アジはどこから来てどこへ行くの?~アジの一年の動きはこんな感じのようです~
アジはいつ頃にどこから来てどこへ行くのだろう?
といつも疑問に思ってました。ベテラン釣り師の言うことにもいろいろと差があったりします。
そんな中、面白い文献を見つけましたので紹介します。
ちなみに、このいつ頃、というのは年単位と日単位があります。今回見つけてきたのは、山陰における年単位のお話です。
文献の紹介
『山陰海域のマアジの分布と移動』
紹介するのは鳥取県水産試験場報告(2003)で志村健先生が報告されている内容です。
あ、ちなみにこれ、ネットで簡単に検索出来ます(以下のリンクから第37号(平成15年3月)の上記のタイトルから読むことができます。
要約は以下の通りです。
「マアジは年間通して水揚げされるが、初夏から夏にピークとなる。
4~5月は1歳魚主体の水揚げとなり、6月以降これに0歳魚が混じり始める。
漁場は季節によって変化し、冬は小規模かつ分散し、春にややまとまり出し始め、初夏に鳥取県から島根県沿岸に広く分布する。夏には隠岐諸島周辺に集中するが、秋から冬にかけて漁場は南へ広がるとともに小規模となっていく。漁場形成と水温に関係が見られ、0歳魚および1歳魚の漁場は水温の上昇とともに隠岐諸島周辺に形成し、水温下降により分散し小規模化する」
だ、そうです。
文献から分かること
この志村先生の文献の中では、マアジの取れた位置とその量、そして水温とを地図上にプロットした図が示されています(著作権の問題があると思うので詳しくはリンクを見て下さい)。これを見ているとやっぱりアジは水温で動く魚なんだなと改めて気付きます。春先は山口県沖から徐々に暖かくなった水温とともに北上し、初夏に島根から鳥取県沿岸で獲れるようになるようです。さらに暑くなってくると隠岐諸島に移動し、また秋に水温が下がるに従って鳥取県沿岸に集団を形成しています。ということで水温をしっかり見ておくと言うことはアジングをする上でやはり必要なことなんでしょうね。
(水温の見方は過去に記載したここを参考にしてみて下さい)
また豆アジに関する豆知識もありました。
上記の概要の中に6月から当歳魚、いわゆる豆アジが出てくると書かれています。この豆アジを主体とする大きさのまとまりはその後ひと月ごとに1cmずつ大きくなっていきます。つまり豆アジってひと月に1cm成長するということのようです。
まとめ
要約だけ読むとなんとなくアジングをしていて当たり前のことなんですが、こうして専門家がきちんと調べてみるとやっぱりその通りだったということで、釣り師の経験というのもなかなか侮れないな、なんて思います。
ただ、゛居つき゛と言われる形態で港周辺に残るアジもいる、なんて話も聞きます(ほんとかどうかは分かりませんが)。やっぱり自然の生き物がすることはデータだけでは縛れないものがあるのでしょう。そういうものを対象にしてるからこそ、釣りというのは面白いのかも知れません。
そうそう。
別の県の事例ですが、アジの日周行動について調べた調査もあるようです。こちらも読んでいてなるほどと思える内容でしたので、またいつか紹介させてもらいます。
もしも何かの参考になれば、もし何か得るものがあればサポート頂けたらありがたいです。新しい釣具を買わせて頂き、皆さんに紹介させてもらいます!