【対談】「異端児から教育界に新風を」 (松永エリック・匡史×戸田裕昭)<後編>
松永エリック・匡史さんをお迎えしてお送りする対談、後編は「新しいチャレンジ・これからの教育」。学生から学ぶ・熱い想いでとにかく行動!のお二人が、今チャレンジしていることや、これからの教育に対して取り組みたいことは何でしょうか??
学ぶことの自由さや楽しさを感じられるお話がたくさん出てきました!異端児たちによる対談後編です!(全2回。聞き手・文章:チーム戸田)
<後編>「新しいチャレンジ・これからの教育」===================
■ 新しいチャレンジ
― 変わっていかないといけない、変えないといけないというお二人自身が、今何かチャレンジしていることってありますか?
戸田:僕、これまでずっと、お酒を飲まないと寝られないって思い込みをしていたんですけど、自分で勝手に決めただけじゃないかと思い直したんです。それで、週に二日間飲まないっていう日を作るチャレンジをして、先週達成しました!
お酒をやめると寝られるし、朝から頭がフル回転だし、飲んでない時間は動ける。アロマを炊いてストレッチをするようにもなりました。
エリック:体鍛えているよね?いいじゃない!
戸田:小さなことだけど、10年以上続けていた”お酒を毎日飲む”っていう習慣を変えられた。自分では絶対無理だ、って思っていたことだから、最初は飲んじゃうかもしれない・・って思ったけど(笑)やってみたらできました。
エリック:いいね!
僕は、実はあんまりチャレンジって考えてなくて。影響を受けた映画があるのね。ジム・キャリーの『イエスマン』という映画。それを観たときに、人間って幅を広げるのは出会いだな、と思ったんですよ。人の出会いで新しい世界が見つかっていく。
メディアに出ていると、いろんな話が来る。それに対して、基本的に僕はイエスマンなんですよ。みんな話があれば全部やる。だからVoicyだって始めたし、一方で『Forbes』も書いている。
Forbes Japan Official Columnist としてのエリックさん
全部イエスしか言ってないから広がっていってるのね。僕はその中でどういう風にやっていくかって考えなきゃいけないんだけど、まだまだその広げている段階かなと思っている。
ただ、今回面白い経験したんです。もともとは最先端のビジネスコンサルタントのイメージで売っていた僕が、急にタイトルが大学教授になって、同じタイトルで話しても人からの見られ方が違う。大学教授がイノベーションとかいう?みたいな。ちょっと驚くくらい。
名前が出てくるとすごいすごいって言われる。そうすると人間ってどんどんいい気になっていくじゃない。それを自覚すると、逆に自分が成長する場が欲しいって思うようになる。
その成長って予期できないもの。予期できない方が楽しいし、続くんだよね。歳をとると、そういう場で繋がった人たちとの関係の方が、深くなってくるし、どんどん濃くなってくる。
戸田:すごくわかります。僕、社会観とか日記をFacebookに書いたりするんですけど、それをみた人から「戸田さんの活躍を見てます」って言われる。いやでも別に活躍はしてないんだよね。なんだろうなって。
エリック:すごいっていうのはね。。すごいって共感がないからその人の成長にならない。学生もそうなんだけど、学生と一緒に成長できるから面白いと思ってるのに、すごいすごいって言われるのは違う。
それだと、「こちらに来なさい。私の言葉をこれから言います、ちゃんと聞くのですよ」っていう神のようになってしまって、全然成長にならない。
学生たちとディスカッションしていて、「今の子たちってそういうこと考えてんのー?そんな風にモノを買ってんの??うっそ〜?!」っていうような驚きが、僕らの学びになる。
そうすると、僕らの仲間は元気だから、またアイディアが出てきちゃうわけよ。それで、こいつら騙してこんなビジネスできるんじゃないかな、いいねやろうやろう!なんて言いながらまた悪いおじさんが集まってくる。(笑)
戸田:そうね、そう。僕も授業の最初に、この関係性は先生と生徒ではありません、仲間だよって言います。僕も学びがすごく多いです。
僕は授業でテーマを出すんです。それに対して、僕はこう思っている、みんなどう思ってる?って聞く。それで、ディスカッションしてもらって考えを聞くと、「あーなるほど!」っていう気づきがある。
ディスカッションを通して学び合う
前期の授業で、生徒が先生になって、”大人に伝えたいこと”について授業をしてもらったことがあるんです。
その時、ある学生がいじめがあったときに、親はどうするかということについて、アドバイスしてくれた。何かしよう、と思わなくてよくて、ただ世界は広いんだよっていうことを教えてあげればいいって言われたんです。
例えば、小学生でいじめられているとしたら、自分の住んでいる地域ではない地域を見せることで、「なんだ社会ってここだけじゃなかったんだ」って思わせてあげるだけでいいんですって言われたときに、すごく響いた。
僕は娘をいじめた奴がいたら社会的に抹殺するって決めてたんですけど、そんなことしなくていいんだっていうのを教わった。そういうやり方を教えてもらって、気持ちがすごく楽になれました。
エリック:うんうん、教育って”教え育てる”と書くけれど、僕の教育って「共育」、”共に育つ”なんですよ。よく、インタラクティブな授業をやると「ありがとうございます」って言われるんだけども、その時かちんとくる。「ちょっと待ってください。その言葉にカチンときました。悪いけど僕の方が学んでますから」って伝える。
(笑笑笑)
それが自分のバリューだと思っている。その場から何が学べるか、ということが一番大事。デザイン思考の一番大事なことは、人からどうやって吸収するかだと思う。
その時に、いかに人を自分で勝手に区分けしないか、どんな人であってもまずはリスペクトの精神を持ってオープンになって話を聞けるか。聞いたものに対してリスペクトできるか。それがデザイン思考の基本だと思っているんです。
そこを押さえていれば、先生すごいっていう言葉は出てこないはずなんです。先生はチョイスであって、すごいっていうのはむしろ屈辱的な言葉なんです。
戸田:すごいって言われると悲しいね・・・すごくないし。
■ 二人のシナジーから広がる教育
エリック:僕の中では戸田さんに会って、実はイメージがすごく広がっている。すごく広がってて、それがまたインプットになっている。それがシナジーっていうことだと思う。
― 二人のシナジー・・・どういう広がりですか?
戸田:まず、僕が作りたい世界観は、みんなが行きたい道に行けるようにしていくこと。今までのやり方ではなくて。
でも、教育界を良くしたいと言いながら、外から文句を言う人は嫌だった。中に入ってみないとわからないからこそ、やってみた。
そうしたら、エリックさんのようにすごく面白い先生もたくさんいた。〇〇大学で受けたい、というのではなくて、「エリック先生の授業も受けたい。戸田の授業も聴きたい」っていう、先生が軸となる学びの場があるといいと思うようになった。
エリック:そういうアイディアを持っているのは良いなぁと思ったよ。それと、学生たちがつながると面白い。
「戸田さんの授業受けてるの?潜ってみたいな」とか、「俺はエリックの受けている」とか、そういう繋がりで学生自身がコミュニティを作っていく。僕らはコミュニティをつくるのは得意なんですよ。だから彼らにはその楽しみ方を教えてあげたい。
彼らがシナジーを起こしていくと、所属先はあまり意味がなくなる。上智です、青学です、というのは、学生が繋がった時点で超えてしまう。先生同士も契約を超える。学費払うっていうことでさえね。そういうことが若い頃にやれたらすごいと思う。
僕らは、それを教えるっていうことじゃなくて、感じてもらう。それでいいなと思ったらやればいいし、馬鹿だなと思えば外にいけばいい。僕らは、常にシナジーでやっていればいいんだと思う。
あと場を与えることね。戸田さんのアイディアは「場」なんですよ。そして「場」に必要なのは人なんですよ。さらに、人が来るためには良い人がつながることなんです。
場をつくること、仕組みをつくることは誰でもできる。でも、人を呼ぶのは、人が人を呼び込むことでしかできない。誰でもいいわけではない。ここに誰が来るかが大事。
戸田:そう!間違いない。
そこが僕が最初に言った「人にフォーカスしたい」ということに繋がります。ただ変な人を呼び込むだけでは、人がただ集まってくるだけになる。
僕は、本当に思いが共通の人たちの集まりという場が大事だと思っている。そういうところは、入りたいというだけでは入れない。
エリック:一見さんお断り、ね。
戸田:まさに!
エリック:コンサルタントでデジタル何とかっていうと、新しいものやりそうって思われる。一方で、青山学院大学教授というと、なんとなく違うイメージになる。
そういう見られ方をしている今、自分のブランディングを変えないといけないなっていうのが僕の課題。人にどう見られたいかっていうことが、実は定まっていなかったんですよ。
この何ヶ月もすごく悩む一方でメディア露出は増えているし、一体なんでだろうと思っていたけれど、最近はだんだんそれが収束してきた。
最初はね、教育界の連中はなんなんだって思ってた。だから自分は好き勝手やればいいと思ってたんだけど、ちょっと違うなと思った。好き勝手にやる部分と、本流の部分とは分けないといけないんじゃないかと思った。
教育委員会のような本流に入って、そこで何かやるっていうことはできない。そこに僕みたいな変な奴が入ったらすごく面白いかなって、そういう100人の中の1人2人って面白いかもしれない。
でも、50年後・80年後に何かインパクトが与えられるようになればいい。僕がやりたいのはそういうところなんです。だから、このタイミングで今戸田さんに会ってすごくイメージが広がっている。それがいいシナジーになっている。
■ 学び、成長し続ける
ー お二人とも、学ぼうとするパワーがすごく強い。自分が成長できるから、という言葉が共通していると思うのですが、お二人にとって成長ってどういうことですか?
エリック:僕、人生の教訓としているのは、悔いのない人生を送りたくないということなんです。「悔いのある」人生をおくりたい。
例えば、88歳になって死ぬとする。その間際でも、明日はゲートボールをやって、狙っているあいつをその後マクドナルドに行っておごるぞ、とか、その後ふふふ・・とか、常に目標を持ったまま死にたいんですよ。
悔いがある。これがなきゃダメだと思っている。つまり、常にディレクションはなくて、何かをやっていたいというのが目標なんです。
それに、やっぱり色気は必要だなって思う。僕ね、そこは結構大事に思ってるんですよ!女の子にモテなくなったら終わりだなって。
戸田:そうですね!
いつだっておしゃれでカッコよく
エリック:別に若い子だけがターゲットということではなくて。モテるためですかって聞かれるけど、生物の基本だからね!それを否定すること自体、もう一回マズロー を読め、ってね!(笑)
そういう欲を否定しちゃうといろんなものが狂ってくるし、それを否定しないとビジネスのことがいろんなことがわかってくる。ビジネスって基本的には人間だからね。最後はそこなんです。
色気のパワーがなくて偉くなった人なんていないからね。スーパーアーティストだってみんなそうですよ。政治家だってそう。三大欲求のの塊なのに、表に出さないだけだよ。
内なる源泉のような部分を肯定してあげることってすごく難しい。だって適齢期を過ぎても色気をもつっていうことは努力しなくちゃいけないわけじゃないですか。
例えば男性によってはスタイルを維持する人もいれば、ニーズがあるからといってあえて太る人もいる。だから本来は、ニーズだけじゃなくて自分自身がどうしたいかって言うところが大事。
自分の欲求がモテたいということににあるなら、いろんなことが不安なくできるはずなの。痩せるということも、何のためなのかがわからなかったら、おいしいもの食べられなくて食欲も満たされないし、面白くなくなる。女性も、みんなきれいに思われたいっていいじゃない。
欲求っていう、そういう人間的な部分っていうところがわかっているといいと思うな。
戸田:僕も、そう思います!結婚してから、ほかの人に興味がなくなりましたって嘘だと思う。自分は今の人以外に絶っっ対好きになりません!なんて嘘だなって。
エリック:そういう芸風なんだよね。(笑)
今はジェンダーフリーの時代だと思う。実はすごく平等になってきている。先入観に囚われていない女性は、結婚すべきだ結婚したらこうすべきだみたいな価値観から外れてきている。すごくいいことだと思う。
例えば、リンダ・グラットンが言っている100年時代って自分の好きなように生きることなのね。自分の好きなものを常に見つけて好きでいることができる。それが彼女のいう究極なんです。
でも、それを「40歳になったらもう一回大学院に行く」といったようなところだけ取ってしまう人がいる。それは違う。ひとつの例を出しているだけであって、常に好きなものに興味を持ってやってるっていうことが大事なんだよということなのに。みんなが誤解してるわけです。
戸田:そうそうそうそうそう!僕もエリックさんが言うように、How to本読んでも意味がないと思う。新規事業の作り方が書かれている本を読んでできるなら、世の中は新規事業だらけのはず。
エリック:あれがマジックなんですよ。ダイエット商法なんだよね。ダイエットって、消費カロリーを増やして摂取カロリーを減らして運動すればいい。それは誰もがわかってるんだけど、食べても痩せる、なんてありえないこと書くから変な本が売れる。
でも、読んでもうまくいかない。しばらくするとまた同じようなテーマが出て、また買ってしまう。僕もTarzanを6冊くらい持ってるからわかるんだけど(笑)
戸田:(笑)
エリック:ラッピングシステム、っていうNASAが開発したものがあって。食べたもの後で飲むと、吸収しないようにして出ていくようにできるんだって。そんなのありえないと思いながらもあるかなーって思う。期待しちゃう。僕買っちゃったもの(笑)。
あと、学生にはみんな著者名を見ようよ、って言っている。本を買って、誰が書いたのか知りたいじゃない。その中身を書くだけの人かっていうことを。タイトルがすごく面白そうだと思っても、この人だれ?って思ったら読まない。イチロー語録だって、イチローが言うから大事なのであって。
戸田:間違いない。
エリック:そういうことから考えないとね。疑問を持つ。
あと、今感性を磨くことって大事だと思っている。長野の浅間国際フォトフェスティバルに携わったんだけど、最近、ビジネスとアートって安易に結びつけてやってくる奴がいる。本当にやめてほしい。
ビジネスのためのアート、って考えるその時点で見る資格もないし、学ぶことなんかも何にもない。アートの方が確実に上位なのに。急に市民講座とかすごくなってて、美術館行ったりして、ある視点で見るべきって言われてメモしちゃったり。勘弁してくれって思う。
戸田:僕も違和感がある。教育も今、ビジネスのための教育、という見方もされている。そういうものじゃないはずなんだけどな、って。
エリック:そもそも生徒がどういう風なものを求めていて、どんなふうに変わっていて、僕ら興味がどうしたいのかっていうのが全てなはずなのにね。そこが全く議論されずにいる。
アクティブラーニングっていう前に、ちゃんと会話しようよって思う。会話について学びたかったら、キャバクラに行くほうがいいかもしれないよ。本当に!プロの話術をどこで学ぶかということを考えたら、冗談抜きで一つの選択肢だと思う。そういう場所がいけない、ということでさえ思い込みだと思う。その先の悪いことやっちゃいけないけど。
僕はプロだから、自分が良くなるためにはどんな方法でも使うし、どんな人でも会う。自分がいいと思ったものをやっていたい。
戸田:本当にそうですね。
じっくり向き合う・対話する
■ やりたいことをやるために
エリック:僕もコンサルになってやりたいことをやりたいと思ってたんだけど、やりたいことをやるためには権力が必要なんですよ。だから僕はパートナーを目指した。パートナーになって、その中で力を持てばお金も動かせると思った。教育でやろうとするなら、例えばまず教授になるっていうことが一つの選択肢になる。
その理想論ともう一方で、最短で教授になるためには僕は別のストラテジーが必要だと思うんだよ。僕もこの業界に入って間もないんだけど、いろんなプロモーションの事例を見てきた中で、一生懸命やった人がなれるっていう世界でもない。
実はそれは割り切りも大事。それは自分のやりたいことをやるための割り切り。自分が影響力を出すためにポジションを得るっていうのはあるべきだと思う。
戸田:僕も、やりたいことをやるためには、戦略が必要かなと思う。
エリック:戸田さんは、今の会社にいることで、その看板から完全に”信頼”ってラベルがつくよね。会社のもつラベルが、お客さんを安心させることもある。
戸田:肩書きは積極的に使うものではないけど、それを持っていることは事実だし、武器として使うことは大事かなって思います。
エリック:武器だと思うよ。僕も、日本の大企業にいたことは武器にするため。外資での経験だけでは、信頼性がなくなるなと思って日本の本流・王道のところでキャリアが欲しいと思った。そうするとちょっと信頼が上がるでしょう。
戸田:絶対にそういうのは大事。例えば、僕がいかにどれだけ教育のことを語ってて、相手が納得したところで、「そもそもこれ誰?」っていう時に、一応上智で先生やっていたっていうと、「あ、教育者が言っているんだね」って思ってもらえる。それがなかったら「理想論を言っているだけじゃないか」って思われることもある。
エリック:ギャップだよね。ギャップって人の興味を引くんだよ。戸田さんは、今の会社のイメージとのギャップがある。
戸田:よく言われます(笑)
エリック:そこから、何か動きがあるとストーリーになるんだよね。「あ、それは戸田さんの枠にはまらなかったんだね」って勝手に捉えてもらえる。その会社にいたらできないことを、戸田さんはやろうとしているんだねって。
僕も、パートナーだったからわかる。その会社のパートナーであったことがストーリーになると、見た人が喜ぶ。人をワクワクさせるし、期待させることができる。
それって、人間の関係ですごく大事だよね。あ、こういう人に会いたいなって思わせるのもね。
戸田:会うたびにワクワクしてもらえる人でいたいなって思う。それが、差成長という話に繋がるかなと思う。
成長していないと、全く変わらない人だし、その人と会っても喋ることが同じだろうなって思われてしまう。常に成長しているし、いいこと言っている人ならまた会いたいな、って思う。僕はそうなりたい。
■ これからの教育
― 最後に、ビジョンや教育者として実現したいことを教えてください!
エリック:僕は、学生たちに2年間で、本来社会でしか経験できないことを経験させたい。みんなに起業してもらいたいんです。
僕のゼミは起業することを条件にしている。2年間で、ベンチャーの体験ができれば、うまくいけばそれでいいし、終わってしまえばまた別を向いて一生懸命頑張ればいい。とにかく、まず2年の間に1回経験する。それが選択肢になると思う。
今の子には本物を教えたいんですよね。学ぶんじゃなくて感じて欲しいんですよ。「この無駄な熱意みたいなものはなんだ!?」とか、「なんでこの人たちみんな熱いんだ?」とか。教えてる方が熱くて、向こうはみんな冷めてるっていうくらいに、感じてほしいんです。
そうしたことがわからないで大学を出たり、何かやろうとすると、人脈がないまま進んでしまう。一度ここでやれば、人脈も作れる。僕の学生には、偉い人も会わせるし、名刺も持たせて出かけさせる。エリック鞄持ちっていう名刺持ってる学生もいるよ(笑)
戸田:めっちゃいいなぁー!(笑)
エリック:でも、これが大事。連絡先が書いてある紙を渡すってすごく大事で、その時インパクトがあったら何かあればくるかもしれないしね。それを渡すっていうことは大事だから作ってあげてるの。
とにかく、一流を感じてほしいし、自分がビジネスを作るっていう面白さとか、そんなに簡単じゃないぞ、っていうことを2年間でやってみてほしい。結構時間があるからね。バイトするのもいいけど、それなら自分でビジネス作って稼げばいいんだよ。
そういうことをやっていきたいし、その中で自分自身もアイディアをさらに発展させたり、コラボレーションさせたりして、ゼミもある企業もあるベンチャーもある、というものをつくっていきたい。
あと、僕の場合はタイ・マレーシアが場になる。例えば、マレーシアの大学の教授と組んで、マレーシアの企業ベンチャーと日本の企業やベンチャーをつなぐと二国間のプロジェクトになる。
こういうコラボレーションしていくと、とんでもない話になりそうじゃない?それでアジア全体まずやろうぜ、アメリカに乗り込もうぜ、みたいな話ができたら面白いなぁと思って、今後の展開にしていきたいと思っているのよ。
戸田:おもしろい!あと、こういうことってエリックさんが言うから自分もやろうって真似するっていうのはやめてほしいと思う。エリックさんだからそういうことができる。
エリックさんだったら、学生がおかしな方向にいっちゃっても、それを救える。でもそういうのがやれない人がいる。「若いうちに起業しないと!」っていう無責任な発言する人は嫌だから、そういう偽者には騙されてほしくないな。
エリック:戸田さんの考えていることでおもしろいのは、プラットフォームの大切さを強調しているところ。僕はタレントだから、個人で全てをやろうとすると限界があるの。僕の24時間のうち、睡眠時間を引いたところしか稼げない。
僕は、ずっとそれを超えたくてしょうがなかった。超えるためにチャレンジしてるところで、戸田さんと出会ったので、僕にとっては大きな学びなんですよ。もし僕が役立てるのであれば、お互いにwinの関係になるねっていうことで盛り上がれる。
戸田:嬉しいです。僕も課題感を持っています。僕は、自分が今までやってきたことって結局いろんな人に助けてもらってやってきたんだ、って気づいた。
それに気づいてからは、「僕が」ではなくて、みんなで新しい社会を作っていきたいと思うようになった。それが僕の中ではプラットフォームという形なんだろうな、と思う。
エリック:うんうん。プラットフォームって大事だよね。
それで今、もう一つおもしろいことがある。小学校4年生から6年生までのSTEAM教育のプロジェクトをやっているんです。基本的にはデザイン思考で取り組んでいる。
今の子どもたちは、言語化することが難しいということなので、知り合いのアーティストを巻き込んで、言葉を使わないで子どもたちの発想を絵にしていくということをやっているのね。
最近、今の小中学校では、自分のことを発想できる子の居場所がなくなっているって思う。例えば、授業中に変に質問するやつって面倒だと思われてしまって、すごくかわいそうなくらいに居場所がないんですよ。心の中でこの授業おかしいな、って思っても、言葉にするとすごくダメ扱いされてしまって、居場所がなくなる。
プロジェクトが、そういう子どもたちの一つのはけ口になれば、とも思ってやっている。それに、子どもたちは何かができないとしても、どこかで誰かと補完関係になっている。彼らは活躍できるし、すごい価値を出せるのに、その場所がない。
本当は、教室にいられない、っていうことだって構わない。教室にいられない子たちを悪く言ってはダメだって伝えている。
「教室にいられないって気持ちはわかる?」
「わかんない。だって、やるべきことをやるべきですよね」
「でも、いられないんだよ。」
「わからないな」
「うん、わかんないよね。でもわかんない人の意見を聞くから、みんな成長できるんだよね。教室にいられない人の意見、聞いてみようよ!
みんなと全然違うけどいいじゃん。絵は自由に描いていいじゃん。教室に帰って来なくてもいいよ。別にいいんだよ、それで。」
そう言うとね、教室に来たときに、「あ、帰ってきたよ」じゃなくて、「教えて教えて!」って聞くの。そうすると、子どもの心が開くんだよ。そうすると新しいものができてくるんだよね。
出てくるものも、色でもいいし、笑いでもいいし、ダンスでもいいし、何でもいい。表現だから。メッセージを伝えればいいんだから。パワポである必要もないし、自由でいいからみんな楽しいんだよワイワイやりなって。
そういうプロジェクト。僕が一つ決めているとしたら、チョコレートなんだけどね(笑)。疲れたらチョコだろう!って言って。(笑)
戸田:いいなぁ、わかる。授業の時、リアクションペーパーを書いてもらったんですけど、その時全員作文なんだなっていうのが正直気になった。自由に絵を描いたり、感想をメロディにしましたって言って罫線に音符を書いたっていい。
エリック:そうだね。みんな真面目だから、授業の課題を出すっていうと授業中に書き出す学生もいるよね。あれは機会損失だよね。
大学で個人を評価する、ということも違うなって思う。みんながちゃんとやっていれば、それでいい。これからはチームみんなでやるっていうことが大事なんだし、ルールだからって評価に時間をかけている暇があったら、ほかにやることあるだろうって思う。
戸田:ほんとですね。僕も、エリックさんと早く一緒にやれるようにしたいなぁ。エリックさんを授業にも呼びたい。
エリック:いつでもいいですよ!
戸田:ありがとうございます!やりましょう!
(終わり)
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二人の会話は、新しいものとの出会いや学びに対して、心から楽しんでいる様子が伝わってきました。自由な発想から生まれるお二人の教育が、広がっていくことが楽しみです!
松永エリック・匡史さん、ありがとうございました!!