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雇用調整助成金についてハローワークに聞いてきた

こんにちは、とどちゃまです。

最近のコロナウィルス拡大にともない、多くの事業者の方々がどのように対応していこうかと、難儀しているところだと思います。
かくいう私も東京の高田馬場にて、「ゲームショップとど」というお店を運営しています。
私がやっているお店は、カードゲームとボードゲームの小売、そしてそれを遊ぶためのプレイスペースの運営です。
この後者が「三密」の条件を満たすため、私を含めカードゲーム・ボードゲームのプレイスペース運営業者の多くが、店舗を休業するという事態に陥っています。もちろんこの業界だけでなく、多くの事業者たちが休業に追い込まれているわけですが。

休業といっても、事業者から見ればうかつに選択できるものではありません。「店舗物件を維持するための資金はどうするのか。」「来月の仕入れの支払いはどうしよう。」「スタッフたちの給料はどうしよう。」考えなくてはいけない事は多々存在します。

それでも、このコロナウィルス拡大の状況を考えると、休業を選択せざるをえない状況になった。みなさん、事業者の方々は苦渋の判断で休業を選択しているのです。

そんな折、ニュースでこんな話が舞い込んできました。https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0327kaiken.html
「そこで4月からは、雇用調整助成金の助成率について、解雇等を行わず、雇用を維持する企業に対して、正規、非正規にかかわらず、中小企業は90パーセント、大企業でも75パーセントに引き上げていきます。」

安倍総理の会見での質疑応答の一幕です。

私は、恥ずかしながら「雇用調整助成金」というものが、どういったものかは知りませんでした。調べてみると、休業手当に対する政府の補填だという事がわかります。そして、以下のようなツイートを見てたどっていったところ、「雇用調整助成金」がハローワークで申請できるものだという事がわかりました。

こうなったら、ハローワークに話を聞きに行くのが早いだろうという事で、さっそく行ってみることにします。私のお店から最寄りのハローワークは、新宿歌舞伎町。人込みを避けるためにも、自転車で向かってみます。

建物の中に入って思った事が『「三密」満たしてるんじゃない?』っていう人の量。ただ、かつてハローワークに通っていた事のある私から見れば、「三密」は満たしているであろうものの、ハローワークにしては人が少ないなって感じました。思ったよりは自粛している、という事なのでしょうか。

企業助成金の階に向かうと、ドアの外まで人。番号をもらうと36番で、現在は20番くらいの方を対応していました。2時間ほど待つようだったので、「三密」を避けるためにいったん外にでて、所要をこなして帰ってきます。そしてその後30分ほど待ったところで、やっと番号が呼ばれました。

まずは「雇用調整助成金」の概要や要件を、担当の方に聞いてみます。

「企業が休業をした際に出す休業手当の一部を、国が補填する制度。中小企業であれば、企業が労働者に支給した休業手当の2/3を補填する(1日1人あたり8330円上限)もの。(この2/3というものが、9割補填に変更になるかもというのが、先のニュースのお話ですね。)」

本来、休業とはなんぞや、とかそういった定義がいただいた冊子にはつらつら記載されていたのですが、コロナウィルスに伴う休業の件だと伝えると、そこはすっとばして、上記のような説明をしてくれました。つづいて要件。

「本来、休業予定計画を提出したあとに、休業を実施。その後、支給申請となるが、今回はコロナウィルスの影響で急な休業が発生しているため、後から計画を提出してもよくなっている。事後提出の場合、5/31までに提出を行う事」
「申請をするにあたって、申し込み月の前月とその昨年比の売り上げを比較して、10%以上のマイナスとなっていること。」

これが僕が説明を受けた要件です。

一応、「この要件を満たしていれば、必ず支給されるのか?」という確認をしたところ、「概ね支給されるとは思いますが、労働局による審査が入るので、確実とはいいかねます。」という、よくありそうな曖昧な返答が返ってきました。ここで確実という返答が返ってこないから、「休業に二の足を踏むんだよ」って思いながらも、続けて申請の実際のやり方を聞いていくことにします。

事前にネットでみたものや、書類を一見したものと比較して、結構違うなって感じる事が多かったところです。担当者の説明がわかりにくかったので、事業者が準備すべき物事の順番で、説明をしていこうと思います。

1.労働者と休業協定を結ぶ
こういったところからしっかりとやっていかなくてはいけません。
今回の休業予定が、どれくらいの期間を予定しているのか、それに伴う休業手当の計算方法、対象者などをきちんと明記した休業協定を、労働組合もしくは労働者代表と交わさなくてはいけません。
労働者代表と交わす場合には、まず代表選出の過程として、その他の労働者の過半数の委任状やそれに代わる書類も用意しなくてはなりません。

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2.ハローワークに提出する書類の準備
提出しなくてはいけない書類がたくさんあります。
まずは会社に関するもの。
 ・就業規則、ない場合は雇用契約書や雇い入れ通知書
   所定労働日や所定労働時間の確認
 ・給与規定、ない場合は雇用契約書や雇い入れ通知書
   賃金の締め期間、賃金構成(体系)、時間外労働の計算方法の確認
 ・会社案内
   業務内容や資本金の確認
 ・決算書など月ごとの損益計算書など
   要件の売上確認
 ・労働者名簿
   労働者の確認
 ・労働者代表選任届
   休業協定を結ぶ労働者の代表を選出する届け出
 ・労働者代表選任届にかかる委任状
   代表者を選ぶ委任状
 ・休業協定
   1で用意した労働者を結んだ休業協定
 ・勤務予定日程表
   いわゆるシフト表。労働者の予定を確認。
   申込日以降、次の給与締め日までの労働予定表が必要。
   本来は事前提出だが、事後提出の場合は遡ったシフト表。
   月給支払いの一般の企業であれば、給料締日翌日から次の締日まで。
ハローワークへの申込書
 ・休業等実施計画届
   休業を予定している期間などを設定します。
   https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000498164.pdf
 ・雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書
  (新型コロナウイルス感染症関係)
   https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000601890.pdf
  本来は違う申出書なのですが、コロナ用としてこれを使用
 ・雇用調整実施事業所の雇用指標の状況に関する申出書
   https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000- Shokugyouanteikyoku/0000080306_1.pdf

ここまでが、初回申し込みに必要な書類となります。

申し込みとともにシフト表を提出し、労働の計画を事前に伝なくてはならないという事です。今回はコロナウィルスによる急な休業が発生しているため、「この計画書に関して日付を遡って提出してよい」となっていますが、本来は事前に提出すべきものとなります。月給支払いの企業であれば、申し込み時に、一か月分程度のシフトを提出しているはずですので、その次の計画書もそのうち提出しなくてはならないという事です。つまり今後、「休業等実施計画届」に記載した期間において、

「毎月、翌月のシフト表を、月締日以前にハローワークに提出する」

という作業が発生します。

そして、この計画の提出が月単位(正確には企業の締め期間単位)で行われるという事は、その対称の処理となる「助成金の支給申請」も月単位で行う必要があります。そう、あくまでの先ほど記載した提出書類は、初回の計画提出時の書類のみなのです。また、この1回の申請分の範囲を「判定基礎期間」と定義されています。

3.支給申請時にハローワークに提出する書類
 ・雇用調整助成金(休業等)支給申請書
  https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000498170.pdf
 ・雇用調整助成金 助成額算定書
  https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000498172.pdf
 ・休業計画一覧表 ・ 実績一覧表 及び 所定外労働等の実施状況に関する申出書
  https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000155399.pdf
 ・支給要件確認申立書
  https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000614294.pdf
  https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000614282.doc

 ・判定基礎期間の出勤簿やタイムカード
  労働の実態を確認。休業の際には「休業」と明記する。
 ・判定基礎期間の賃金台帳
   賃金台帳。「休業控除」「休業手当」の項目を用意すること。
 ・判定基礎期間の前三カ月分の賃金台帳
  平均賃金を確認います。初回のみ。
 ・労働保険料の一般保険料にかかる確定保険料申告書
  労働保険料の申告書。初回のみ。
 ・通帳の写し
  振込先の確認。初回のみ。

これらが、支給申請の時に必要な書類となります。これらを用意したうえで、

・翌判定基礎期間の前に、計画を提出しに行く
・判定基礎期間が終わってから2カ月の間に支給申請をしに行く

この2つの作業を、休業を申請した期間、ずっと続ける必要があるという事です。

4.注意点
「就業規則や契約書に、必要な確認事項が記載されてないとダメ」
必要事項が不足していた場合には、契約書に追記を行う覚書を労働者と交わしたりする必要がありそうです。

「有給休暇と休業は同時発生しない」
有給休暇は休業ではない。

「そもそも休業手当って?」
インターネットで見ていると、また会計事務を行っている方の話を聞いても間違ってる事があったので、ここに記載しておきます。
休業手当とは労働基準法に明記されており、「会社側の都合により労働者を休業させた場合、休業させた所定労働日について、平均賃金の6割以上の手当(休業手当)を支払わなければなりません。」となっています。
また、平均賃金とは、第十二条「この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。」となっております。(日給、時間給の場合はもう少し条件があるようです。) 

例題:月給20万円の労働者。一か月のシフトは20日勤務10日休。前3か月も同様の条件で、それらの月はすべて30日で構成されてると仮定。

この場合、平均賃金は (200000 x 3) ÷ 90 ≒ 6667円 となります。
そして休業手当を出す場合、最低限でその6割を支払う必要があるので、1日当たりの休業手当は、4000円となります。

しかしながら、休業した際に労働者が控除される金額は、200000 ÷ 20 = 10000円となります。よって、1日休業となり手当がでたとすると、彼のその月の給料は194000円となります。

この、「労働は労働予定日で割り算する」のに、「手当は総日数で割り算をする」事にとても違和感を覚え、ハローワーク、会計事務所、社労士と確認を取りましたが、全員これでOKとの返答でした。小学校の時、単位の違う計算をするときには揃えなさいって算数の授業で習わなかったのかな?って思いました。

ともあれ、この60%というのは最低限支払わなくてはならない数字です。企業の努力などによって、ここは変えられる数字だという事です。皆様こんな状況ではありますが、企業の延命と雇用の堅守、うまいバランスをとって数字を設定していただけたらと思います。

皆様、気を付けてお過ごしください。

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