クリスター60フォーカスのレビュー
ようやく慣れてきたので、満を持してクリスター60フォーカス(以下、フォーカス)のレビューを。かなりの長文ですが、購入を検討している方にとっては参考になると思いますよ。たぶん。
導入のきっかけ
僕のメインロッドはtictさんのSRAM-EXR-60S-Sis(以下、スラム)でした。
最初にこのロッドを使い始めたときにそれまで「?」だった当たりが「!」に変わったくらいに衝撃的でした。いろんな方のレビューを見ていても、割と高評価が多くて“名竿“といっても良いようなロッドだと感じています。
このロッドのおかげでアジングにますますハマりこみ、繰り返し遊んでいると一部に不満が出てきました。それは潮の感度です。この竿は当たり感度はしっかりとしているのですが、潮感度を掴もうとするとかなり集中力を必要とします。決して潮の重軽を掴めないわけでは無いのですが、絶えずラインにテンションをかけてやるなど工夫が必要なのです。またアジのバイト直前のゾワゾワした感じもあるにはあるのですが、確信の持てる強さではなく、半信半疑な状態で食ってくるのを待つことが多かったのです。
もちろん、この竿のままでも良かったのですが、アジングのもう少し先を見てみたいという思いから、高感度ロッドを探しました。
候補がいくつか挙がった中、最も気になったロッドはティップ径が当時のロッドでは最も細い0.5mmだったクリアブルーさんのクリスター56ファインダーでした
(他にも魅力的なロッドはたくさんあったのですが、ともかく感度を優先させたかったのです)
そんなわけでクリアブルーさんの展示会で本岡代表にファインダーについてお話を伺ったところ、
「モデルチェンジを考えてるよ」
ということを教えてもらい、諸般の事情から待ちに待ってようやく我が家にやってきたのがこのフォーカスさんです。
実際に使ってみて
ということでここからレビューです。
いろんなレビューの方法があると思いますが、ここはルアマガ+の記者さんが“アジングロッドが持つべき5つの性能“ということでコラムを書かれていますので、その観点をお借りして記載してみることにします。
①キャスト能力
ドキドキしながらジグヘッド0.8gを初キャストします。よく飛ぶなぁと思うものの、スラムより少し遠い程度。あんまり変わんないかなと思いつつ、次に0.5gに変更してキャスト。あれれ?0.8gの時と飛距離がそれほど変わりません。不思議に思いつつ、次に0.3gをキャスト。流石に0.8gや0.5gよりも飛距離は落ちますが、よく飛んだなぁという印象です。“良いロッド“をお持ちの方ならわかりますが、“強く振るよりも力を抜いて投げた方がしっかりと飛ぶ”状態はこのロッドにもしっかり当てはまりました。コツがわかると投げる距離も伸びて、またストレスなく飛んでいきます。回数を繰り返してもほとんど疲れません。
この理由として、リールがヴァンキッシュ1000に変わったこと、そしてロッドバランスが抜群に良いことが挙げられます。リールを変えたことで、今まで使っていたソアレCi4 2000よりもスプール径が小さくなり、ライン放出時の抵抗が減ったことやシマノの新概念のロングストロークスプールなどリールによる恩恵も勿論あると考えられます。リールによる恩恵はシマノさんのページをみていただくことにして、語るべきはロッドです。
近年、ロットの軽量化は進んでおり、その進化は目覚ましいものがあります。
例えば最も軽いのが、がまかつさんが出している宵姫天(S61-solid )なんかは42グラムという軽さです。他にも僕が使っているスラムの上位機種である、UTR(55one-TOR-CQC)なんかも発売してからかなり経ちますが、これも55グラムと軽量です。一方で、今回新たに仲間になったフォーカスは60グラムと比較的重いような印象を受けます。ところが実際にリールをつけて振ってみると重く感じないんです。
具体例で見てみましょう。
これまで使っていたスラム本体の重量は58gです。組み合わせて使っていたリールはソアレCi4+でこちらは160gです。この組み合わせは合計は218g。
次に今回の組み合わせであるヴァンキッシュとの組み合わせは60g+145gで205gとなります。このごくごく僅かな13gという違いは実際に使っていると数値以上に感じます。おそらくそれはロッドそのもののバランスに現れるのだと考えています。僕もその辺りをはっきりさせてみたいので実際にバランスを見てみます。
まず初めにロッドに何もつけずにバランスを取ってみます。
最初にスラムから。ちょうど赤矢印のあたりで前後のバランスが取れます。
“SRAM“の文字の“S“と“R“の間くらいでしょうか。測ってみるとリールシートの先端から約7cmのところに重心がきます。
一方でフォーカス。こちらはこの通り。
少し文字が見にくいですが、“Built with OLYMPIC“の文字の“Built“と“with“の間くらいが重心です。こちらも測ってみると、約5cmのところのようです。
こうしてみると僅か2cmでも手前側に重心が来ることでどうやら軽く感じるようですね。
参考までに同じリールをつけてバランスを取ってみます。まずはスラムから。
次にフォーカス。
リールフットからそれぞれ、スラムが5cm、フォーカスが3.5cmぐらいになるようです。
ということで1.5cmというわずかな違いだけど、取り回しということになると直感的に違うように感じるのだなぁと改めて気づきます。
(ちなみにスラムそのものが悪いのではありません。リール側でバランス取れば重心は手前に寄ってきます。なので僕がリールをソアレCI4+にしていたことは良かったのだと思います)
ということで結論。フォーカスはバランスの取れたロッドであるのでキャストしやすい、と言えます。またこのバランスの良さによるキャストのしやすさは、①疲れにくさ、②キャストの再現性の高さという嬉しい要素も呼び込んでくれています。時に正確さが必要になるアジングにとっては嬉しい要素がプラスされることは釣り人にとって大きな武器になりますね。
②アタリ感度
これは文章や写真では伝わりにくいのですが、以前にも行ったテストをしてみます。こんな感じのテストです。
ジグヘッドを結んで床に垂らした状態で目を瞑ります。
そしてゆっくりロッドを立てて行くとラインがピンと張ったのを手元で感じたところで目を開けます。
ラインがピンと張るということは実際には何らかの力がジグヘッドを引っ張ったということになり、アジが触れたことと同じと考えます。
これを実際に今回もやってみます。
結果からいうとどちらのロッドも0.3gのジグヘッドの引っ張りも感じることができました。ただし、その程度に違いがありました。スラムでは目を開けて床から離れた感じと手元に伝わる響きを覚えれば以降は目を瞑っていても、“この感じが離れた時の感じ“とわかるようになる程度の繊細なものでしたが、フォーカスではその必要はありませんでした。最初から目を瞑っていてもはっきりとわかるほどでした。
例えがおかしいですが、音でいうところのボリュームが大きくなった感じです。
しかし、この反響感度(?)の良さが実釣では少し僕を困らせることになりました。というのも慣れてしまえばなんてことはないのですが、これまでは掴みきれていなかったアジが啄むだけのアタリまでわかってしまうので合わせのタイミングがおかしくなってしまったのです。
おそらくは今まではアジがしっかりとくわえ込んでから感じていたアタリに対して合わせていたので、そのタイミングでフォーカスを合わせると早すぎるあわせになってしまっていたのです。一旦慣れてしまえば、じゃれるようなアタリ(フッキングに至れないアタリ)と本気喰い(?)のアタリがわかるようになり、しっかりと釣果につなげることができるようになりました。ただ、これにも嬉しい副産物があり、じゃれるようなあたりでうっかりと合わせてしまうことでそのレンジを大きく外してしまうようなことが減りました。しっかり口に入れてくれるまで確信を持って待てるようになりました。
③フッキング能力
先程のアタリ感度でもお話ししましたが、アタリがはっきりと出てくれる分、あわせのタイミングがしっかりと伝わってきますのでしっかりと魚を連れてきてくれます。
一般に「ノセ調子の竿はロッドそのものが仕事をするの気づかないうちにでも自発的にフッキングが決まります」などの表現があるようですが、このロッドの場合はアタリに気付けちゃうのでしっかりと掛けに行くことができます。
まだ春〜初夏にかけて(それも渋い)しか使ってないのでなんとも言えませんが、とても活性が高くなる秋などでいわゆる“落ちパク“のような状況ではどのようにアタリが出るのか楽しみです。
ちなみにフックサイズさえしっかりと合わせれば、豆アジでもしっかりとフッキングしてくれます。
④潮感度
スラムを使っていて、不足を感じていたのがこの潮感度でした。決してスラムで感じることができないものではなかったのですが、とてもぼやけたものに感じていたので、それを捉えるのにとても集中力が必要でした。
なので友人と釣りに行く時はおしゃべりしながらになるのでなかなかに難しかったのです(^_^;)
今回このフォーカスでは潮の強弱がそれほどこちら、すなわち釣り人側の感度を上げなくてもロッドの方から伝えてくれます。中でも驚いたのが、それほどラインのテンションを張ってなくても、ジグヘッドが受けるゆらーっとした潮の力を感じることができるのです。
誤解を恐れずに表現するとアジングのキャスト範囲内にこれほどまで潮の違いがあったのか、と驚くことができます。それは平面的なものもありますし、深さの中でもあります。
「あ、ここなんかもたれるような重さがあるなぁ」
とロッドからだるさを感じることができるようになります。反対に軽さもそうです。勿論重さがあれば必ずそこにアジがいるわけではないのですが、釣れる確率がぐんと上がります。反対にアジの反応がないようであれば、ちょっと待ってみるか諦めるか、など無駄に集中力を上げる必要がなくなり、長い時間釣りができます( •̀∀•́ )✧
と、偉そうに書いてみましたが、この潮感度についてはまだ勉強中なので詳しくは書けません(苦笑)
また今後ポツポツとこのnoteを書いていく際に紹介していけたらな、と思います。
⑤ファイト性能
さて。実はフォーカスを手に入れて一番心配なことがこのファイト性能でした。この繊細なティップを持つこのロッドできちんとファイトができるか、ということです。
単純に無理してティップを折ったらどうしよう?という不安でした。
今のところ、このフォーカスで釣った最大の大きさは28cmのサイズです。
このサイズをかけた瞬間に大きいと感じ、焦りすら感じましたが、実にしっかりとアジの動きに追従し、無駄に暴れ回らせることしっかりとよせてきてくれました。この時、ティップは勿論しっかりと曲がりますが、ベリー、バットとしっかりと受け止めてくれてプルプルすることなく抜きあげることができました。
素材のことはよくわかりませんが、よくよく考えてみればトレカT1100Gという素材を使い、4軸シートをしっかり巻いてあることは伊達じゃないわけです。ある意味、しっかりしていて当たり前とも言える部分です。
欠点は・・・
良い事ばかり書いてても仕方ないので少し気になった点を・・・。
①値段
何をおいてもやはりこの価格。アジの活性が高ければアンダー1万円のロッドでも成立するのがアジング。そんなアジングにその7倍以上の金額を投入するのはある意味正気ではないのかも知れません(苦笑)
ただはじめに書いたように今まで感じていたアジングのその先を知りたいという僕の想いは強く、お金を費やした分、なんとなくその知らなかった世界が少しずつ見えてきた気がします。
とはいえやはりこの値段、踏み込みには勇気が要りました(--;)
②とにかく気を使う
最近ようやくなれてきましたが、入手してしばらくは気を使いました。というのも繊細なロッドということもあり、うっかり粗相をするとポキッとティップを折ってしまうのではという恐怖感です。このため、今まで使ったことのなかったティップカバー、ロッドケース、タモ網などのオプションが釣行グッズに追加されたことからも僕の小心ぶりがわかります。
ただよくよく考えてみれば“釣具は大切に扱うもの”ということはどんな値段のものであっても同じです。フォーカスだけが特別ということはありません。そう思うとちょっとだけ気が楽になり、今はスマートに、でも慎重に取り扱えるようになりました。
まとめ
ということで、僕にとっては値段的にも技術的にもかなりの背伸びで手に入れたロッドです。
運の要素もありますが、フォーカスを使い始めてから、一緒の場所で釣りをしている他のアジンガーさんたちよりもアジに出会う確率がグッと増えている気がしています。これは僕が技術的に上手なわけではなくてロッドのおかげな気がしてます。
他のハイエンドモデルを使ったことがないので比較することはできませんが、
思い切って買ってよかった
の一言に尽きます。
これからも末長く使っていきたいものです。
購入を検討している方にとって参考になったら嬉しいです。