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【対談】「僕らのWillでつくる地球」 (村上悠×戸田裕昭)<2>

村上悠さんを迎えた対談、第2回のテーマは「志 Vision」。飲む飲む詐欺を脱却して、お互いを認め合いながら、次なるステージへ進む二人が掲げるものとは??自分自身の言葉で語るVisionがここにあります!目指すものの背景には、共通する思いがありました。

<2>「志 Vision」===================

― やり方は違うけど、これから一緒にいろいろやろう!と意気込むお二人ですが、今、それぞれが成し遂げたいことはなんですか??

戸田:成し遂げたいことは地球国をつくること。まずそれは変わらない。誰もが違いを認め合って生きていく社会をつくりたい。

違いを認め合うことは、他人を認めるっていうこと。他人を認められる人というのは、自分に自信がある人だと思う。

自分が全然超つまんないっていう状態の時、何かやってる人を見たら僻んだり、あいつはいいよねってなるよね。でも、自分がすごく良い状態でいたら、周りにも、おぉいいねぇ!っていう感じになるはず。

だから、みんなが自分に自信を持てる人を増やしたい。やりたいことをやっている人が自分に自信を持てる人だと思うから、「やりたい」を持った人をたくさん増やしていって、やれるようにしていきたい。

一人で勝手にやれよ、じゃなくて、一緒にやろうよっていう世界をつくっていくこと。やりたいことをやれる人がたくさん増えて、他人を認めることができて、地球国ができるというところまでやりたい。

だから、今先生をやってるし、島スクール(*2)もそう。できないって思ってる人たちに、「できるぜ」「俺たちがいるぜ」って言って、やれる環境をまずつくりたい。

村上:僕のプロジェクトでは、ファンタジスタ(*3)とかピクチャニック(*4) とか、結構恥ずかしいネーミングをつけるのよ。

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             賑やかピクチャニック

戸田:センスいいと思うけどね。ファンタジスタとか。

村上:本当に!?でも、相当恥ずかしいわけ。お前何自分のことファンタジスタとか言っちゃってるの、みたいな。超やばいやつじゃんみたいな。なんだけど、”地球国つくる”の方がよっぽどやばいと思ってて。

戸田:えぇ!(笑)

村上:僕の中で最大限恥ずかしいやつを言っていたつもりだったのに、地球国はそこを平気で越えていくわけよ。なんというか、僕の恥ずかしいアウトプットのはるか頭上を、すごい勢いで流れ星がぴゅーっと飛んでいくような。あ、とだっちが飛んでる!みたいな。

戸田:そんな変かな、地球国・・・

村上:それがさっき話した好きなところね。突き進んでいるところ。ばかっていう表現をしたけど。(笑)

戸田:でもずっと言っているとね、同じようなことを思っている人と出会える。

村上:そうかもね、言い続けてるとそうなる。

戸田:うん。     

村上:僕は地球国とは逆から入っているかな。僕が言っているヒューマンスケープもそうなんだけど、とにかくまずは身の回りの人が面白ければいいという感覚があって。周りの10人20人が面白い人だったら僕の人生はそれで充分楽しいだとうなと。

じゃあ、面白い人って何なのというと、「その人が、その人らしく何かしらの価値を生み続けている人」。そういう人たちがいろんな地域とか、いろんな企業とか、とにかくいろんなところに増えているという状態になっている。

その結果、周りから見たときに社会が良くなってるよねとか、なんか世の中良くなってるよねとか、それこそ地球国になってるねと、そういう状態になるんだろうなと。それは自分一人じゃできなくて、身の回りの10人20人の積み重ねの結果にあると思ってる。

だからビジョンとしては、確かに、地球国をつくりたい!と思いつつ、その流れ星がぴゅーっと飛んでいる瞬間、僕はその下で地道に、身の回りに面白い人を増やしていく。それが超楽しい。

戸田:それも、地球国の中に含まれているんだよね。

村上:そうそうそう。地球国の中で、面白いことやっている人、つまり、その人らしく何かしらの価値を生み続けている人ばかりで溢れることに興味があるし、それを当たり前の風景としてつくりたい。それをヒューマンスケープって言っていて。だから、そうね、地球国賛成!

戸田:やったー!

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                地球国!

■「僕たち」がいい

村上:あと今話していて面白いなと思ったんだけど。僕がやってきた「ファンタジスタ」とか、「エンデマン」(*5)とか、プロジェクトのネーミングって、だいたい一人称なんだよね。

僕らのプロジェクトの起点は基本的に個人にあって、主語はだいたい「僕」からスタートする。それがとだっちと違って面白い。とだっちは、地球国をみんなで!ってなるでしょ。

戸田:俺も最初は主語は「僕が」だった。でも、自分がやってきたことを振り返ると、全部人に助けられてやってきたから、「僕が」じゃないんだなって気づいてから、けっこう変わるようになった。自分は全然すごくないし。

村上:「僕たち」っていうのがいいよね。

戸田:これね、仲間に言われて気づいたの。俺と仲間2人で、プロジェクトをみんなでやろうって集まっていたとき、みんな宿題を持って帰るの。

それで、「ねー俺にも宿題ちょうだいよ」って言ったら、「いや戸田さん何もできないでしょ」って言われて。確かに!って思って。

(笑)

戸田:「でもやっぱり俺も何かやりたいんだけど」って言ったら、「戸田さんはこんなことやりたいって騒いでればいいんですよ」って言われたときに、確かに俺なんもできねぇなぁっていうのが気づきだった。

村上:僕が一人称から始めるのも実は似た話。チームファンタジスタって、頭にチームがついていて、入社1年目につけた名前。

「遊ぶように働き、働くように遊ぶ」をコンセプトに掲げていて、でも当時そんな生き方って何?という状態だったから、ファンタジスタというのはどういう価値観で、どういう働き方や遊び方をするのか、まずは自分ではじめて実例を提示することに力を注いでいた。ずっと一人で(笑)。

それでも最初に“チーム”と名付けたのは、いつしか必ず主語が「僕たち」や「仲間が」になると思っていたから。2005年にチームファンタジスタをはじめて、2013年くらいにほんとにチームになった。

だから、もともと「僕たち」に対する憧れはあったんだと思う。

一人称から始めるのは、会社にいるとだんだん主語が「会社が」になって、「私が」がなくなることに気持ち悪さを感じたからなんだよね。

今仕事でやっている、まちづくりも同じ。まちづくりって誰がしていると思いますか?って問うと、必ずデベロッパーと行政が出てくるけど、「私たち」という答えはほぼ出てこない。実際にそこに住んでいる、あるいは使っている人が主語として出てこないのはおかしい。

「私」が圧倒的に足りないまちづくりってつまらない。面白い街はみんな考えてるんだよね。

戸田:それは共感する。俺、地域活性化をやっていても、行政ばかりで、住民が全く出てこないっていうのがおかしくて。でも、住民は何かあるとなんでもさ、自分たちが住んでるところなのに行政がやってくれるみたいなっていうのも違う。

前に、民による国づくりって言ってたんだけど、住民主体国づくり、日本で言うと日本国民が主体となって国民が自分たちがどうしたいか、ということに対するサポートを、企業とか自治体がしていくみたいなのが理想なんじゃないかな。国による国づくりみたいのってもう限界がきてると思うんだよね。

村上:その昔いろんな地域で豪族が乱立してて、それぞれが自律していた。それが今の地域でもたくさん起こるといいよね。


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                 team


■ 結局、人が好き。

村上:この際思いきり喋ろうと思うんだけど。

戸田:いいね!

村上:稲盛和夫さんの『生き方』っていう本が僕のバイブルで、めちゃめちゃ好きなのよ。その本で稲盛さんは、人生、仕事の成果を方程式で表しているのね。成果は、「考え方×熱意×能力」だっていうことを言ってるの。

熱意と能力を数値で表すとベクトルは一方向なのよ、0か100。でも、考え方だけは、− 100から100まである。そうすると、どんなに熱意や能力があっても、間違ったマインドセットをしていると、世の中は悪い方向に行ってしまう。

戸田:なるほど。

村上:とだっちとは、そのベクトルが合っているから一緒にいるんだと思う。

戸田:考え方って大事だよね。あと、その考え方の主語が「自分が」の人は、俺は一緒にやってないし、逆に裏切ったり不義理をする人は大体主語が自分だなっていうことに気づいた。

村上:「自分が、自分のために、自分だけでやっている」状態がダメなんじゃない?

戸田:そう「誰々のために」で動いている人がいい。

村上:利他だね。

- 利他における「他」ってどういう人なんでしょうかね?

戸田:村上みたいに自分の身の回りの人っていうのもありだし、俺みたいな、広く社会をみるのもありだと思う。「他」にもいろんなあり方がある。
だからやっぱり、大事なのは、志、考え方なんだと思う。共感し合っていて、みんなで助け合ってみんなで作ろうっていうことができればいい。

村上:僕らは熱意はそれなりにあるからね。ただ能力が・・・

戸田:0だよ、俺何もできないもん。

村上:英語しゃべれないしね。アプリも作れない。

(笑)

戸田:俺は騒ぐ、騒ぐことができる。とりあえず突き進むことができる!

村上:そうだね、やることが、突き進む。敵をつくること。

(笑)

ー 村上さんができることはみんなの共感を得て仲間づくりをするところ?

村上:あとは人を信じることかな。

戸田:そうね、わかる。俺も信じすぎちゃうんだよね。絶対に騙されないって思ってても、なんか盛り上がっちゃったら、この人いい人!ってなっちゃう。

村上:この人いい人だなあって思うの、結構得意。

(笑)

村上:一緒に仕事してるといろいろあるけど、結局どんな人でもだいたい一周廻って可愛くなっちゃうんだよね。根はすごい人なんだな、結構嫌いじゃないかも。いいとこ見つけちゃうんだよね。あああれは、不得意なだけだったんだなとか。

戸田:それもわかる気がする。

村上:その結果仕事の歩みが遅くなることもあるけどね笑。もう、しょうがないなぁって。

ー 人が好きなんですね。

戸田:人のこと好きじゃなかったら、こんなことやろうと思わないよね。身内の人みんな輝いてるようにしたいって好きじゃないとできない。

村上:確かにそうかも。

戸田:間違いないね!

■ 目標へ道はそれぞれ:一本道といくつかの道

戸田:村上って、気持ちが落ちることないの?

村上:あまりないと思うんだよなぁ・・・。憤りを感じることはあるけど。

戸田:俺はけっこう定期的にくる。嫌で嫌でもうやめたい、とか。ちょっと前までもダークサイドに堕ちてたの。辛いことが続いてまじでプツンって切れて。

その時、ダースベーダーとか、映画『ジョーカー』のジョーカーとかみたいに堕ちたんだけど、でも、俺は最終的にはこういう人になりたくないなって思ったの。むしろ、こういう人を生み出さないようにするにはどうしたらいいんだ、って思えて、それで戻った。

村上:それでいうと、僕は結構選択肢を持っているのかもしれない。JRもそうだし、ファンタジスタもそうだし、大学もそうだし、エンデマンのプロジェクトもそう。地域にちゃんとコミットする会社で起業したい、っていうのもそう。いっぺんにドカンと全部潰されることってなかなかないね。

戸田:おぉなるほどね。

村上:ひとつひとつは憤りを感じることはある。でも、ひとつにカチンときても他の4つくらいがあるから、まぁなんとかなるか、って思う。逃げ場があるという感じかな。とだっちはCSWもそうだし、今もそうなんだけど、一本の図太い道がさ、ドンとあるじゃない。

戸田:なるほどね!今聞いてて気づいた。俺がやってることって全部繋がってるんだよね。うまくいけば全部うまくいくけど、一つ終わると全部終わっちゃう。これがダメだったらこれでいこう、みたいな選択肢がないっていうのは弱みだよね。

村上:ヒューマンスケープアーキテクトの行動の中に、いろんな道、いろんな選択肢が含まれている。それぞれは規模が小さいかもしれないけど、一つだめでも別にもう一つあるからいいじゃんって考えているかな。どの道を行ってもゴールにたどり着けさえすればいい。

戸田:なるほどね、それって自分の強みと弱みの話につながるね!

村上:最初に言った、とだっちの好きなところが、まさにそれだと思う。道がドンってあって、突き進んでいるっていうことね。それは強みでもあり弱みでもあるのかな。

戸田:歩み方が違うんだな。目指してるところは一緒なんだけど、村上はどの道に行っても上に行ける道を作るのが得意で、俺はその道を全部ぎゅっと一つにするやり方。どんどん一本にしていく。

だから、うまくいってる時はめっちゃ進むんだけど、うまくいかないと完全に止まるっていう。何かあって道がふさがれるとバン!って切れる。それが最近だよ。もう全く進めない、地割れみたいのができて。

村上:ダースベーダーが堕ちるように。

戸田:うん。そうだね、そうか。気づきだな。すごくいい気づきだ!


■ 目標(ゴール)設定は誰かのために

村上:今の話に対して、中高生とか大学生とかにも必要だなと思うことがあって。彼らは、いろんな「大人」というものを見たほうがいいと思っているんだよね。

こういう大人になりたい、こういう大人は嫌だとか、それをちゃんと自分で言えるようになるためにいろいろな選択肢を見たほうがいいんじゃないかって思ってる。サラリーマン、クリエーター、アーティスト、先生もいれば、パン屋さんも陶芸家もニートも知っているよっていう。

それが全く見えてなくて、この道に行くんだ、どこどこの企業に就職するんだって言って、それだけしか見えてないと、まさにプツンといくわけじゃない。そこから這い上がることもできるなら、それも悪くはないんだけど、知らないことで可能性を狭めているとしたらすごくもったいないなって思う。

戸田:ゴールの設定だよね。何か目標を自分のために設定すると、自分で諦められちゃう。

でも俺は、娘のため、社会のためにゴールを設定しているから、ここでやめたら実現したい世界ができない。だから、折れるわけにはいかない、折れられない。ものすごく落ちきってもどこかで、またどこかで、ガッと上がってこないといけない。

目標は自分のためというよりは、何か違う自分の自分以外の人のことのためにある。

例えば、朝6時に起きるっていうことも、自分のために起きるなら、寒いしもうちょっと寝とこって諦めちゃう。でも、6時に起きないと誰かが困る、例えば打ち合わせがあって起きなきゃいけないとなればやれる。

誰かのため、何かのためにやることならできる、っていう目標設定をしないから、なんかけっこうみんな苦しくなる。

学びも、誰かのために学ぶ、っていう「利他的学び」だったら、すごいことが起きるんじゃないかっていうワクワクがある。

だから目標はやっぱり、誰かのため、他の何かのため、がいいんじゃないかな。

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戸田の地球国、村上さんのヒューマンスケープアーキテクト。自分の言葉でそれぞれの志 Visionを表現する二人ですが、「僕たち」でやることを大切にしたい、人が好きだからやっていける、目標設定は誰かのために。そんな共通する思いもありました。

では、この志Visionは、いつどのようにできてきたのでしょうか?志 Visionはどのように実現していくのでしょうか??最終回は、それぞれの原体験に迫りながら、二人が描く未来を伺っていきます。お楽しみに!

*2 島スクール
新潟県佐渡市における教育事業。「やりたいこと」から始める学びと実践の場。仲間と一緒に未来を実現させるための講義を実施。

*3 ファンタジスタ
「遊ぶように働き、働くように遊ぶ風景をつくる」をコンセプトに、JR東日本グループ若手中堅社員で構成されるプロジェクト提案型チーム。個人起点の想いからプロジェクトを組成し、社内外で多数のプロジェクトを実現する。 

facebook page:
https://www.facebook.com/TeamFantasysta/

*4 ピクチャニック
エンデマンが行うプロジェクトのひとつ。ピクニックするように絵を描く、お絵かきイベントやワークショップを行う。

*5 エンデマン
「誰もが表現している風景をつくる」をコンセプトに活動するユニット。ピクチャニックを開催するほか、自ら絵本づくりを行う。

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