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ソンジェ背負って走れ⑨_ストーリーごとの感想_4話(最終回までのネタばれ有)

みなさま…大変お久しぶりです…!お元気でしたか…?

私はやっと修論が書きおわり、かと思えば帰国準備を急ピッチで進めなければならず(海外の大学院なので…)、今のいままでソンジェの感想文に取り掛かれませんでした…

でもご安心ください!ちゃんとやり切りますので!!目指せ9月中の投稿完了!

というわけで、長らく間が空いてしまいましたが、ドラマの感想文の続き行ってみましょう!

今回は4話です。個人的にはソンジェ背負って走れを全体から見たときに、非常にターニングポイントとなる話だと思います。

これまで、初恋物語、ソルがソンジェを救う物語、タイムリープが題材となっている…というイメージで物語が進められていましたが、4話で「記憶」というワードが印象的に出てきます。

私は4話を初めて観たとき、このドラマは「ソルがソンジェを救う」話だけではなく、ソルが失った大切な記憶を取り戻しにいく話なのでは?と感じました。SNSで出回っていたこのドラマの仮タイトル「記憶を歩む時間」と合わせて、このドラマの主題が徐々に見えてきたのかもしれない、と思いました。

そして何と言っても4話の冒頭。

1話で雪降る中スターとなったソンジェと車椅子のソルが漢江で出会うシーンから始まります。流れている映像自体に大きな違いはないものの、ソル目線であった1話とは全く異なり、ソンジェ視点が4話で描かれます。

ソンジェにとってはスターとファンの出会いではなく、助けきれなかった初恋の人が自分のことをすっかり忘れていることを初めて事実として示され、そしてファンとして「あなたの全てに感謝している」と言われ、初めてあった日と同じように飴をもらう…。そんな切なくでもどこか初恋の爽やかさを感じました。

あの「きゃーーソンジェかっこいい!ソルいいなぁ!」とか思っていた1話とほぼ同じ映像なのに、こんなに泣けるなんて…こんなに切ないシーンだったなんて…。あれから3話しか経ってないのに…。とこのドラマの脚本の凄みが表れていると思います。バックに流れている音楽やフォーカスされる場所(4話だと雪に打たれるソンジェの背中、ソンジェの揺れる瞳など)によって、同じシーンでもこんなに違うシーンになるとは…。ソルの眩しい笑顔も、ソンジェの視点を通して見ると本当に切ない。

改めて4話のこのシーンを見ると、ソンジェだいぶソルに傘を傾けているからめっちゃ雪被ってますね…泣。傘を傾ける=相手を想うことを表していると勝手に思っているのですが、ソンジェがソルのことを本当に気にかけていたことがわかりますね。この世界線ではソルはタイムリープ前なので、ソンジェはソルとの楽しい思い出はほぼないはず。それでも自分を全く覚えていないソルに対して、それはそれは暖かく語りかけるソンジェの心の声がたまりません。

4話では、実はソンジェはソルが家に入るその瞬間まで見届けに行っていたことが明らかになります。ソルに話しかけるわけでもなく、寒空の下でソルが帰る様子を見つめているソンジェ。この時のソンジェの表情がもう…泣。トップスターソンジェではなく、ただの青年ソンジェの顔をしていますよね…。泣ける…。正直4話では「ついていっちゃうくらいソルのこと思ってたのかー」くらいにしか思っていませんでしたが、7話を見ると、「あの時家まで送り届けられなかったから、今日は送り届けたのかなー」などなど、さらにソンジェの行動や表情の意味がわかる様に出来ていて、本当に何回も見てしまうこのドラマ…。

また、ビョンウソクの演技…。セリフも何もないけど、ソルが家に入った瞬間「あ…ちゃんと帰ったな…」と思っているのがきちんと伝わってきて、本当にうまいなあと思いました。

で、これ本当にすごいのは、7話をみてから4話のこのシーンを見ると、また違った気持ちが視聴者に生まれるんですよね(しつこい言及でごめんなさい笑 この漢江のシーンの作りが大好きなもので…)。さらに泣ける。ソンジェが一体この時どんな心情だったのか…。これを考えると、この漢江のシーンと見送るシーンは無限で泣けます笑

4話のこの時点でソンジェ視点は回収したし、この漢江のシーンは4話で回収終わりかと思いきや、これで終わらずどんどん後続の話でちょっとずつ見え方が変わってくるのが本当にすごいところ。こんなドラマ初めてで、ちょっとこれはすごく面白いドラマの誕生に立ち会っているのでは?と思っていました笑

そしてタイムリープ1回目を終えたソルの目線に戻ってきます。

ソンジェが死んだ世界を見せることで、視聴者に「ソンジェは死んでしまった」という現実を突きつけます。

このドラマ、本当にコメディ沢山やっていてどれも面白くて、全体的には明るい雰囲気なんですが、視聴者がちょっと忘れた頃にしっかり「ソンジェの死」という重いテーマをリマインドするのが上手いな〜と思います。緩急つけるのがうまいなと。

ついついソンジェとソルがくっついて欲しいと思ってしまうけど、ソルにとってソンジェが生きることが最優先である、ということを何度も何度も視聴者に見せてくれていると思います。それが後半13話以降で効いてくるんですよね〜。

ソンジェが亡くなったというニュースが流れますが、ここでニュース内で「うつ病と不眠症を患っていたことが判明した」と言っているので、この世界のソンジェは自殺ではなかったにしろ、精神的に苦しんでいたことには間違いないようです。1話の病みソンジェだけ見ると、あんなにぽやぽや天然な普通な青年だったなんて想像つかないもんね…。

ここまで苦しい雰囲気が続きますが、この後ソルがタイムスリップした先はお祓いの最中で、一気にコメディに笑

なんでこのドラマこんなに場面の切り替えが上手いんだろう笑。シリアスで悲しみに暮れていたところから急にコメディの世界にいくのに、視聴者を置いていかないですよね〜。だからずっと見れちゃう笑。

未来が変えられることを実感したソルは、とにかくなんでもできることから手をつけて言って、ソンジェにもガンガン近づくわけだけど、それが「ソンジェを救いたい」という強い思いからであることがわかるのでなんの違和感もなく見れるし、ソルがメソメソせずに行動してくれるので視聴としてノーストレスで見れてありがたい〜

メソメソして行動しない人がいるドラマが苦手で…笑

ソルが知らない間にテソンが彼氏になっていますが、テソンもなんがかんだいい彼氏っぽくていいよね笑。隠しきれないいいやつ感が滲み出てる笑。

そして、私の大好きなシーンがこれ。水泳部の同期?からソンジェが色々言われていた時、ソルが水泳部員に頭突きして説教するシーン。ソルの攻撃手段が毎回頭突きなのがかわいいし、頭突きしている瞬間のヘユンちゃんの表情最高すぎるからみんなリプレイしてほしい笑

なんでこのシーンが好きかというと、ソンジェがソルを「一目惚れ」からもっと強い愛情に変化する流れがきちんと描かれていると感じるからです。自分以上に相手に対して怒りをぶつけてくれたり、守ろうとしてくれたり。好きな子にそんなことされたら、どんどん好きになっちゃうしそりゃソンジェも諦められなくなるよね…。

この後、ソンジェは振られても避けられてもずっとソルのことが好きだし、命に変えても守ろうとするけれど、ソンジェがそこまでソルを好きになるのも納得いくというか…。たまに「待って?そんなにあなたヒロインのこと好きだったの?え?いつから??」みたいに思うドラマがあるのですが、このドラマはこうやってソルがソンジェの気も知らずに守ろうとする姿をしっかり映してくれるので、視聴者はソンジェの大きくなるソルへの感情についていくことができるんですよね…。本当に無駄なシーンが一つもない。

そしてコメディシーンもキレッキレなのでこのドラマの素晴らしいところ笑。まさか将来結婚する芸能人の名前を叫んで時を止めるとは笑笑

そしてそしてそして!!私が大好きなシーン二つ目!

ソルがソンジェの部屋で気を失ってしまったところにソンジェが帰ってきてから、ソルが起きるまでの一連の流れ。

起こさないようにゆっくり近付いて、起こそうとするもソルには触れられないソンジェ。扇風機を静かにつけてあげて、顔にかかった髪を避けてあげて、未公開シーンだと傷口の手当てもしていますよね。テソンがはった絆創膏をソンジェが張り替えているのも、なんだか意味を感じます。

その後ソルのことをへへっと見つめるソンジェ。手の大きさを比べるために、手を重ねるでもなく触れるでもなく、ただソルの手の隣に自分の手を並べて「かわいいな〜小さいな〜」って思っているだろうこの空気感!!

アジア特有の夏の蒸し暑さとソンジェのドキドキがマッチして、見てるこっちまで画面の中の湿度を味わっているよう。画面の中の湿度や気温を含めた空気感がモロに伝わってきて、本当にすごいなと思います。まるで私がソンジェの部屋にいるみたいな没入感を与えてくれます。日本に生まれたからこそ、この蒸している感じが理解できると思うので、日本に生まれてよかったです笑。アジア特有の蒸し暑い夏とこのドキドキ感、文章だと書き表せない〜〜!!

この後、プールサイドでの出来事をソルが覚えていないことがわかり、ソンジェとソルのプチすれ違いが解消するのですが、こういう素早い伏線回収やすれ違い解決本当にありがたい〜〜!ノーストレスで見れます本当。

このすれ違い解消シーンの合間にも、ソンジェが机に飾っていたあめやプリクラを慌てて隠すシーンが挟み込まれています。これがあることにより、ソンジェは普段からプリクラと飴を見てニヤニヤしてるんだろうな〜とか伝わってきますよね。こういう細かい描写の積み重ねから、ソンジェが本当にソルを好きなことが視聴者に伝わるのが本当に…あっぱれ!!別に本当にソルのことを嫌いになったわけではないんですよね〜。

こうやって少しロコな雰囲気を流した後で、またドラマの雰囲気が変わります。

ソルがソンジェの部屋をゆっくり見回した後、ソンジェがかつて自分に言ってくれた言葉をソンジェにかけます。ソンジェはソルの彼氏になれるかどうかにしか関心がないけど(自分の未来など知る由もないので当たり前)、ソルは未来のソンジェをどうにか助けることを第一に行動していることが、ここからも伝わってきます。行動が一貫しているから、視聴者もヒロインの言動が理解しやすいんですよね。

また、ソルが絶望していた時にかけてもらった言葉を、そのまま未来のソンジェに届くように高校生ソンジェに投げかける演出も素敵ですよね。こうしたちょっとしたソルの行動が、未来のソンジェを不眠症やうつ病から防いだのかもしれません。

過去に戻っても、大したことが出来ずに自分にイライラするソルと、自分に気がないくせに近寄ってくるソルと距離をあけたいソンジェ。2人は衝突してしまいますが、この衝突も自然ですよね…。どっちの気持ちも理解できる。

特にソルはこのままだとソンジェに嫌われるとか、会えなくなるとか、そんな次元ではなくて死んでしまうわけで…それをどうにかできるのは自分しかいないのに、何も出来ない自分への苛立ち、悔しさ、未来でのソンジェの悲しい選択を考えて苦しんでいることがヘユンちゃんの涙から伝わってきます。

そしてソルとテソンのシーン。ソルの格好が、ソンジェと会う時とは大違いで面白い笑

でもテソンもいい彼氏なんだよな〜。ソンジェには負けるけど、本当にソルのことを好きなんだなっていうのが伝わってくる。ソルを見るとテソンの瞳から寂しさが消えるんだよね。そして私が大好きなテソンへのバースデーソング!!ヘユンちゃんが可愛すぎて何回も見ました笑

そしてついに、ソルが忘れていた記憶を思い出すきっかけのシーン。橋から落ちたソルをソンジェが助けにきます。今見ると、ソルの動線が事故の時とほぼ一緒。違いはタクシーを止めたなかったことくらい。

私はソンジェがソルを引き上げた後のセリフが好きです。大声で怒るわけでもなく、騒ぐわけでもなく、ひたすらにソルの表情を窺っているような。本当にソンジェらしい最初の一言だったと思います。

また、ヘユンちゃんの演技もあっぱれ。水から引き上げられ、だんだんとソンジェが自分を助けようとしてくれた記憶が戻ってきて、失ってきた記憶の重要さを察知して怯えたように泣き始めるヘユンちゃんの演技が本当に素晴らしい。いきなりではなく、段々と恐怖を感じ、申し訳なさを感じていることがわかります。

そしてここで初めて「記憶」という言葉が印象的に出てきます。

このドラマの仮タイトルが「記憶を歩む時間」だったことに違和感があったのですが、このシーンから段々と仮タイトルの意味、このドラマの主題が見えてくると思います。

このドラマはタイムスリップをして、ソンジェの人生を塗り替えるだけではなく、ソルが失っていた大切なソンジェとの記憶を自ら辿り、取り戻す物語でもあるのではないでしょうか。そして13話以降は、今度はソンジェが失ったソルとの大切な記憶を自ら取り戻す物語になるという…いやはや…本当に脚本狂ってる…

記憶を歩む時間……。個人的は4話を見ると、この仮タイトルが急にしっくりくる気がします。

そして、ソルが泣いた瞬間にソンジェが「大丈夫?!病院に行こう!!」と慌て出すのもとってもリアル。そしてヘユンちゃんが泣き出すのも、水に落ちたことによる怪我とかではなくて、ソンジェとの大切な記憶を失っていたことに対する涙だということが、特にナレーションがないのに分かりますよね。いやはや…素晴らしすぎる…。

そして…。最後にこのシーン持ってくるか〜〜って感じですが、このドラマ1話の冒頭、Eclipseのラジオ出演シーンに戻ります。1話と4話、もうあの時と同じ心情ではもう見れないですよね。

こんなにソルを大切に思っていたソンジェ。リュソンジェという名前を言っても覚えていないソル。長い長いための後、ソンジェがため息と同時に心の中で呟く「ソル……」というセリフがとてつもなく寂しく、虚しく聴こえます。

冒頭書いた通り、4話は大きく物語が転換するストーリーだと思います。ソルがソンジェの過去にいき、ある意味でソンジェの記憶を塗り替える物語だったのが、それと同時に自分がすでに忘れていた記憶を掘り起こしていく旅でもあった。塗り替えられる記憶と忘れられている記憶。4話を皮切りに、どんどん「記憶」というものがこのドラマ全体で存在感を増していく気がします。

みなさん、今回も語りすぎました…。これを書くために4話を見返したのですが、何回見ても本当に面白い!!!結末知ってても面白い!!

本当に化け物ドラマだな、と改めて感じました。では、また近いうちに5話でお会いしましょう…!

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