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London編・後編
こんにちは。美容室「LIfT(リフト)」のバンビです。2025年初めてのブログ更新になりました。遅ればせながら、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、前回のロンドン編・前編に続いて、後編では私のロンドン生活で起こった、3回目の奇跡についてお話ししていこうと思います。
日本にいた当時、ロンドンに行くにあたって、私には現地に美容業界の知り合いがいたわけでもなく、同じように美容学校へ留学する日本人の同志もいませんでした。
そこで、ロンドン生活で自分のモチベーションをキープするために、私の憧れていた日本人美容師のインタビュー記事をスクラップして持っていくことにしました。
彼女は、ロンドンで活躍された後に日本に帰国、自身のサロンをオープンさせ、多くファッション誌や著名人を担当している方でした。
私はロンドン生活の中で、彼女のインタビュー記事を繰り返し読んでは自分を奮い立たせていました。
ある日、アシスタントとしてピーターグレイ氏に同行し、ロンドンコレクションのバックステージでショーの準備をする仕事がありました。そこに日本からのゲストヘアアーティストとして、私が記事をスクラップしていた、その憧れの日本人ヘアスタイリストが登壇することになりました。
そして、ピーターグレイ氏の時と同様にトントン拍子に話が進み、彼女がロンドンで仕事をする間、アシスタントにつける機会をいただきました。
日本にいてもなかなか出会えない人なのに、ロンドンで出会えたことに興奮しながら仕事をしたことを今でも鮮明に覚えています。
その後、私が帰国してからは、日本にある彼女のサロンに入社することが出来ました。
余談にはなりますが、実はもう1人、出会えたことを自慢したい人が、ファッションデザイナーのマルタン・マルジェラです。
マルジェラは、今でも私が憧れるデザイナーの1人で、当時のマルジェラのファッションショーのヘアを担当していたのがピーターグレイ氏でした。
有名な話ですが、当時からマルジェラの容姿は非公開で、一切素性が明かされていない人物だった為、お会いするまではどんな人なのか全く想像がつきませんでした。
実際にショーの現場でお会いしたマルジェラは、とても落ち着いた面持ちでありながら、彼の内面から溢れ出る情熱を感じたのを覚えています。ショーの最後にスタッフ全員にハグして回ってくれたことがとても嬉しかったです。
こうして、約2年間の右も左もわからない素人美容師のロンドン生活は、そこで起こった奇跡的な出会いの連続のおかげで、私の美容師としての道は大きく開け、ここでの経験は大切な財産になりました。
私がいた20年前のロンドンでは、様々な人種の方がいて、いろいろな肌色や髪質の人がいましたが、みんなそれぞれ「自分の素材(毛質)」を活かしたヘアスタイルをしている人が多かったと思います。
反対に20年前の日本の美容業界では、外国人風パーマや縮毛矯正をする人が非常に多く、1つのトレンドになっていました。自分の素材を生かすというよりは、「なりたい自分になる」という強い気持ちを持っていた日本人が多かったと思います。
そして月日は流れ、20年が経った今、自身の持っている髪質を軸に素敵なヘアスタイル、健康的な髪を目指したいという人が日本でも非常に増えていることに気がつきました。
私が当時のロンドンで感じた、人々がありのままの自分を受け入れ(他者も受け入れ)、自然体でいることが一つのスタイルであるという感覚を思い出し、何故かとても懐かしくなり、今回ロンドン編を書いてみようと思いました。
また、気づけば自分自身もそういったことをお客様に提案したいと思う美容師になっていました。渡英して感じた「みんながそれぞれ違って、それが良い」ということは、私の美容師として、人としての座右の銘になっていると思います。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
BAMBI.