音楽業界の市場規模について【超基礎編】

音楽は常に私達の身近にあり、毎日テレビやラジオや音楽プレーヤーで流れ、どこかしらで演奏されています。

音楽を耳にしない方が難しい程に音楽がいたるところで溢れており、
その上、IT、IoT、デジタル技術の進歩と浸透により、様々な恩恵をあずかり高い自由度を現代社会は手に入れつつあり、音楽業界もその例外ではありません。

社会がそれほどに音楽を消費し、更には渡りに船と言わんばかりの技術革新のおかげで、それはそれは音楽業界は潤沢なのだろう!

と言いたいところですが、そんなニュースはあまり耳にしない上に、寧ろミュージシャンはお金がない、ブラック企業が多い、CDの売上の減少などのニュースの方がよく目にします。

ではなぜ、大市場となってもおかしくなさそうな音楽業界がこれほどにマイナスなニュースやイメージで溢れているのか、色々と考察してみたいと思います。

そもそも音楽業界ってどれほどの市場規模なのか

音楽業界の考察をするうえでの共通認識として、まず音楽業界の市場規模をおさえておきたいところですが、よく巷で言われる”音楽業界”という言葉がズバリ指し示すものを説明するのは非常に困難です。

人々が言う“音楽業界”というものが、CD市場なのか、映像市場なのか、コンサートなどの興行市場なのか、グッズ市場なのか、二次使用や著作使用料に関する市場なのか、楽器市場なのか、カラオケ市場なのか、ブライダル市場なのか、等々…

音楽の汎用性の高さ故に市場が多岐にわたる為、この業界がズバリ音楽業界であるというのは難しく、業界の市場規模の数字自体も様々な数字があふれており、全体を把握するのが困難であるのは事実です。

それを踏まえたうえでの話にはなりますが、慣例的に大手業界が参考にする数字として一般社団法人 日本レコード協会の資料がありますので、まずはそちらを基に市場規模をざっくり把握したいと思います。

【参考:一般社団法人 日本レコード協会 ホーム > 発行物 > 日本のレコード産業 2018年度版
http://www.riaj.or.jp/f/pdf/issue/industry/RIAJ2018.pdf 】

こちらの資料の5ページあたりにある
【4.音楽ソフト総生産金額】
というのがいわゆるCDやDVDの売り上げを合わせた金額です。

このグラフの中で一番売り上げの高い2008年と、直近の2017年の数字で比較して市場規模の変化をみてみましょう。

2008年:3,618億円

2017年:2,320億円

その差なんと1,298億円

約64%にまで縮小しています。

しかし、もしかしたら2008年にはなかった業界が大きく成長したことで、2017年の音楽業界が非常に儲かったのかもしれない!

2008年にはなくて2017年にありそうなものとして挙げられるのは音楽配信サービス!

では音楽配信事業の売り上げを2008年と2017年で比較してみましょう。

2008年:約905億円

2017年:約573億円

惨敗…

ぱっと見ではそんな違いがあるほど2008年に音楽配信事業なんて盛り上がっていたかと思いますが、この頃は着メロに始まり、着うた、着うたフル、そして待ちうたが隆盛していた時代です。

そう思えば、そういえばそんなものもあったなぁと思い出しますが、
実は着うたが盛り上げた音楽配信市場は、後に最高約910億円に達したほどに盛り上がった市場なのです。

ではやはり音楽市場は風前の灯、もう終わっていくだけの業界なのかとあきらめるのはまだ早いです!

見つけました!圧倒的に伸びている市場を!

それがコンサート、ライブ市場です!

数字は一般社団法人コンサートプロモーターズ協会(以下ACPC)が提供しているものを参考にしました。
また、最新年度が2016年までなので、2008年と2016年の比較になる点ご了承ください。

【参考:一般社団法人コンサートプロモーターズ協会(ACPC) サイトTOP>ライブ市場調査/ダウンロード>基礎調査推移表
http://www.acpc.or.jp/marketing/transition/ 】

では早速売上額の比較をしますと、

2008年:約1,075億円

2016年:約3,101億円

圧勝しています!

では興行事業が相当潤っていて、イベントなどをしているミュージシャンはさぞ儲かっているのかというと、ここからは憶測の話になってしまいますが、そうでもないのではないかと思っています。その理由はまたおいおい書けたらと思います。

また、こちらの数字を提供してくださっているACPCの会員となっている団体は、大手プロダクションなどと制作を行う企業ばかりなので、業界の末端にいる我々のような無名ミュージシャンは、ほぼその恩恵にあずかれてはいません。

では私たちのような、無名ミュージシャンの現状について、次回お話ししたいと思っています。

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出雲智之
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