし続けた髪を切るというのに、そんなことになっては善意も台無しな気分になってしまいます。
一番お金で買いたかったのは「安心」でした。
以前は予約もないような地元の2000円カットに行っていたわたくしが支払うにはかなりの高額ですが決して高いとは思いませんでした。
そしてたどり着いたのが
HairMake&SpaTento-さん
屋号の「Tento-」は「お天道様」からきているんだそうです。
代表のお名前から〝日光の様にお客様を暖かく照らしたい〟という想いで名付けられたとか。
明るい店内に個性的なインテリアや小物。雑誌までもが今まで知ってる美容室のそれとはまったく違いおしゃれでハイセンス。
なのに威圧感がなく、フレンドリーで居心地がいい。
特に目に留まったのはウェブサイトにあった
ヘアドネーションに関するブログ記事 ↓
引用させていただきました。
この記事を拝読して「ここだ」と決心したのでした。
いよいよカット!
10分ほど前にお店に到着。
特に指名なしでの予約でした。担当してくださったのはRIONAさん。
さすが美容師さん!の明るいピンクヘアーとは裏腹に声のトーンが落ち着いていて、優しい雰囲気のスタイリストさんでした。
カットを始める前に問診票のようなものを記入し情報共有へしてくれているのですが、実際に髪質や骨格、髪の悩みやカット後の希望など丁寧に聞き取りをした上でいよいよカットがスタート。
まずはドネーション用に毛束を作ってカットしていきます。
その後1度シャンプー。サービスでミニヘッドスパを付けてもらいました。
個室のスパルームみたいな所で丁寧にシャンプー&スパ。
2000円カットとの違いを痛感。技術やサービスといった知的財産に支払う対価として¥7150は決し高くはないのだと思い知るのでした。
その後、いよいよスタイリングへ。
具体的には決めずお任せで切ってもらいました。
長さお任せ。サイドバング前下がりは少し見飽きてる。セットは言われた通りできる。けどできれば楽なのがいい。
などなど話し合い、こーんな感じになりましたー(拍手)
新しいスタイルが気に入りすぎて些か感じていた寂しさなど吹っ飛びました(笑)
団体への寄付は自分で
以前はサロンから送ってくれていたそうですが、今はドナーが直接送るのだそうです。
Tento-さんでは、切った髪を濡れないよう(濡れた髪の毛は寄付できないため)しっかりジップロックに入れ、送り方記載されたプリントもくれます。
切った後RIONAさんが切った髪の毛を大事そうに両手で持ってわたくしに手渡してくだいました。
ずしっと重いその髪の毛は紛れもなく「わたしの髪の毛」でした。
今までありがとう。
そして誰かのお役に立っておいで。
立派なウィッグになるのだよ。
ヘアドネ後記
案ずるより産むがやすし。といいますが本当に切る前は多少ナーバスになっていたのにも関わらず、いざ終えてみるととにかくその手入れの楽さに感動。しばらくはこのまま楽してたいなぁなんて思いつつ、白髪が生えてくるまであと1回でも2回でも寄付できたらいいなぁと思うけふこの頃です。
いかがでしたでしょうか。参考になりましたか?
別に寄付やボランティアなんてものはできる人がやればいいと基本的には思っております。
やったからすごいとか、えらいとか、そんなことではない。
わたしはただやりたかったから、やっただけ。
でもその経験から得たものは自分でも想像していなかったものでした。
いくつになっても初めてのことを経験するということはそういうことなんですね。
3年間という長い期間、時折
「もう切っちゃいたい…」
と思う事もありました。
でもそんな時心の支えになったのはやはり
「誰かのお役に立ててるかもしれない」
という期待感。
「誰かのお役に立ちたい。」と思うのは人間の原始的本能ではないかと思うのです。
子供達の好きなアニメ「Dr.STONE」の登場人物スイカちゃんが子どもながらに危険な任務や大変な仕事ををかって出る際に放つ決めセリフにも
「スイカだってみんなのお役に立ちたいんだよ!」
というのがあります。
子どもだって誰だって「役に立ちたい!」と思うことはごくごく自然な発想なのだという事を顕著に表したセリフだと思う。
実際子ども達も「エライね!」と褒められるよりも、「ありがとう。」と言ってもらえることに大変な喜びを感じているように思えます。「助かった?」と聞いてくることもある。
どんな幼い子でさえ「役に立ちたい。」と思うのはきっと社会を形成して生きる人間の原始的本能なのだと思うのです。
社会貢献とか、そんな大義名分はいらなくて
ただ役に立ちたい。
その純粋な気持ちだけで十分だと思う。
もしいつか、「自分も挑戦してみようかな」と、思い立ったらトウドの経験を参考になさってみてください。
一助になるやもしれません。
それではまた!
お付き合いありがとうございました。
TOUDO YAYOI Illustration