おい、SC法案ってなんなんだ?
スーパーシティ法案が2019年に廃案となり、世界が第4次産業革命後の社会へと着実に進む中、日本は周回遅れになった・・・オワタと落胆していた。しかし!スーパーシティ法案が2020年5月27日に可決された。そこで改めてスーパーシティ構想と可決された法案のもとになる国家戦略特別区域法についてまとめてみた。
はじめに・・・。
私は、住民同意の運用や個人情報取り扱いの動向を監視する必要はありつつも、スーパーシティ構想自体は推進するべきだという意見を持っています。データを集約して管理することとデータの所有者である個人への合意の取得方法については、これから具体的に決めなくてはならない重大な課題でしょう。ネットやSNSで、この法案の廃止を訴える意見があるのも個人情報の一元管理、住民同意への課題感によるのかなと感じています。運営側の説明責任はもちろん、この法案が可決されたことを機に、データを活用する未来について議論が深まっていくことを期待します。
まずは備忘録として、公開されている資料を中心に以下についてまとめます。
◆ スーパーシティ構想
◆ 国家戦略特別区域法
私の興味領域であるヘルスケア領域に特化した記事にしようかと思いましたが、今回はあくまで知識の整理を目的にしました。今後に乞うご期待。
Summary
スーパーシティ法案?なんじゃそりゃ?
通称がついてしまうと、"みなさんご存知の"的な感じで使ってくるからうざい・・・笑。しっかり理解しようとすると、いくつかの要素を体系的に整理しないと無理。私の頭はパニックを起こすのです(この記事を書いた理由の一つ)。一つ一つ整理できれば思います。
スーパーシティ構想とは・・・
といった3つの要素を持つ、『丸ごと未来都市(=スーパーシティ)』を進める規制改革のこと。つまり、"最先端技術を活用し、国民が住みたいと思う、より良い未来社会を包括的に先行実現するショーケースを目指すもの"とのこと。もう少し具体的な言葉に落とし込むと・・・『住民合意を前提に、自治体(行政)と要素技術と推進力を持った民間事業者が、国家戦略特別区域法を活用した規制緩和により、実生活へと組み込んでいくということ』。この文章の意味がわかればとりあえずOKとして順番に紐解いていきましょう!!
※ スマートシティとか近未来技術実証特区などの似たようなものがあるが、それらはエネルギー・交通などの分野での最先端技術の実証や取り組み。スーパーシティは、さらに包括的なものと整理しておくと混乱しない。(よく似た言葉作りすぎ。)
スーパーシティ構想の鍵は、データ連携基盤
スーパーシティ構想の土台となるのが、データ連携基盤。都市OSと呼ばれたりもする、都市全体のデータを集約してセキュアかつ活用しやすい状態を目指すための仕組み。まずここを作ろうってのがスーパーシティ法案の目的の一つ目(国家戦略特区データ連携基盤整備事業)で、予算案は3億円くらいがついている。サービス事業者などのデータ活用側へのデータ提供の方法の整備も必須で、オープンAPIが予定されている。
おそらくここで出てくる課題が、データ連携と一元管理に対する不安だろう・・・。オプトインはどの時点で適用されるのか?、一元データはどこまでセキュアに管理できるのか?、オプトアウトについては対応可能なのか?などなど解決すべき課題は多い。
先端的サービスの暮らしへの一括実装
データ連携基盤を土台に実際に暮らしの中に組み込まれるサービスが、1. 行政手続、2. 物流、3. 交通、4. 観光、5. 防災、6. 医療福祉、7. 教育、8. 金融、9. 環境保全という分野で同時に進められる。ここに『丸ごと』感があるのだろう。私の興味分野である医療福祉の事例を紹介させていただきたい。
~ 高齢者の通院対策に悩むA市の例 ~
ここで着目すべきは、タクシー事業者の提案により、いくつかの規制改革が行われていること。(これがどのくらいの期間で実装され、今もなお持続的なサービスとして運用されているのかは不明だが、)このような住民合意が取得しやすい事業では、住民合意を前提として、一括の規制緩和を行える。このように制度を整備することが、スーパーシティ法案の目的の2つ目。これまでよりも早く実装フェーズまでもっていけるだろう。
以上が、スーパーシティ構想の中身と法案の目的。『住民合意を前提に、自治体(行政)と要素技術と推進力を持った民間事業者が、国家戦略特別区域法を活用した規制緩和により、実生活へと組み込んでいくということ』についてある程度は自分の言葉で説明できそうでしょうか?
国家戦略特別区域法についてのおさらい
さて、今回のスーパーシティ法案=国家戦略特別区域法の一部を改正する法律のことなので、まずは国家戦略特別区域制度について簡単におさらい。ちなみに、法律(〜法)ってのが国会が作った法で、制度ってのは運用方法みたいな使い分けをしている(間違いあればご指摘ください)。
と説明されている。制度は、自治体や事業者からの規制緩和提案から『特例措置の創設』と実際に活用するための『個別の事業認定』の2つのプロセスからなる。そして、成果が認められた場合は積極的に全国に広めようというコンセプトの制度である。現時点で国家戦略特区として10地区が認定され、活用された事例は300以上だそうだ。(そんなにあるとは知らんかった・・・。)
スーパーシティ法案とは?
スーパーシティ法案=国家戦略特別区域法にスーパーシティ構想が実現しやすいように項目を追加した法律改正案。やっと文章の意味がわかった。ということで、最後に何を追加したのかをまとめて終わり。
1. 「スーパーシティ」構想の実現に向けた制度の整備
1-1. 事業主体者への提供を前提としたデータ連携基盤の整備事業の法定化
1-2. 複数分野の規制改革を同時かつ一体的に実現できる手続きの整備
1-3. 各府省による協力を強化するための「国による援助規定」の追加と都市間連携強化のためのオープンAPIの整備、3年後に施策を見直す「検討規定」の追加
2. 規制のサンドボックス制度の創設(自動運転、無人航空機(ドローン)など)
3. 特区民泊における欠格事由(暴力団排除規定など)などの整備
の3つが追加・改正された。1については、さらに1-1 ~ 1-3の3つに分けられる。以下、まとめていて少しわかりにくかったので追加説明。
1-2については、図の各省検討のところが一元化できるように、住民合意を前提に内閣総理大臣から各省へと計画案の措置について要請されるようになる。
1-3については、データの相互連携のための基盤構築の予算をつけたり、国も援助しますってのが明記された。
2については、規制との関係がややこしい時に期間や参加者を限定して実証を行いその結果を基に規制改革をするというやり方であるサンドボックス制度をドローンとか自動運転とかについて設けることが明記された。
3については、民泊のところが整備された(これはついでなのか?ちょっとスーパーシティとの繋がりがわからなかった。)
って感じ。これが今回可決されたスーパーシティ法案の中身。
所感とまとめ
法案が可決されたことによって、スーパーシティ実現へ向け、スピードが上がっていくでしょう。”個人情報の取り扱いや住民合意の取得方法などの具体的な運用がどのように行われるか”、”住民を巻き込んで自分ごとの課題解決にしてもらうための説明がどのように行われるか”などについては、引き続きチェックしないとなとは思います。
しかし、もともと私は、暮らしに最先端のサービスが導入されることに、ワクワクするタイプなので・・・、特区でヘルスケア領域における挑戦ってどんなことがあるの?みたいなことに興味があり、早く事例を作れないかなとできる範囲を模索中です。実験という言葉に抵抗があるかもですが、特区は社会実験フィールドと思っています。
受け身ではなく能動的にこのフィールドに飛び込んで、理想的な未来の暮らしを模索したいなと今からワクワクしています!!
参考資料
今回は、内閣府の国家戦略特区のホームページを参考にしながら、スーパーシティ法や構想についてまとめてみました。ホームページ綺麗だし、図も簡潔にまとまっていたのですが、詳細を知るために法案の文章まで遡ると言葉がわかりにくくて、説明が不足している箇所があるかもです・・・ご指摘ください。
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